――今度は、あらためてシシガシラ自体についても話をお聞かせください。「シシガシラ」というコンビ名の由来は?
脇田:僕らは最初、半年間だけ仮でコンビを組んでいました。その時に出演させてもらった新ネタライブがありまして、その主催がカゲヤマのタバやん。でした。彼は占い芸人でもあり、毎月そのライブに参加する度に、僕らコンビに違う名前をつけて呼んでいて、正式にコンビを組むとなった時に「タバやん。にお願いしよう」となりました。
脇田:タバやん。は爬虫類や金魚を育てるのが好きな芸人でもあるんですよ。命名してもらった「シシガシラ」は、寒椿の意味以外に、金魚の名前でもありまして。で、獅子舞の頭の形に似ているから「シシガシラ」という名前らしく、縁起物でもあり、僕らコンビもお互いヒゲが生えている“獅子”であり、トレードマークである僕の“頭”にかけて「シシガシラ」。
浜中:画数もいいらしくて。
脇田:さらに言うと、コンビ名に“シ”が多いと売れるという都市伝説もありまして。「3つも入ってるじゃねーか」と(笑)
――お二人とも別のコンビを組んでいて、2016年、2017年と近い時期に解散してからシシガシラを組むことに。そのあたりの経緯も教えてください。
脇田:僕が1人で何もしていない時期に、先輩の芸人さんに「この先どうするんだよ?」と言われて「コンビ組みたくて、こういう相方を探してます」と条件を伝えたら、すぐ「浜中じゃねーか」と助言を受けました。僕も「たしかにな」と思って、浜中を中野のステーキ屋さんに呼び出して、300gの高級サーロインステーキを食べさせて「ちょっと僕と組んで欲しいんだけど」と誘いました。でも最初は断られました。
浜中:肉だけ食って帰りました(笑)
脇田:本当に帰りやがって……(笑)。でもその1週間後に電話がかかってきて「仮だったら、お試しでやってみますか」と言われました。
――希望していた相方の条件というのは?
脇田:意地悪が似合いそうで、ひどい奴に見えない人、という条件です。
――高級ステーキだけ食べて帰るって、すでに意地悪ですよね。
浜中:ハハハ! すぐ発揮してる(笑)
脇田:こいつ持ってるな、と思いましたね。
――浜中さんが1週間時間を置いた後、脇田さんにお試しでコンビを組もうと提案した理由は?
浜中:実は僕、ポップになりたかったんです。EXITみたいに。ああいう感じで一発を狙おうと思っていて、それをやり切ったら芸人やめようとすら思っていました。でもなかなかいい相手が見つからず、かといってピン芸人として活動しても、うだつが上がらない。そんなときに声をかけてくれた。それでポップな路線も並行して考えつつ、仮でやってみようと。
――そして半年後に正式にコンビに。
浜中:はい。初めて出た2018年の『M-1グランプリ』でいい漫才が1本できて手応えを感じて「あっ、これは組んで覚悟決めよう」となりました。
――じゃあ今度は、浜中さんが脇田さんに高級ステーキをお返しして話をした?
脇田:僕らがいつもネタ合わせする喫茶店でしたね。
浜中:ハハハハ!
脇田:いつもどおりネタ合わせしていた時、急に「脇田さん、ちょっといいですか」と言われて「お待たせしました。コンビを正式に組みましょうか」と。それを聞いて僕は「いいの? ポップじゃないよ、オジさんだよ」と再三確認しました。僕らのやり取りを見ていた喫茶店のオジさんが「なんだあいつら?」って顔をしてたのが忘れられません(笑)