「お金に強くなるマネーカウンセリング」をモットーに、年間100人以上のクライアントのお金に関する悩みを解決しているマネープランナーズの小峰一真が、前回に続き年収400万円代でマンション購入にお悩みのかなさん(仮名)の相談にこたえていきます。今回は相談者のかなさん(仮名)の収支状況を確認し、いくらであれば購入できるのか予算額を考えてみましょう。

  • ※画像はイメージ

◆前回の振り返り

年収400万円・33歳独身女性「結婚は未定だけど都内のマンションを買うべきか賃貸で暮らし続けるべきか迷っています」

◆かなさん(仮名)の家計をチェック! 収支状況は?

かなさん(仮名)の収支状況です

年収430万円(賞与120万円)(税込み)

食費:30,000円
雑貨/日用品:10,000円
衣服:5,000円
光熱費/水道3,000円
電気2,000円
ガス5,000円

通信費
携帯電話本人:8,000円
家具・家電費:5,000円
趣味娯楽:30,000円
医療費3,000円
交通費5,000円
生活費合計:106,000円

家賃100,000円/月

趣味(旅行)100,000円/年間

保険料10,000円/月

貯金500万円

かなさん(仮名)のコメント

毎月、ある程度は家計簿を付けているので無駄遣いとか多いとは思わないですが、いかがでしょうか? 最近はコロナの影響もあって自炊も増えているので、外食や飲み会も減ってもう少し貯金も出来るかな?と思っています。あと、保険に関しては実家の母が知り合いから入っていたのをそのまま引き継いでいるので、自分に合っているのか分かりません。

FPのコメント

かなさん(仮名)のおっしゃる通り家計はしっかりと管理されているようですね。ただ、今後は物価上昇、インフレのリスクもあるので、シミュレーションでは物価上昇率も加味しておきます。また、保険に関しても内容をみると掛け捨ての更新タイプで、今後保険料がアップするのでこれを機に見直しをされると良いでしょう。

現状のキャッシュフロー表と金融資産残高の推移を確認しみてみましょう。

◆このままでは77歳で金融資産がなくなる計算に

金融資産残高の推移をグラフにしたものです。横軸が時系列、縦軸が金融資産の残高を表しています。

このままの収支で推移すると77歳の時に金融資産(預金)がなくなってしまうシミュレーション結果になりました。

要因としては賃貸の支払いが続くことがセカンドライフの収支を厳しくしていることがあげられます。

また、これといった資産運用も手掛けていないのもセカンドライフの収支にプラス要因がないので要改善のポイントです。

かなさん(仮名)の感想

うわー! 人生100年時代とか言われているのに77歳でお金がなくなるって結構ヤバいですよね?! ただ、将来のお金の流れがイラストで分かりやすく見えてきたので良かったです! でも、77歳はお金がなくなってしまうのは心配です、収入を増やすのは難しく今より支出を減らすのもちょっと難しいです。

FPのコメント

実際、こうしてイラストにしてみると驚かれる方が多いですね。しかし、実際に私たちと相談される方の半数以上がこうしてセカンドライフの途中で金融資産がなくなってしまう結果が出てしまいます。しかし、これは早く分かった方が良いことですのでショックを受けることではありません! 早めに分かることで改善策の選択肢が多くなります。特に今回は、マンション購入を早めに検討されることがセカンドライフの収支のプラス要因になります。この辺りを次のパートで見てみましょう。

◆マンションの購入予算額は?

収支から予算を算出していきましょう!

まず、大事なのはマンションを購入するとローンの返済以外の支出があります。そうです、「修繕管理費」と「固定資産税」です。予算を検討する際に物件価格とローンだけで進めてしまうと、収支が合わず失敗してしまうことがあります。特に「毎月の家賃と同じ金額だ!」と安心して物件検討を進めてしまうと毎月の支出のうち修繕管理費と固定資産税(月換算した場合)が多くなってしまいます。

今回、かなさん(仮名)さんの場合は家賃が10万円ですのでローン返済は8万円前後に押さえて検討することがおすすめです。

今回のシミュレーションでは
借入額:3000万円
借入期間:35年間
適用金利:1.3%固定金利
毎月返済額:88944円
管理費・修繕積立金:20000円/月
固定資産税:80000円/年
こちらで設定しました。

金融資産残高の推移はこちらです。

賃貸継続では77歳で金融資産(貯金)がゼロになっていましたが、マンションを購入することによりローン返済が終わる67歳以降の収支が改善され、金融資産(貯金)の減少スピードを緩やかにすることが出来ました。

また、掛け捨てになっていた保険も見直した結果、しっかりと資産運用も出来、収支改善につなげることが出来ました。

かなさん(仮名)の感想

マンション購入でこんなに変わって来るんですね! 91歳だとほとんどカバーできますよね。すごい安心感があります。ただ、借金をする怖さはありますね…また、保険の見直しも有効ですね。こっちの方はすぐにでも始めたいです。マンションは物件とローンについても考えないとですね。

FPのコメント

マンション購入がセカンドライフの収支の改善に繫がることがご理解いただけて良かったです。ただ、かなさん(仮名)のおっしゃる通り数千万円(今回は3000万円)という借金を背負う怖さはあると思います。しかし、不動産という財産を手に入れることも出来るので、ただ借金が増えるという訳ではないことも理解されると良いでしょう。不動産は資産価値が下がりにくい物件を持つことによって、ローンの残高との差額が含み資産にもなる投資の一面もあります。また、保険の見直しに関しては、早く改善できれば結果が良くなりますので取り組みましょう。

◆物件選びのポイント

予算が見えてきたら次に大切なのが物件探しです。賃貸探しと大きな違いはありませんが、前回のコラムでお伝えしたように、将来「売りやすい」「貸しやすい」という出口戦略が重要です。現地を見学に行った際に自分だけの価値観で決めるのではなく、将来買ってくれる人や借りてくれる人の視点に立つことも大事です。

例えば、不動産選びの格言で「駅から近くてコンビニが近くにあって静かなところはない」というものがあります。意味するものは「優先順位」を立てるということです。駅から離れて静かなエリアを選ぶか、駅から近く少し騒がしくても利便性を取るか、判断することがとても大切です。

また、間取りも重要な要因を占めてきます。今回は予算やライフステージ的にも大きな部屋ではないので、水回りの3点ユニット(風呂・トイレ・洗面台が一緒)のものは嫌われる流傾向があり、選択肢から外すことをおすすめします。この点は本人の価値観と一緒かも知れませんね。

最近、自然災害の発生も増えているのでハザードマップなどから洪水や地盤の強さなどもチェックすると良いでしょう。不動産は動かせず長く付き合う資産になりますので、出来るだけリスクを抑えることが大切になります。

かなさん(仮名)の感想

賃貸で家を探すのと違って注意点が多いですね! どれもこれも「ごもっとも」という内容です。特に私は洪水や火災が少ない地域出身なので見落としがちでした。マンション探しでは見落とさないようにしたいと思います。

◆まとめ

今回は、ライフプランに変化が見込まれる独身女性のマンション購入の相談について、具体的な予算算出から物件選びまでコンサルティングをしました。結婚やお子様誕生など変化が見込まれるので、フレキシブルな対応が必要になります。その為、物件選びも予算だけでなく立地条件などもしっかり確認していきましょう。

この記事を執筆したカウンセラー紹介


小峰一真(こみねかずま)

所属:株式会社マネープランナーズ →こちらのサイト

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。