師走近づく季節、年末調整さらに年明けには確定申告も待っている。貯金1,000万円以上を貯めた猛者たちはどのような節税対策を実践しているのだろうか。アンケートで聞いてみた。

  • 貯蓄1,000万円以上の人が最もメリットが大きいと思う節税対策は?

Q.あなたは何らかの節税対策をしていますか?

「はい」(66.5%)
「いいえ」(33.5%)

Q.どんな節税対策をしていますか? 該当するものを選択してください(複数選択可)

1位「ふるさと納税」(54.6%)
2位「生命保険料控除」(44.5%)
3位「NISAの利用」(42.0%)
4位「医療費控除」(39.9%)
5位「扶養控除」(27.3%)
6位「iDeCoの利用」(26.1%)
7位「地震保険料控除」(16.0%)
8位「住宅ローン控除」(14.3%)
9位「その他(自由回答)」(5.5%)
10位「寡婦控除・寡夫控除」(3.8%)

Q.前問で選んだ節税対策の中で、最もメリットが大きいと思う節税対策は何ですか?

1位「ふるさと納税」(34.9%)
2位「NISAの利用」(19.7%)
3位「医療費控除」(10.5%)
4位「生命保険料控除」(10.1%)
5位「iDeCoの利用」(9.2%)
6位「扶養控除」(6.3%)
7位「住宅ローン控除」(4.2%)
8位「その他(自由回答)」(3.8%)
9位「地震保険料控除」(0.8%)
10位「寡婦控除・寡夫控除」(0.4%)

Q.前問の節税対策をしている理由や感じているメリットについて具体的に教えてください(自由回答)

■「ふるさと納税」

・「楽しく節税でき、効果が大きい。生活費の節約にもなります」(35歳男性/銀行/営業関連)
・「普段買わないような食べ物を、ご褒美みたいに利用できて便利だから」(41歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「控除を受けられるほか、特産品がいろいろもらえるので楽しいし、お得だと思います」(30歳女性/公益・特殊・独立行政法人/公共サービス関連)
・「ふるさと納税をすることによって返礼品が返ってくるから。それでもって節約している」(33歳男性/教育/専門職関連)
・「手軽にできる節税対策であるし、地域貢献につながる」(47歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「節税になる上に、そこの地域にも貢献できて、返礼品ももらえて嬉しい」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「寄附する側にも寄附される側にもおいても、両者どちらにもメリットがあるからです」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「税金が控除されるのも返礼品もお得だが、サイトによってはポイントが付く場合もある」(44歳男性/サービス/その他技術職)
・「2,000円で家電や名産品を入手できるのは、明らかにメリットが大きい」(53歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「自分の好きな地域を応援することができると同時に、その土地自慢の特産品が手に入るから」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「節税にはなっていないが、品物がもらえるぶん得をするので重視しています。米や肉は買わなくて、もふるさと納税でカバー出来ています」(45歳男性/その他/専門職関連)
・「なんといってもふるさと納税は、自分では普段絶対に買わないものがもらえるので、カタログを見るだけでも楽しさがある。節税の上で、選べるギフトを使っているような楽しさがあるのが魅力的」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「ニュースでふるさと納税返礼品が問題になっていて、所得に応じて寄付金の額が決まっているけど、どこを見ても寄付金よりもお得な返礼品がもらえる。自治体も特産品を送ることによって地方のアピールや活性化になるからいいと思う!」(50歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「投資をするような感覚で勉強にもなるし、いいことをしながら特産物を手にできるのが気持ちいい」(42歳男性/食品/営業関連)
・「同じ税金を取られるのなら、自らの意思で納税先を決めて納めたい」(47歳男性/不動産/営業関連)

■「NISAの利用」

・「資産運用していて、NISAは非常に助かります」(53歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「投資ができる上に、節税効果が高い」(41歳男性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「配当金の手取りが2割増えるようなものだから、ありがたい」(44歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「多額の譲渡益や配当に対する税金が控除される」(36歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「資産運用してお金に稼いでもらい、効率良く貯金ができる」(27歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「個人資産をわずかでも増やすことができるし、掛けた分だけ節税になるから」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「年間40万円まで全く税金がかからないNISAがメリットがあると思う」(47歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「売買利益の2割を税でもっていかれるか、節税できるかの違いはやはり大きいです」(58歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「デメリットがまったくない」(46歳男性/その他メーカー/営業関連)

■「医療費控除」

・「高額療養費を支払った場合、申告すれば医療費控除が受けられるから」(54歳女性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「医療控除はとても必要なことだと思っている。持病もちだし、いつ何か起こるかわからない。自分のために備えておくのは、とても必要なことだと思う」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「申請を忘れずにしないといけないが、体が悪いのでかなり戻ってくる」(51歳男性/専門店/販売・サービス関連)
・「高額な治療費が掛かった場合に、必要に応じて高額医療費制度や医療費控除は、国民に必要な制度だと思います」(54歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「介護をしている関係上、介護費用・医療費・必要経費に関する支援・補助・減税など、利用できるシステムがかなり多い」(59歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「数年前、家内が手術を受けて以来、掛かった医療関係費をエクセルシートに付けて管理しています。規定金額にいく年と満たない年がありますが、一応記録を付けて、超えたら申告するようにしています、返金額は微々たるものですが、申請しなければ還って来ないお金なので貴重です、知らないと損すると思います」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)

■「生命保険料控除」

・「細かい金額でも控除できる」(40歳女性/サービス/専門職関連)
・「安心を備えた上で、節税もできる」(49歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「確定申告の時に申告でき、減税できるから」(56歳男性/医療・福祉・介護サービス/メカトロ関連技術職)
・「毎年必ず年末調整で還付があるので、引き続き忘れずに申告をしていきたい」(45歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「毎年の年末調整で還付金がかなり戻ってくるのが給与明細で確認できるので、かなりのメリットを感じる」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「それなりに控除があり、満期の時にもメリットがある。どれか1つ選択するなら、これ」(59歳女性/化粧品・医薬品/その他技術職)

■「iDeCoの利用」

・「非課税で投資ができ、節税にもなる」(43歳女性/ドラッグストア・調剤薬局/その他技術職)
・「似たような給与の人と税金の金額が違うので、やはりメリットはあると思う」(40歳女性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「投資によって資産が増える事に加えて、利益分の税金が少なくなるのでメリットは大きい」(59歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「掛け金が所得控除されるため、実質30パーセントでの運用と等しい」(47歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「iDeCoは、いくつかある節税対策の中でも最も有利な手段だと考えます。運用中の利益が非課税になることや掛金が全額所得控除になることもそうですが、何より60歳まで引き出せないという強制貯金としての側面があることが一番のメリットだと考えます」(37歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「税金を勉強すれば、用意された節税制度を利用しないと取られるだけで資産はなかなか増えないから。自分の税金をいかに抑えるのかを考えて、3月4月5月の手取りを抑えるように勤務の調整をすることで健康保険料を抑えられるし、確定申告をすればふるさと納税のギリのラインを狙える」(59歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
・「うちの会社には退職金制度がないため」(41歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)

■「扶養控除」

・「源泉徴収の一環」(54歳男性/銀行/専門職関連)
・「税金対策になりますので、非常に助かっています」(45歳男性/輸送用機器/技能工・運輸・設備関連)
・「申請して控除できるなら、するべき」(48歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「実際に確定申告書を作成した場合に算出される控除額が、最も高額となるため」(53歳男性/不動産/専門職関連)

■「住宅ローン控除」

・「毎年40万円の節税はかなりお得だから」(52歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「いま自分が行なっている節税対策でいちばん金額が大きいので、メリットを強く感じます」(36歳男性/不動産/専門職関連)
・「金利以上に控除額が発生するので、お得なイメージ」(35歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「子どもがまだ小さいから、お金は少しでも残してあげたいからです。メリットは、10年間税金を控除してもらえています」(51歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■「その他」

・「暦年贈与:毎年100万円前後のお金を不定期に子どもの口座に移して、自分の死亡時の相続税負担を軽くする」(59歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「障害者免除制度:さまざまな免除制度で、かなり負担が減らせる」(58歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「配当を総合課税で申告:配当控除で還付される」(56歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「投資の損失繰越し控除:損失を繰り越すことが出来る」(55歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/その他技術職)

■総評

調査の結果、貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース会員の、最もメリットだと思う節税対策の1位は34.9%を集めた「ふるさと納税」となった。以下、2位「NISAの利用」(19.7%)、3位「医療費控除」(10.5%)、4位「生命保険料控除」(10.1%)、5位「iDeCoの利用」(9.2%)までがトップ5となっている。

その節税対策をしている理由や感じているメリットについて、具体的に聞いた。まず、「ふるさと納税」については、「楽しく節税できる」「控除を受けられる」「地域貢献につながる」「ポイントが付く」「特産品が手に入る」「自らの意思で納税先を決められる」などのコメントが寄せられた。国民の義務である納税を、エンターテインメント感覚で行えることが好感されている様子がうかがえる。

2位「NISAの利用」と5位「iDeCoの利用」は、資産運用や投資の一環として利用されている。節税効果をはじめ、投資や資産運用の効果を実感できることが大きなメリットとして評価されているようだ。

「NISAの利用」では「年間40万円まで全く税金がかからないメリットがある」「売買利益の2割を税でもっていかれるか、節税できるかの違いは大きい」「デメリットがまったくない」。「iDeCoの利用」は、「掛け金が所得控除されるため、実質30パーセントでの運用と等しい」「いくつかある節税対策の中でも最も有利な手段」などのコメントが印象に残る。

3位「医療費控除」、4位「生命保険料控除」は、通常の確定申告の中でできる節税対策として実践してる人は多い。「生命保険料控除」は、会社員であれば会社に必要書類を提出することで年末調整として処理できるので、ハードルが低いことも奏功しているだろう。「医療費控除」も平成29年に導入された「セルフメディケーション税制」で申請手続きが簡素化されているため、利用者は増えていそうだ。

今回の調査では、貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース会員の3分の1以上が、「ふるさと納税」を最もメリットだと思う節税対策と捉えていることがわかった。これは、かなりの高率だろう。

この「ふるさと納税」をはじめ、2位「NISAの利用」や5位「iDeCoの利用」は、自らが能動的に動いてこそ得られる節税対策と言える。今回ははからずも、貯蓄1,000万円以上の人たちの節税に対するポジティヴな姿勢が垣間見えるアンケートとなったのではないだろうか。

調査時期: 2021年9月19日
調査対象: 貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース男女会員
調査数: 358人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません