昨年の大みそか、テレビマニアやクイズフリークたちの話題をさらった1時間の単発番組が、フジテレビで放送された。『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』。コロシアムのように四方を囲んだ99人の群衆に対し、たった1人が"自分の得意ジャンル"という武器で立ち向かっていくスタイルで、ドラマチックな展開の数々に、年の瀬の午前中にもかかわらず、SNSでも大きな盛り上がりを見せた。この番組の第2弾が、早くもプライムタイムで、5日(22:00~23:34)に放送される。

企画したのは、なんとフジテレビ入社2年目(当時)の千葉悠矢氏。普段はアシスタントディレクター(AD)として従事しているが、同局バラエティ番組の制作セクション・第二制作室の「企画プレゼン大会」で優勝し、「企画・演出」として番組を立ち上げるチャンスを見事につかんだ。そんな千葉氏に、番組の裏話や見どころ、そして今後の展望まで、たっぷりと話を聞いた――。

  • 001のalt要素

    『超逆境クイズバトル!! 99人の壁・春の乱』(フジテレビ系、4月5日22:00~23:34)
    100人の参加者から選ばれた"チャレンジャー"1人が、"ブロッカー"99人を相手に早押しクイズで対決。人数では圧倒的に不利だが、問題は自分の得意ジャンルを指定でき、5問連続正解で賞金100万円獲得となる。MCは、俳優の佐藤二朗(写真)。今回は、Toshl、長嶋一茂、滝沢カレンが"スペシャルワンマッチ"を行うボーナスステージも行われる。(C)フジテレビ

頭の中にアイデアが降ってきた

――昨年初めて開催された第二制作室の「企画プレゼン大会」で金メダルを獲得し、番組化された『99人の壁』ですが、この企画を思いついたのはどういう経緯だったのですか?

プレゼン大会の前に、「Twitter vs クイズ王」という企画を出したんです。それは、スタジオにいるクイズ王4人と全世界のTwitterの人にクイズを出題して、一番早く答えた人が勝ちというルールでした。

――99人どころじゃなかったんですね!

そうなんです。でもプロデューサーから、「確かにTwitterで正解したら盛り上がるけど、視聴者は正解した人の顔が見たいんじゃないか」と指摘を受けて、その企画は1回なくなったんです。その後、プレゼン大会の応募にあたって、企画を一緒に考えていた放送作家の方と"数的優位"みたいな企画が面白いよねという話をして、大相撲の力士に小さい太っちょたちが10人で寄ってたかって倒そうとするって企画を出そうとしたんです。でも、1回冷静になったら『水曜日のダウンタウン』で同じのを見たことがあると気づいて(笑)

――思いっきりやってました(笑)

作家さんにも「これで出します」って言っちゃってたんですけど、提出期限の前日になって「これはヤバいぞ…」ってぼう然として。そんな中で、ある番組のネタを決める打ち合わせをしてるときに、急に「原点に戻ってクイズを1人対99人でやったらどうなるんだろう…でも絶対勝てないな…そしたら得意ジャンルに絞ったらいいんじゃないか…!」ってバババーっと頭の中にアイデアが降ってきたんです。

――ずっと温めていたんじゃなくて、尻に火がついた状態で思いついた企画なんですね。

急に5分くらいで思いついて、これで行こうと思って出したものが、たまたま通ったっていう感じでした。

クイズ作成に膨大な作業

002のalt要素

千葉悠矢
1993年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学卒業後、16年にフジテレビジョン入社。以来、『超ハマる!爆笑キャラパレード』『FUJIYAMA FIGHT CLUB』『RIZIN』『久保みねヒャダこじらせナイト』『ネタパレ』でADを担当。17年10月スタートの『白昼夢』でディレクターデビュー。『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を企画・演出。

――クイズはお好きなんですか?

いや、むしろ見ないほうです(笑)

――そうなんですね(笑)。そこから放送が決まって、実際に番組化するにあたって苦労した点は、やはりめちゃくちゃ多い数のクイズを作らなければいけないということでしょうか?

そうですね。僕も作家さんも、クイズを全然知らないチームだったんですよ。単純計算で1人あたり5問なので、500問作る必要があるんですが、頑張って作れば何とかなるだろうと思って、矢野了平さんというクイズ作家の方に相談したら、「相当頑張らないと、普通に間に合わない」と言われて(笑)。それで、矢野さん率いるクイズ作家さんのチームにたくさんクイズ作ってもらって、そこからどれを問題として出すのかを厳選していくんですけど、それが非常に大変で。選んでる間は楽しいんですけど、すべての正解に裏取りをしないといけないんですね。僕、そんなこと全く想像してなくて、そんなの出したもん勝ちだろうなんて思ってたんですけど、「裏取りしないと絶対あとでモメる」と言われて、「そんな作業があったんだ!」って(笑)

――参加者からすれば、賞金がかかってますからね。

そこから、制作陣で毎日ずっと10時間くらい、これは合ってるのかとか、この裏取りはネット情報で信用できないからやめようとか、延々作業するのが一番しんどかったですね。前回は1問予備を用意して1人あたり6問作ったんですが、今回はさらに念を入れて、1人あたり7~8問用意しました。

――うわー! それだけたくさんクイズを作っておいて、1回の単発番組で終わらなくて本当に良かったですね!

ホッとしました(笑)。ただ、2回目に生かせた問題もありますが、いまだに眠ってる問題もあります(笑)。余談ですが、最初は100人ではなく、総勢300人でやろうとしてました(笑)

――さらに膨大な作業になるところだったんですね(笑)。この番組は、参加者がそれぞれ得意ジャンルを持ち込んでくるので、クイズのバリエーションがすごくバラエティに富んでいると思いました。プロのクイズ作家には思いつかないようなアイデアも出てくるんですか?

そうですね。応募フォームを見ていると、「何これ!?」とか「そういうのが来たか!」っていう問題が出てくるので、面白いです。