吉沢亮主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)は、11日放送の第22回「篤太夫、パリへ」でパリ編がスタート。きょう18日放送の第23回「篤太夫と最後の将軍」では、渋沢篤太夫(吉沢)らが洋装姿へとイメチェンする。一方、日本では、徳川慶喜(草なぎ剛)が政権を帝に返上し、歴史が大きく動く。第22~24回の演出を担当した田中健二氏に、見どころを聞いた。

  • 『青天を衝け』で主人公・渋沢篤太夫を演じている吉沢亮

フランスからの借款は消滅したが、篤太夫が当面の資金繰りに奔走し、昭武(板垣李光人)は留学を継続。家庭教師のヴィレットの教えに従い、篤太夫たちは髷(まげ)を落とし、刀も外し、洋服を着ることに。パリで様々な西洋文化の洗礼を受け、篤太夫はグローバルな思想を身につけていく。

田中氏は「かつて外人嫌いとされた攘夷志士だった篤太夫が、いかに外国の人たちを人間として認め、理解していくかという大きな変化が訪れます。そこは水戸藩士ら他の登場人物たちをリトマス試験紙のように置いて、篤太夫と対比させるようにと、演出的にも仕込みました」と解説し、「吉沢くんもそこをよく汲み取って演じてくれました」と吉沢の演技を称賛。

「篤太夫は『おかしれい』と感動する好奇心や、平岡円四郎(堤真一)に共鳴した点などをパリでも発揮していくので、吉沢くんにも、新しいことを受け入れる篤太夫の能力が際立つように演じてもらいました。だから渋沢栄一は、あんなに大きな人になっていったのかとわかってもらえるんじゃないかと思います」と語った。

日本では西郷(博多華丸)が軍備を整え、岩倉(山内圭哉)と大久保(石丸幹二)が王政復古への動きを進めるが、慶喜は先手を打って政権を帝に返上する。

田中氏は大政奉還のシーンについて、「慶喜公は、見方によって非常に評価が分かれる人物で、勉強すればするほどわからなくなっていくし、本当のところはどうだったのかもわかりかねますが、『青天を衝け』としては、なぜ慶喜公が、幕末にああいう手札に至ったのかという経緯を描きました。草なぎさんにも、そこに至った気持ちを軸にして演じてもらいましたが、いままでの幕末ものとはひと味違う感じの描き方になったと思います」と手応えを口に。

そして、「草なぎさんがすごくいいお芝居をしてくれました」と称賛し、「宣言はすごく難しい言葉なんですが、 “草なぎ慶喜”の気持ちをちゃんと出してくれたなと思いました」と太鼓判を押した。

パリで変化していく篤太夫たちと、政権返上という決断を下す慶喜。吉沢や草なぎら俳優陣の熱演に注目だ。

(C)NHK