YouTube・サブスク動画配信サービスの台頭、視聴率指標の多様化、見逃し配信の定着、同時配信の開始、コロナ禍での制作体制――テレビを取り巻く環境が大きく変化する中、最前線にいる業界の“中の人”が語り合う連載【令和テレビ談義】

第3弾は、数多くのクイズ番組を手がけ、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)でも話題となったクイズ作家の矢野了平氏と日高大介氏が登場。『今夜はナゾトレ』を手がけるモデレーターのフジテレビ・木月洋介氏を含めた3人で、「クイズ番組」についてとことん語り合うテレビ談義を、5回シリーズでお届けする。

第1回は、四六時中クイズに向き合う矢野氏&日高氏の生態、そして近年のヒットである「謎解き」の進化に迫っていく――。

  • (左から)矢野了平氏、木月洋介氏、日高大介氏

    (左から)矢野了平氏、木月洋介氏、日高大介氏

■チョコプラのコントになった2人

――矢野さんと日高さんは『プロフェッショナル』で、学生時代からクイズ番組の解答者として切磋琢磨してきた関係性が紹介されていましたが、木月さんとの出会いはどこだったのですか?

木月:矢野さんは2006年ですね。クイズじゃないんですけど入社3年目のときに社内コンペを通ったさまぁ~ずさんMCの『タミゴエ』という番組があって。

矢野:「自分のことがちゃんと分かってるのか?」ということを問うようなトーク番組でしたよね。

木月:一度レギュラー化しかけたんだけど、なくなるという…。でも、そこからちょこちょこお会いする中で、『タモリのジャポニカロゴス』とか『全国一斉!日本人テスト』『クイズやさしいね』『今夜はナゾトレ』とお世話になってます。日高さんとは『日本人テスト』のときに初めてお会いして、その後なぜか『笑っていいとも!』に出てもらいました(笑)

日高:これが大きかったんですよ。あれは2011年3月11日で、家に帰って開放感に満ちあふれていたらああいうこと(東日本大震災)になったのもあって、印象的で忘れられないんです。

木月:「瞬間うんちく王がやってきた」という単発コーナーを作りまして、謎のプレッシャーを与えてしまいました(笑)

日高:お題を言われてそれに対して豆知識で返すというコーナーです。そのとき、ゲストで来てたV6の岡田准一さんと真木よう子さんに「バッジ」と言われて、「弁護士バッジは失くすとその回数が裏に刻まれる」って返しました。関根勤さんには「くるぶし」と言われて(笑)

矢野:そこから日高はクイズというより、「うんちくを言う人」という仕事が増えるんですよね(笑)

日高:まだ続いてますよ。いよいよ、うんちく歴11年になってしまいました(笑)

  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ系、毎週火曜19:00~) (C)フジテレビ

木月:このおふたりはクイズ作家というところにとどまらず、出役としての才もすばらしいんですよ。『久保みねヒャダ』にも出ていただきましたし。

日高:矢野は最近、急に露出が増えたなあという感じ?

矢野:タイミングだよね。周りがイジるようになってきたということじゃないですか?(笑)

木月:でも、あの『プロフェッショナル』は面白かったですね。いろいろと素敵でしたし。

日高:あれがきっかけで、またいろんな仕事が増えました。

矢野:『プロフェッショナル』という番組自体が完成されたフォーマットなので、そこで何もしなくてもカッコよくしていただけますから、ありがたい話で(笑)

木月:おふたりは『新しいカギ』でコント(※)にもさせていただきました(笑)。(放送作家の)樅野(太紀)さんがアイデアを出してくれて、僕は「意地でもやりたい!」と思って。

(※)「クイズ作家・ヤノとヒダカ」…チョコレートプラネットの松尾駿が矢野氏、長田庄平が日高氏をモチーフにしたクイズ作家に扮し、寿司屋でことあるごとに「問題です!」とクイズを出題し合い、周りを戸惑わせるコント。

日高:とても貴重な経験をさせていただきました(笑)

矢野:僕は裏番組(テレビ朝日『マツコ&有吉 かりそめ天国』)をやってるけど「裏被りじゃないよな!?」っていう不思議な体験をしました(笑)

日高:僕のマネってすごく難しいと思うんですけど、長田さんがボーダーにトートバッグで入ってきた瞬間、ちょっとゾクッとなりましたよ。いつもあの格好をしてるって誰が教えたんだ!って(笑)

木月:それは千葉(悠矢、『99人の壁』企画・演出)かもしれないですね。あのコントは千葉がディレクターをやっていたので。

矢野:本当に、この半年で貴重な経験をいっぱいさせてもらってます。もう流れに身を任せるだけです(笑)