不動産や土地など、重要な契約を交わす日は縁起が気になるもの。「赤口」と聞くと良くないイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。とはいえ、都合がつかず赤口に契約せざるをえないということもあるかもしれません。

本記事では赤口について、吉凶の詳細な説明や各種契約との関係を解説。先勝や仏滅といった他の六曜と、契約にふさわしいとされる縁起のいい日もあわせて紹介します。

重要な契約の日取りを決めるときは、ぜひ参考にしてください。

  • 赤口とは

    赤口と契約の関係性について解説します

赤口とは

「赤口」とは、1日の縁起の良し悪しを決める六曜のなかの一つ。引っ越しや結婚式など、大事な行事の日取りを決めるときに参考にする人も多いでしょう。読み方は「しゃっこう」のほかに「しゃっく」があります。

赤口は六曜の一種

六曜は中国の占いを起源とする考え方で、日本には鎌倉時代から室町時代までの間に伝来したといわれています。暦に導入されるなど日本において六曜が一般的となったのは、江戸時代後期ごろだったようです。現代でも六曜を参考にして大事なイベントの日取りを決める人は多くいます。

縁起が悪い日

赤口は漢字の「赤」が「火」や「血」を想像させるとの考えから、六曜のなかでも縁起が悪い日とされています。特に赤口は火と刃物に気をつけたほうがいいといわれており、赤口にあたる日のお祝いごとを嫌がる人も多いです。

  • 赤口とは

    赤口はお祝いごとには避けられる日です

六曜の吉凶

六曜は赤口を含め6種類あり、日によって吉凶も大きく異なります。もっとも縁起がいいのは大安で、次いで友引、先勝、先負、赤口と続き、最後は一番縁起が悪いとされる仏滅です。縁起の良し悪しは時間帯でも違うため、確認しておくといいでしょう。

大安

大安(たいあん・だいあん)は「大いに安し」という意味で縁起がよく、あらゆるお祝いごとに適しています。大安には1日のうちで凶にあたる時間帯がないため、何時に予定を入れても問題ありません。

友引

友引(ともびき・ゆういん)は「友を引く」との意味から、「幸せを分け与える」と考えられています。大安に次ぐ縁起の良さから、今ではお祝いごとに適した日取りとして人気です。

慶事とは相性がいい友引ですが、一方で弔事には縁起が悪いとされています。理由は友引の意味である「友を引く」が、「友を呼び寄せる、連れて行く」と捉えられるため。友人の死を連想させるため縁起が悪い、との考え方から葬儀などを避ける人も多いです。

友引の時間帯別の吉凶は午前中が吉で、凶にあたるのはお昼の時間帯のみ。夕方は大吉とされています。

先勝

先勝(せんしょう・せんかち・さきかち)は「先に行動を起こすことで勝利や幸運が手に入る」との意味があり、縁起がいいとされる日。午前中は吉の時間帯で、午後に入ると凶の時間帯に変わります。

先負

「先に行動すると負ける」という意味を持つ先負(せんぷ・せんぶ・せんまけ・さきまけ) は、あまり縁起が良くないとされる日。先勝とは逆に午前中が凶の時間帯で、午後は吉の時間帯にあたります。

赤口

陰陽道の「赤口神が使役する鬼神によって、人々が惑わされる日」に起因する凶日。基本的には仏滅に次いで縁起が悪いと考えられます。火と刃物関連に注意すべき日であるため、赤口はお祝いごとに一番適さないといわれることも。一日のほとんどが凶にあたる一方、午前11時から午後1時ころまでは吉の時間帯です。

仏滅

仏滅(ぶつめつ)は「仏すら滅する日」の意味で、何事においても縁起が悪いとされる大凶日。お祝いごとは避けるのが一般的です。吉の時間帯は存在せず、一日中凶にあたります。

  • 六曜の吉凶

    縁起の良し悪しを重視するなら大安に予定を入れたいものです

赤口に契約しても大丈夫?

契約といえば新築購入や引っ越しなど、人生の一大イベントといっても過言ではありません。赤口は六曜において2番目に縁起が悪いとされるにもかかわらず、契約をしてもいいものなのでしょうか。

赤口は契約の凶日ともいわれるため、新築住宅やマンションの購入契約を避ける人も多いようです。火と刃物にまつわる物事に注意すべきとされる赤口ですが、不動産といえば火はご法度。これから生活する大切な家だからこそ、わざわざ縁起の悪い日を選ばないという人が多いのかもしれません。

賃貸

賃貸契約の場合も上記と同じ理由から赤口を避けることがあります。しかし、賃貸の場合は就職や転勤にともなう引っ越しで日程に余裕がないこともあるので、「いちいち縁起を気にしていられない!」という人も多くいるでしょう。もちろん縁起のために無理やり契約日をずらす必要はありません。縁起も重視したいという人は、無理のない範囲でスケジュールを調整してみてください。

車の購入では、契約を交わす日よりも納車日に縁起を担ぐことが多いようです。一般的には縁起のいい日に納車するのが吉とされ、赤口は避けたほうがいいといわれています。一方、特に気にする必要はないという説もあるので、自身のスケジュールをふまえて検討してみてください。また、吉凶が気になる場合はお祓いや交通安全のお守りを購入するのもいいでしょう。

口座の開設

口座はお金にまつわるものであるため、縁起を気にする場合は金運を重要視して開設日を決めることが多いです。金運がいいとされる「寅の日」や「巳の日」が好まれるので、六曜よりもこちらを重視した方がいいかもしれません。

会社の設立

赤口は会社の設立日としても避けられることが多くあります。今後の人生を左右するともいえる大切な会社の設立日に、一日のほとんどが凶とされる日をわざわざ選ぶ必要もないと考えるのは自然でしょう。縁起を気にするのであれば、避けた方が無難です。

  • 赤口に契約しても大丈夫?

    契約日は赤口を避けるというケースが多くあります

契約以外で赤口が避けられること

赤口に敬遠したほうがいいとされるのは契約だけではありません。たとえばお祝いごとのなかでも結婚式は、キャンドルサービスやケーキカットで火やナイフを扱うことがある行事。火や刃物に気をつけたほうがいい赤口は、縁起が良くないと避けられる傾向にあります。

引っ越し

引っ越しの日取りにおいても赤口を避ける場合があります。住宅となると火災をイメージしやすいため、縁起が悪いと考えられるようです。

吉の時間帯を選んで引っ越しを終えればいいとの考えもありますが、すべてを2時間以内に収めるのは難しいかもしれません。スムーズに作業を終えられない可能性もあるため、心配な人は赤口の引っ越しを避けましょう。

弔事は関係ない

縁起が悪いといわれる赤口ですが、凶日と考えるのはあくまでもお祝いごとや契約に関するもの。葬儀や通夜などの弔事とは関係ありません。

また、六曜は中国の占いが起源とされているので、日本の文化である神社へのお参りも問題ないとされています。

  • 契約以外で赤口が避けられること

    六曜は神社のお参りなどには関係ないようです

赤口に契約するときは?

縁起を気にして赤口を避けたいと考えていたのに、仕事などの関係で都合がつかなさそうというケースもあるはず。赤口の契約を避けられないときの対処法はあるのでしょうか。

お昼ごろに予定を入れる

都合がつかずに赤口に契約となった場合には、時間だけでも調整してみてはいかがでしょうか。先述のとおり、赤口は午前11時から午後1時ごろまでの2時間だけは吉の時間帯とされています。

このあいだに予定をすべて終えるには少々大変かもしれませんが、どうしても気になるようであれば調整してみましょう。ただし正午前後の時間帯はお昼休憩で対応してもらえないこともあるので注意してください。

  • 赤口に契約するときは?

    契約にかかる時間を想定して予定を立てましょう

契約におすすめしたい縁起のいい日

赤口や仏滅など縁起が悪いとされる日があるように、物事を行うのに縁起がいいとされる日も多くあります。吉凶を参考に契約日を決めるときに活用してみてください。

天赦日

「(どんなことをしても)天が赦す日」の意味から、天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)は暦の中でも特に縁起がいいといわれる吉日です。仏滅など六曜では縁起が悪い日であっても、天赦日と重なれば吉日になる、という考え方もあります。候補日の中に運よく天赦日があれば、迷わず契約の予定を入れてもいいでしょう。

一粒万倍日

「いちりゅうまんばいび」または「いちりゅうまんばいにち」と読む一粒万倍日は、「一粒のもみを蒔いて育った稲穂から、一万倍ものもみが収穫できる」という意味。転じて物事の発展を願う際に縁起がいいとされています。

赤口など六曜における凶日と一粒万倍日が重なる場合は、天赦日と同様に吉日になるという説もありますが、一方で悪いことが一万倍になるとの考えから縁起が悪いという説も。 どちらが正しいというものでもないので、自身がより重視したい方を選ぶようにしましょう。

大安

1日を通して吉の時間帯である大安は、六曜最強といわれるほど縁起のいい日。新車や引っ越しの契約日として選んでもいいでしょう。

寅の日

寅の日(とらのひ)には「1度離れたものが再び戻る」との意味があり、「金運招来日」とも呼ばれます。銀行口座の開設など、お金にまつわる契約をするにはおすすめです。

巳の日

巳の日(みのひ)も金運がいい日とされ、寅の日と同じく銀行口座の開設に好ましいと考えられています。巳の日には12日ごとに訪れる規則性があるので、予定が立てやすいでしょう。

  • 契約におすすめしたい縁起のいい日

    六曜以外の縁起のいい日も覚えておくといいでしょう

赤口以外に縁起が悪い日

一般的に縁起が悪い日とされるのは赤口だけではありません。

三隣亡

三隣亡(さんりんぼう)は「この日に建築した家は将来火事を起こし、周囲の住宅を3軒にわたって焼いてしまう」と考えられてきました。特に建築業界においては、三隣亡に家を建ててはいけない、と忌み嫌われています。

三隣亡を迷信とする考え方もありますが、近隣住民に配慮して上棟式などを別日に変更するケースもあるようです。地域の安全を願う気持ちによるものが大きいでしょう。

不成就日

「不成就日に行った出来事の結果はすべて凶となる」というほど、不成就日(ふじょうじゅび)は縁起が悪いとされる日です。天赦日や一粒万倍日など縁起がいい日と重なったときは、吉の効果を半減させてしまうと考えられています。

地火日

地火日(じかにち)は字面から「土地に火の気がある」と考えられている日。植樹や土地を掘り返すなど、土に関する物事は避けられてきました。

  • 赤口以外に縁起が悪い日

    赤口以外にも縁起が悪いとされる日は多くあります

契約の決め方

契約の日取りを決める際、ほかのスケジュールとの兼ね合いから赤口に予定を入れた方がいいケースも出てくるでしょう。この場合の考え方としては何が適切なのでしょうか。

赤口を気にしすぎないのも大切

赤口を含めて六曜の吉凶は言い伝えであり、確実性はありません。実際に六曜の縁起は迷信だからとの理由で、赤口にお祝いごとや各種契約の予定を入れる人も多数います。あくまでも赤口の吉凶は参考程度とし、六曜に振り回されすぎないよう心がけることが大切でしょう。

  • 契約の決め方

    六曜を気にしすぎないのも大事です

赤口の契約は避けられることもある

赤口は赤という漢字から火や血をイメージするため、六曜の中でも縁起が悪いとされる日。おめでたい行事では嫌がられることが多く、縁起を気にする人はマンションや賃貸などの不動産契約も避けます。そのほか引っ越しも赤口を避けたほうがいいといわれるものの一つです。

縁起を気にしたいけど赤口と契約日が重なってしまうという場合は、吉の時間帯とされる 午前11時から午後1時までのあいだに済ませるといいでしょう。とはいえ、その時間内に終わらないようなものもあるかもしれません。このような場合は、六曜を気にしすぎないことも大切です。