――シオプロさんにおいて、番組制作で特に意識してることは何ですか?
塩谷:最終的に視聴者に「面白い」「面白くない」と思われるのはタレントさんなので、番組に出ていただいた方には、損をさせない。そこだけは意識してます。
木月:ちゃんと芸人さんが面白く見えるように作ろうという意識を感じますよね。
オークラ:シオプロの場合って、制作側が仕掛けたものを演者がリアクションとるというパターンも多いじゃないですか。ADたちが一生懸命作ったものを本番に出した瞬間、芸人が笑う。そうすると「自分たちが芸人を笑わせたんだ!」ってなるから、モチベーションとしては大きいんじゃないかなと思います。
木月:それは大きいだろうなあ。自分がADのときもそうでしたもんね。自分の用意した小道具でタモリさんが笑ったらうれしい!ってなりましたから。
オークラ:ADの人って、働き方改革が進んでもいまだに辞める人が多いじゃないですか。それは、肉体的につらい仕事を辞めるというよりは、やりがいのない番組を辞めていくんだなという感じなんですよね。
木月:昨年は160人ぐらい新卒の応募がきたんですよね。
塩谷:このご時世にありがたいです。
木月:濃ゆいお笑いやりたい人がそんなにいっぱい志望してくるって、すごくないですか?
塩谷:でもなぜか、採用した方が卒業できない問題が毎年起こるんです。せっかく内定出したのに、「卒業できませんでした」って。いつももうちょっと採れば良かったなと思います。
木月:お笑い好きなら、シオプロに入ったほうがいいですよね。
塩谷:すぐ芸人さんたちに会えますから(笑)
■“お笑いの濃い部分をやっている”ブランディング
――シオプロさんでのテレビと配信などの割合は、今どれくらいですか?
塩谷:半々くらいですね。ABEMAを何本かやらせていただいてるのと、フィッシャーズさんのYouTubeのお手伝いみたいなのもしてます。あとスクエニさんのYouTubeとか。ちなみに、CMもやってます。ご依頼お持ちしております。
木月:やっぱりブランディングがしっかりしてるから、そういう依頼がくるんですよね。
オークラ:それが大事だと思いますよね。これからよりそういう時代にはなってくると思いますよ。プラットフォームが増えてるから。そうなったときに「あそこに頼めばああいうものができるんだな」というイメージできることが重要な時代が、確実にやってきている。
塩谷:そうですね。だからテレビだけじゃなくて、いろいろなメディアを試していくのも大事だなと思います。
オークラ:シオプロっていうのは狙ったつもりじゃないのかもしれないけど、お笑いの濃い部分をやってるというのがブランディングされつつあるから、それを求める客からダイレクトに課金できるシステムが作れれば、面白くなっていくと思いますが…。
木月:やっぱり配信系のバラエティですかね?
オークラ:でも配信系のバラエティって、タレントのギャラとかが難しいですよね。逆に芸人なしのバラエティをシオプロが作ったときに、面白いことが起きるんじゃないかなとも思います。
木月:確かに。Netflixとかで海外に売れるバラエティってなかなか難しいですもんね。そういうのをシオプロさんがやってくれるといいですね。
塩谷:ぜひ頑張ってほしいですね。
オークラ:お前がやるんだよ(笑)
木月:このオークラさんと塩谷さんの関係が面白いんだよなあ。なんですか、この癒着関係みたいな(笑)
オークラ:癒着関係はないですよ。俺が利用されてるだけですよ(笑)
木月:でも、オークラさんのことをシオプロの人だと思ってる人、結構いると思いますよ(笑)。一時期シオプロさんのTwitterアイコンにもなっていたし。
オークラ:やっぱり完全に利用されてますね(笑)
次回予告…~テレビを飛び出したディレクター編~
●オークラ
1973年生まれ、群馬県出身。97年にプロダクション人力舎に入って芸人として活動し、その後放送作家に転向。バナナマン、東京03の単独公演の初期から現在まで関わり続け、『トリビアの泉』『はねるのトびら』『そんなバカなマン』『とんぱちオードリー』(フジテレビ)などを担当。現在は『ゴッドタン』(テレビ東京)、『バナナサンド』『週刊さんまとマツコ』(TBSテレビ)、『バチくるオードリー』『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ)、『バナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)などを担当する。近年は日曜劇場『ドラゴン桜2』(TBSテレビ)の脚本のほか、乃木坂46のカップスターWeb CMの脚本監督なども手がけ、21年12月に著書『自意識とコメディの日々』を出版した。
●塩谷泰孝
1977年生まれ、福島県出身。日大東北高校卒業後、『ガチンコ!』 (TBSテレビ)の番組ADを担当。27歳で制作会社・シオプロを設立し、『リンカーン』『神さまぁ~ず』『ヒムケン先生』『バナナサンド』 『オオカミ少年』(TBSテレビ)、『コレアリ』(日本テレビ)『ゴッドタン』『ウレロ☆シリーズ』(テレビ東京)、『そんなバカなマン』『とんぱちオードリー』『ウンナン出川バカリの超!休み方改革』『バチくるオードリー』(フジテレビ)、『日村がゆく』(ABEMA)などを担当する。
●木月洋介
1979年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『ピカルの定理』『ヨルタモリ』『とんぱちオードリー』などを経て、現在は『新しいカギ』『痛快TV スカッとジャパン』『今夜はナゾトレ』『キスマイ超BUSAIKU!?』『ネタパレ』『久保みねヒャダこじらせナイト』『出川と爆問田中と岡村のスモール3』『バチくるオードリー』『人間性暴露ゲーム 輪舞曲~RONDO~』などを担当する。