ケンコバが考える破滅とは、“人々がお笑いに飽きる”ということなのか?

「これまたプロレス界からの引用になっちゃいますが、『マニアがジャンルを潰す』という言葉があるんですよ。僕もそのマニアの一人でした。先鋭化し過ぎて、何か、認めなくなってくるんですよね。『こんなの甘い』と。そんな状況になってくる。プロレス界が一回破滅する直前に、前田日明さん(元プロレスラー。現「The Outsider」プロデューサー)とかがやり始めたのがプロレスや格闘技を語ること。あれが発端でした。それと今のお笑い界が非常に似ています。正直、本当に俺はビビっています」

お笑い界は、M-1やキングオブコントなど賞レースが盛んに行われ、健全な競争のサイクルが回っている。忖度が少ない世界に見える。するとケンコバは「競争のサイクルはありますよ。まぁ、芸人は精神構造上、健全な人が多いです。変人は変人ですけど、隣人に迷惑をかけるタイプの変人ではないです。さっき挙げた宮迫さん、木下さん、渡部以外は健全な人が多いです。そういう意味ではたしかに清い世界です。かといって、他の業種と変わらないくらいドロドロした部分もありますし。俺は、そういうところとは芸人2年目ぐらいから距離を置いています」と明かした。

お笑い界破滅という危機感を持つ今、自身はどんな役割を担おうと考えているのか。そう問うと、少し考え込んでからこう語った。

「地獄芸人はまだまだいます。彼らをとりあえず一回日光に当てれば、俺の使命は終わりですかね。青臭い話ですけど、お笑いが好きなんですよ。いや、芸人が好きなんだと思います。好きなやつ相当多いですよ。日の目を浴びている人も含めて、皆好きです。日の目を見ていない芸人に関しては、光を当ててあげたいです」

「地獄寄席」もそうした裏テーマが潜んでいるようだ。ケンコバ自身は「そう言うと随分健全に聞こえますね。あの、こんな滅茶苦茶なインタビューで大丈夫なんですかね? 始めは『地獄地獄地獄!』と言ってたのに後半ぜんぜん違うじゃないですか」と笑う。

最後に一言だけ求めると「パートナーがいるんですよ、彼女がね」と突拍子もない話を始めた。「振り返れば(交際)2年以上経つんですけど、俺、浮気的なことをしていないんですよ。『らしくないな』と思っています。『一晩だけいいわよ』という方いらっしゃったら、連絡もらえたら嬉しいです。これ、マストで書いておいてくださいね」と念押しされた。

どこまで本気でどこまで嘘か分からないケンコバ。自由奔放な様は、昔テレビで芸人が見せた姿のようだった。そんなケンコバ主催の「地獄寄席」、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。