お賽銭の金額はいくらが適切なのか自信を持てるという人は意外と少ないのではないでしょうか。お賽銭をするタイミングといえば、初詣や節目の参拝、旅先での参拝など、神社やお寺に参拝する機会はよくあるものです。
この記事では、お賽銭の由来をはじめ、お賽銭に適切な金額はいくらなのかを解説します。また、社会常識として知っておくと役立つ参拝作法なども紹介しますので、ぜひご一読ください。
お賽銭とは
お賽銭とは、以前は祈願成就したお礼参りのしるしとして神仏に差し上げるお金とされていました。現在では意味が転じて、神仏に参詣する際に奉納する(神仏に差し上げる)お金のことを指します。
お賽銭の由来
お賽銭のルーツには諸説あり、はっきりとはわかっていません。現在では神社にお参りした時に、お賽銭箱に金銭を入れるのが一般的ですが、これは比較的新しい習わしのようです。
元々、ご神前には海の幸や山の幸をお供えしたり、米を白い紙で巻いて包んだ「おひねり」をお供えしたりするのが一般的でした。しかし、貨幣が普及するにつれ、米の代わりに金銭を供えるように変化していったとされています。
また、お金のルーツをたどってみると、古代中国で貝殻がお金として用いられていたことがあります。その貝の穴は、この世とあの世の出入り口とされ、生きている人に付いた穢れ(けがれ)が貝の穴から吸い寄せられると考えられていました。その貝をお賽銭として投げ入れることで、身を清められるという説も、お賽銭のルーツのひとつとされています。
お賽銭でお札を納める時は封筒に入れる
お賽銭は、神様への感謝の気持ちを示すものとして納めるものです。
お札をお賽銭として納める場合には、できるだけ封筒に入れて納めましょう。神社によっては封筒の裏面に住所・氏名を書いて納めると、神主が行う毎日の祈祷の中で読み上げてくれることもあります。
キャッシュレスのお賽銭を導入する神社も増えている
近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで、支払時にキャッシュレス決済を利用する人が増えていますよね。
お賽銭もスマートフォンのQRコード決済などを導入している神社などもあるようです。
お賽銭の使い道は?
集まったお賽銭は、神社やお寺の運営や維持に使われます。神社やお寺の建造物の多くは木造であり、宮大工などの専門業者に依頼すると、建物の修繕費用もかかります。さらに、お賽銭は神職や巫女さんへの給与などの費用にも充てられています。
お賽銭の金額はいくらが適切?
お賽銭の金額には5円は「ご縁」につながるなど、さまざまな通説があります。ここでは、お賽銭の金額はいくらが適切なのかを紹介します。
語呂合わせで縁起がいいといわれる金額
お賽銭の金額には、語呂合わせでゲン担ぎや縁起を担ぐような金額がよく選ばれています。
5円 | ご縁 |
10円(5円玉2枚) | 重ね重ねご縁 |
11円 | いい縁 |
15円 | 十分ご縁 |
20円 | 2重に縁 |
25円 | 2重にご縁 |
41円 | 始終いい縁 |
45円 | 始終ご縁 |
115円 | いいご縁 |
485円 | 四方八方からご縁 |
このように、さまざまな語呂合わせが通説として知られています。
語呂合わせで避けたほうがいいといわれる金額
お賽銭の金額として、語呂合わせで避けられる金額もあります。
10円玉 | 遠縁 |
65円 | ろくなご縁がない |
75円 | 何のご縁もない |
85円 | やっぱりご縁がない |
95円 | これでもご縁がない |
500円 | これ以上効果(硬貨)がない |
あくまで通説ですが、お賽銭は金額までこだわりたいという人は参考にしてみてはいかがでしょうか。
穴があいた硬貨がいいという説もある
穴があいている5円や50円硬貨は「見通しがいい」というところから、お賽銭にふさわしいという説があり、お賽銭に用いる硬貨としてよく選ばれています。
金額の語呂合わせはあくまで迷信
お賽銭の金額は常識かのように世の中に出回っていますが、実は根拠のない迷信です。ご利益には、金額の大小は関係ありません。
お賽銭の金額よりも、大切なのは神様に向き合って真摯な気持ちでお祈りすることであり、お祈りする気持ちは金額や語呂合わせなどによって左右されるものではないのです。
お賽銭は無理のない金額を入れる
神社にお参りする時のお賽銭は、無理のない身の丈に合った金額を入れましょう。参拝時に納めるお金には硬貨を用いる人が多いかもしれませんが、頻繁にお参りする人であれば、毎回お賽銭をしていると費用もかさんでしまいます。
また、大きな神社で境内にあるすべての社にお参りをする場合も、1か所ごとに高額な硬貨を納めすぎると、総額が数千円に達することもあります。
お参りの際は、状況に応じて無理のない金額をお賽銭として納めましょう。
神社への参拝方法
神社の中には参拝手順を掲示していないところも多く、作法に戸惑ってしまうこともあるでしょう。ここでは、一般的な神社への参拝手順を紹介します。
鳥居をくぐって境内へ入る
神社の鳥居は、周辺の土地と神域とを区切るためにあるという説があります。まずはここで敬意を表すために、一礼をしてから鳥居をくぐるのが望ましいでしょう。
また、鳥居の中央は神様の通り道とされています。境内を歩く際は、鳥居や参道の中央を避けて端を歩くようにしましょう。
手水舎で手を清める
手水舎(てみずや)とは、神社で参拝者が手や口などを清めるための水盤を置いている建物のことです。鳥居をくぐった後に手水舎が設けられていますので、下記の手順で清めていきましょう。
- 右手で柄杓を持って水を汲み、左手を清める
- 柄杓を左手に持ち替えて、同じように右手を清める
- 柄杓を右手に持ち替えて、左の手のひらに水を入れて口をすすぐ
- 水を左手に流して再び清める
- 水の入った柄杓を立てて、手で持った部分に水を流してから元に戻す
ほとんどの神社で同じ手順ですので、覚えておきましょう。
お参りは軽くお辞儀をしてからお賽銭を入れる
手水舎を出たら参道の端を進み、社へ向かいます。
到着したら、まずは会釈をしてください。そのあとにお賽銭箱へお賽銭を納めますが、投げないよう気をつけましょう。
「二礼二拍手一礼」の順で拝礼する
お賽銭を納めたら、まずは神社の鈴を鳴らします。そのあとに「二礼二拍手一礼」の順で拝礼するのが一般的な作法です。
深いお辞儀(二礼)を繰り返したら、拍手を2回(二拍手)打ちます。そして、合掌しながら心を込めてお祈りをし、両手をおろして深いおじぎ(一礼)をします。その後、軽くお辞儀をしてから退きましょう。
ただし、出雲大社では「二礼四拍手一礼」、または5月14日の例祭(勅祭)で行われる参拝作法では「二礼八拍手一礼」など、神社や季節によって作法が異なることもありますので気をつけましょう。
鳥居をくぐって出る
参拝を終えたら、参道の端を進んで鳥居へ向かいます。神社へ入った時と同じように、鳥居の端で一礼をしてから神社の敷地を出ましょう。
お寺の参拝方法
お寺の参拝については、お寺や宗派によって異なります。参拝先のお寺に掲示されている場合は、それに従って行いましょう。
ここでは、お寺の主な参拝方法を紹介します。
- 山門で一礼をしてから境内に入る(敷居には足をかけないのがマナー)
- 端を通って本堂へ向かう
- 手水舎で手と口を清める
- 一礼をしてお賽銭を入れる
- 鰐口(わにぐち)があれば縄で叩いて鳴らす
- 合掌してお祈りする
- 一礼をして退く
お寺の宗派によっては念仏を唱える場合や、お焼香をする場合もあります。参拝の作法は、お寺ごとのルールに沿って行いましょう。
お賽銭の意味や参拝方法を知っておきましょう
お賽銭の金額は、語呂合わせで縁起がいいという説がよく知られています。しかし、自分にとって無理のない金額で気持ちが込められていれば、いくらであっても問題ありません。
お賽銭を現金で納める場合はお賽銭箱に投げ入れず、お札の場合は封筒に入れて納めましょう。
神社やお寺へ参拝に行く際、大まかな手順はありますが、細かい作法は神社やお寺などによって異なります。施設内にマナーが掲示されている場合は、それに従って参拝するようにしましょう。