• 左から樋口真嗣監督、斎藤工、ウルトラマン(立像)、古谷敏

全国の特撮ファンから公開を待望されている空想特撮映画『シン・ウルトラマン』の公開日が「2022年5月13日」と正式に決まり、特報映像およびポスタービジュアルなどでも発表された。ステージには樋口真嗣監督と主演の斎藤工が登場して、公開に向けての強い意気込みを語った。

本作のウルトラマンは、オリジナル『ウルトラマン』で活躍した美術デザイナー成田亨氏が本来求めていた理想のウルトラマン像を形にするというコンセプトが貫かれ、胸にはカラータイマーがついていない。そして、初代ウルトラマンを演じた古谷敏のスマートさが見事に移植されている。

樋口真嗣監督は、公開日がついに発表されたことについて「この日までにやれ!と匕首(あいくち)を突き付けられた感じです」と物騒な表現をしながら、公開日ギリギリまで作業を続けているかもしれないと打ち明けた。樋口監督によると「コロナのせいで、完成しているのに公開できないんですねといろんな人から同情されていますが、それは大きな誤解です。まだ出来てません! まだまだ作ってます! やってもやっても終わらない……。でも5月13日までには完成させなきゃならない。これ以上やるなってことですね」とのことで、クオリティを高めるための作業をどこかで終わらせないといけないと、時おり悲痛な表情を見せつつ、良質な映画を作るための努力をぎりぎりまで続ける意欲を燃やした。

これまで「ウルトラマンになる男」として紹介されてきた斎藤工だが、今回「カミナガ・シンジ(神永神二)」という役名が明らかとなった。斎藤は「唯一、役名だけは言ってもOKと言われました。やっと名を名乗れるようになって、少し楽になりました(笑)」と語りつつ「『シンジ』という名前にも何か意味があると、僕は思っています」と、実にミステリアスなコメントをも残した。

続いて、今回初披露となる「特報2」がスクリーンに映し出された。発電所のような場所からムクリと起き上がったウルトラマンが大きく腕を振りかぶったのち、両手を十字に組んで「いかにも破壊力のありそうな熱線」を発射するところで終わる短い映像だったが、『シン・ウルトラマン』の新しい映像に飢えていたファンにとっては、実にたまらないサービスとなった。斎藤は特報2について「8秒は短いなとは思いましたが、あの情報量から何かヒントを感じ取ってくれる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか」と、クールな表情を崩さずにファンの期待をさらにあおっていた。

特報の初披露で盛り上がったステージには、特別ゲストとして初代ウルトラマンを演じて数々の怪獣や宇宙人と格闘を繰り広げた俳優の古谷敏が現れた。古谷はステージ上に立つウルトラマンの立像を古くからの友人のような親しみを込めて見つめつつ「あれから55年が経ちました。僕を含めて、特撮の現場では汗と涙と血と、ウルトラ愛に満ちたスタッフやキャストがいっぱいいました。こんどの『シン・ウルトラマン』も同じく、愛と夢と希望を抱かせてくれる作品になっていると思います!」と、55年前の『ウルトラマン』を一緒に作り上げたスタッフ、キャストに思いを馳せながら、『シン・ウルトラマン』の作り手である樋口監督や斎藤を称えた。

最後にマイクを手にした樋口監督は「お待たせした甲斐のあるものになるべく、今なお頑張っております! 多くのスタッフが働いており、年末年始(休み)もなくなるかも……。それでも僕は、作り続けなければなりません。古谷さんの素晴らしい仕事を見て育ってきた僕らだから、また次の世代にも素晴らしさを伝えていかなければ」と、公開日まで全力で『シン・ウルトラマン』の製作を続けていく決意を新たにした。

斎藤は「公開を前に『シン・ウルトラマン』は進化し続けています。俳優部としてはクランクアップしてからは関わることがないのですが、この作品に関してはどこかでずっと共存し続けている感覚があります。初代ウルトラマンの歴史を作ってくださった方たちへの大きなリスペクトを込めた現場でしたし、今の時代に必要な作品になると思います」と、「作品への愛着」を感じさせる熱き言葉でイベントをしめくくった。 イベントを締めくくった。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマントリガー特別編製作委員会