総務省が発表している「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」では、65歳以上の単身世帯は、1カ月あたり平均144,687円支出があります。男性の平均寿命(82歳)までにかかる支出を計算すると、約3,000万円になります。

年金だけに頼らず自分でも老後資金を貯めることが大切です。お金を効率的に貯めるには、「利回り」が大切です。そこで今回は、30歳が65歳まで毎月3万円積み立てて、3,000万円貯めるには何%の利回りが必要か解説していきます!

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そもそも利回りとは? 複利とは?

「利回り」とは、投資金額に対する分配金や売却損益を含めた割合のことです。1年間の「年利回り」を利回りと呼んでいます。似た用語で「利率」もありますが、「利率」は投資金額に対する毎年受け取る利息の割合のことです。

例)
・額面金額100万円の債券、1年後に3万円受け取れる場合、3万円÷100万円×100%=利率3%
・上記を3年保有し、103万円で売却した場合、受け取る利子は3万円×3年=9万円、売却益が103万円-100万円=3万円、3年間の収益は合計12万円で、1年間の収益は4万円。4万円÷100万円=利回り4%

そして「複利」とは、運用で得た利益をもともとのお金にプラスして、再び投資することです。長い期間でみると、「複利」の効果は非常に大きくなります。

例)1,000万円を利回り3%で複利運用した場合、1年後は1030万円、2年後は1年後の金額に対して3%なので1,060.9万円、3年後は2年後の金額に対して3%なので1,092.7万円...

3000万円貯めるには◯%必要!

30歳が65歳まで毎月3万円積み立てて、3,000万円貯めるには4.5%の利回りが必要です。

時間と金利が味方になれば、累計積立金額(元本)が「複利効果」でどんどん増えていきます。ちなみに、40歳の方が65歳まで3万円を積み立てた場合、8.3%の利回りが必要となり、利回りが高くなるにつれてリスクも増えます。そう考えると、やはり若い内から早めに資産形成した方が良いですね!

では、4.5%以上の利回りを目指す為には、どのような金融商品で運用すれば良いのでしょうか?

利回りが高い金融商品とは?

金融商品のリスクとリターンの関係は比例することが多いです。例えば、銀行預金は増えないが減らないのでローリスク・ローリターン、株式は増える可能性もあるが元本を下回る可能性があるため、ハイリスク・ハイリターンです。「株式投資はリスクが高くて怖い」という方も多くいらっしゃいます。その場合、投資信託をおススメします。

投資信託

投資信託とは、資産運用の専門家が株式や債券、不動産などを組み合わせて作っているパッケージ商品のことです。組み合わせによって安定的に増やすのか、積極的に増やすのかさまざまです。

投資信託のメリットは、
(1)自分の代わりに専門家が運用してくれる
(2)100円など少額から投資できる
(3)分散投資でリスクを軽減できる
という点です。

一方デメリットは、
(1)元本割れすることがある
(2)手数料や税金がかかる
という点です。

投資信託は、運用のプロに任せて投資を行うため、運用管理費用(信託報酬)などの手数料がかかります。

また、投資信託を売却して得た利益や、受け取った配当に対して通常20.315%の税金がかかります(2022年2月現在)。しかし、国の制度であるつみたてNISAを利用すると、20年間非課税になります。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、長期的な資産形成を行いたい投資未経験者や初心者をサポートするために導入された非課税制度です。

日本国内に住む20歳以上なら誰でも利用可能で、金融庁が設定した条件をクリアした投資信託と、TOPIX(東証株価指数)等の指数に連動して運用するETFから選んで、定期的に継続して積立投資を行います。

上記にもありますが、メリットは、
(1)運用益が20年間非課税である
(2)金融商品の売却や資金の引き出しはいつでも自由にできる
という点です。

急な入り用になっても、すぐにお金を引き出せるのは安心できますね。また、積立購入を止めることも出来ます。

デメリットは、
(1)選択できる投資信託が限定されていること
(2)年間投資額が40万円
という点です。

より高い収益性を目指したい、大きい金額を投資したい、という場合は、年間120万円の投資枠で多くの株式や投資信託が選択できる「一般NISA」の方がおススメです。

まとめ

「利回り」は資産形成において非常に大事なポイントです。実際に金融商品に投資する場合は、税金や手数料も考えて、実質何%の利回りであれば目標金額に到達するのか計算してみましょう。

これから資産形成をしていきたい方は、NISA、つみたてNISA等の制度を利用して投資信託や株に投資し、時間と金利を味方にして資産形成することをおすすめします。

また、自分が今後いくら毎月積立できるか分からない場合や、自分に合った資産形成が知りたい場合は、FPに相談することをおススメします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介


山内壮(やまうちそう)
所属:株式会社マネープランナーズ