これから一人暮らしを始める際、毎月必ず支払わなければならない「家賃」の相場は気になるものです。すでに一人暮らしを始めている方も、今住んでいる賃貸物件の家賃が相場と比べて高いのかそれとも安いのかは、とても知りたい情報なのではないでしょうか。

今回は、一人暮らしの家賃相場や、相場より高い家賃設定をしている物件のポイント、そして更新手数料や家賃の値下げ交渉術などをご紹介します。一人暮らしを始める方も、すでに住んでいる方も、毎月の出費となる「家賃」について一緒に考えてみませんか?

 

一人暮らしの家賃の相場は?

物件を探すにあたり、家賃の相場を知っておくことが重要です。家賃の相場は地域ごとに違っているので、これから住む地域の目安を頭に入れておきましょう。

全国賃貸管理ビジネス協会の統計によると、間取りが1部屋の家賃の全国平均は5.01万円だそうです。上位10都道府県を抜粋すると下記のようになりました。やはり、首都圏や関西圏が上位に登場しています。

1位 東京都  6.77万円
2位 神奈川県 5.75万円
3位 大阪府  5.42万円
4位 埼玉県  5.25万円
5位 千葉県  5.23万円
6位 兵庫県  5.11万円
7位 京都府  5.03万円
8位 広島県  4.89万円
9位 長崎県  4.79万円
10位 宮城県  4.72万円

 

なぜ家賃が高くなるの? 何が原因?

家賃に相場があるといっても、実際には地域や立地、間取り、物件によって大きく変わります。前出の調査によると、東京都の場合1部屋6.77万円のところ、2部屋でプラス約2万円、3部屋でプラス約3万円と、家賃が上がっていきます。築年数が経過しているとその分安くなる場合がありますが、その場合、水回りやエレベータなどの設備が古いままで、使い勝手がよくないことも。

入居者にとって利便性や住み心地がよい機能や条件がいくつもあると、家賃は相場より高く設定される傾向にあります。アレもコレもと、希望条件が叶う部屋はもちろん理想ですが、「コレだけは譲れない」「別にアレはなくても我慢できる」など、自分にとっての優先順位に基づいて部屋を選べば、おのずと納得感のある金額設定になるはずです。

逆に、一見してよさそうな立地や間取りでも、相場より安すぎる場合、不動産会社にその理由を必ず確認しましょう。掘り出し物であれば嬉しいですが、安くしなければならない理由があるのかもしれません。

相場より家賃が高く設定されているかもしれない例

・駅やスーパーなどから近い「好立地」
・防犯、日当たり、見晴らしの面で条件の良い「高層階」
・窓が多く、他の部屋の生活音が気になりにくい「角部屋」
・ガーデニングや洗濯物を干すのに嬉しい「ベランダ、バルコニーの有無」
・来客時も困らない「風呂・トイレ・洗面台が独立型」
・風呂、トイレ、キッチンなど「新しい水回り設備」
・宅配ボックスや24時間使用できるゴミステーションなどの「付加価値機能」
・一緒に暮らせて嬉しい「ペットOK」 など

 

 

相場より家賃が安すぎる場合は要注意

・隠したい過去のある「事故物件かもしれない」
・周囲とトラブルをよく起こす「問題のある入が近くに住んでいる」
・近くにお墓があるなど「周辺環境に問題がある」
・入居者が次々と入れ替わる「何かしらの問題」 など

 

自分が支払える家賃の上限は?

理想の住まいの条件をあげればキリがありませんが、自分が支払える予算には限りがあります。社会人であれば、家賃の目安は1か月の収入に対し、3分の1が上限だといわれています。学生の場合でも、仕送りやアルバイト代の中から工面する方がいる場合も。自分の収入から事前に家賃の支出を計算しておくようにしましょう。

厚生労働省の「2018年賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の初任給は20.67万円だそうです。ここから所得税や健康保険料、厚生年金、雇用保険などが20%弱引かれると考えると、新社会人の方の家賃上限は約6万円と想定できます。この金額には、共益費も含まれるので忘れないでください。

学生の場合は、東京私大教連が2017年にまとめた「私立大学新入生の家計負担調査」によると、私立大学新入生の毎月の仕送り額※ は8.61万円なので、仕送りの中で家賃や食費をまかなえるよう計画するといいでしょう。

※仕送り額は6月以降の平均額。入学直後の5月は新生活にかかる費用や教材購入費などで出費がかさむので、出費が落ち着く6月以降を月平均の参考とする。

 

更新はどんな手続きが必要になる?

国土交通省によると、家賃の更新手数料があるという世帯は38.2%で、77.4%が家賃の1か月分を請求されているそうです。

更新時期を迎える数ヶ月前に、契約更新の旨と手数料の請求を伝える封書が届くはずです。多くの賃貸物件は2年ごとの契約更新となっています。まれに、1年契約の場合があるので、手元の契約書をよく読んでおきましょう。契約更新のタイミングで、更新料が必要だったりもするので要注意です。

とはいえ、月々の家賃支払いに加え、2年に一度、1か月分の更新手数料を支払うのは、お財布に厳しいですよね。更新手数料の値下げはできないのでしょうか?
実は、更新手数料の請求は、関東をはじめとした一部地域に多く残る昔からの慣習なのだとか。

つまり、更新手数料に関する法的な決め事はありません。同じ物件の部屋で、自分が支払っている家賃より安く賃貸に出されている、近くに高いマンションが建ち日当たりが悪くなった、といった明確な理由を挙げたうえで、更新手数料の値下げを打診すると、大家さんも耳を傾けてくれるかもしれません。

あくまで正当性のある理由と常識的な範囲の金額を提示し、これからも住み続けたいという想いを伝え、交渉を投げかけてみてはいかがでしょうか。

 

 

家賃の値下げ交渉もできる?

月々の出費の多くを占める家賃は、できるだけ安く抑えたいものですよね。「あと少し家賃が下がらないかな」と思ったことはありませんか? または、物件探しの際「あと少し安かったらココに決めたいのに」といった惜しい想いをした方もいると思います。実は、家賃の値引き交渉もできる場合があるので、交渉してみてはいかがでしょうか。

家賃の値引き交渉は、4月以降の引っ越しのオフシーズンを狙う

賃貸物件は、空室状態が長く続いていると一番損をしてしまいます。なので、空室が多く入居希望者が少ない時期には、大家さんも値引きの打診に耳を傾けてくれやすくなります。反面、1〜3月の新年度に向けた引っ越しシーズンは、入居希望者も増え、空き部屋も埋まっていく傾向にあるので、なかなか交渉は難しいでしょう。

つまり、4月以降の賃貸物件のオフシーズンであれば、値下げに応じてもらえる可能性が高くなるのです。

この家賃交渉は、すでに何年か住んでいる方にとっても同様です。4月以降のオフシーズンに交渉を持ちかけた場合、大家さんの目線から見ると「値下げの交渉を持ちかけられたが、退去され空き家になってしまっては、借り手も少ない時期だから困る」と、まずは話だけでも聞いてもらえるかもしれません。

 

毎月支払う家賃をもっと意識してみましょう

家賃は、賃貸に住む限り、毎月必ず定額で出ていく固定費です。少しでも固定費を下げるということは、長い目で見ると確実に大きな節約効果が生まれます。

物件探しの場合は、まず地域の相場を知り、住まいに求める優先順位をはっきりとさせてから、納得感のある家賃設定の物件を選ぶことが大切です。そして、住みはじめてからも家賃と住み心地のバランスがよくないと感じたら、時には勇気を出して更新手数料や家賃の値下げ交渉を持ちかけてみるのもいいかもしれません。

ぜひ、大切な生活費の中で多くを占める家賃のことを意識してみましょう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。