「ご無沙汰しております」は、ある程度の期間、関わりのなかった相手に対する挨拶として使われます。長期間連絡しなかったことに対するお詫びの気持ちも込められているので、ビジネスメールでも利用するシーンは多いでしょう。
本記事では、「ご無沙汰しております」の正しい使い方や返事例、「お久しぶりです」との違いなどについて詳しく紹介します。使用時の注意点、英語表現もまとめました。
「ご無沙汰しております」の意味とは
「ご無沙汰しております」は、ある程度の期間、関わりがなかった状態を意味する「ご無沙汰」に、謙譲語の「しております」が付いた言葉です。相手を敬いながら、長い期間連絡しなかったことを謝罪する気持ちが込められています。
「ご無沙汰しております」の正しい使い方と例文 - 目上の人にも使える?
「ご無沙汰しております」は、ビジネスメールでも使える言い回しです。「しております」が謙譲語なので、目上の人、取引先などに使っても問題ありません。失礼な印象を与えることはないでしょう。
「ご無沙汰しております」の例文
「ご無沙汰しております」を使った例文を紹介します。
「ご無沙汰しております。◯◯社の××です。しばらく連絡できず失礼いたしました」
「ご無沙汰してしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか?」
この例のように「失礼いたしました」や「いかがお過ごしでしょうか?」などを加えると、より丁寧な表現になります。
「大変ご無沙汰しております。◯◯でお世話になった××です」
「長い間ご無沙汰しております。本来ならこちらからお伺いするべきでした」
連絡できなかった期間が長期に及んだ場合には、「大変」や「長い間」「しばらく」などの言葉をあわせて使うといいでしょう。
「ご無沙汰しております」に対する返事・返信例
相手から「ご無沙汰しております」と言われた場合は、「こちらこそ、ご無沙汰しております」と返すのが一般的です。対面の会話でも、メールなどでも同様です。
「ご無沙汰しております」はお詫びの気持ちが含まれている敬語表現なので、相手に失礼な印象を与えることはありません。
「こちらこそ、ご無沙汰しております」に相手を気遣う言葉を続ければ、より丁寧な印象になります。
「こちらこそ、ご無沙汰しております。お加減いかがですか?」
「こちらこそ、ご無沙汰しており失礼いたしました」
「ご無沙汰しております」をビジネスメールや手紙で使う際のポイント・注意点
「ご無沙汰しております」はビジネスにおいて使い勝手のよいフレーズですが、使用するにあたりポイントがいくつかあります。ビジネスマナーにも直結するため、しっかりと理解しておきましょう。
(1)2~3カ月以上の期間、会っていなかったり連絡をしていなかったりする相手に使う
上述のように「ご無沙汰しております」は長期間にわたりメールや手紙でのやりとりがなかったり、実際に会ったりしていない人に対して使うことが一般的です。定期的に打ち合わせをしたり、頻繁にビジネスメールでやりとりをしたりしている人に対して用いるのは、間違いではありませんが相手が違和感を抱く可能性があります。
「ご無沙汰」の期間は人によって異なりますが、一般的には2~3カ月以上の間連絡しなかった相手に対して「ご無沙汰しております」を使うケースが多いようです。
(2)相手が自分のことを思い出しやすいように配慮する
例えば、半年以上前にたった一度名刺交換をしただけの相手に「ご無沙汰しております」と切り出したメールを送る場合、こちらは相手のことをよく覚えていても、相手が自分のことを忘れているかもしれません。そのため、まずは相手に自分のことを思い出してもらう必要があります。
「大変ご無沙汰しております。
半年ほど前、サタデーナイトホールのエントランスにて日ごろから■■様にお世話になっております▲▲と一緒にご挨拶させていただきました、××商事の●●でございます」
相手が自分のことを思い出しやすいよう、ビジネスメールの冒頭にこのような文章を入れてみるとよいでしょう。メールだけではなく、久しく会っていない方に対面であいさつする際も、同様に具体的なエピソードや自己紹介などを交えるとよいでしょう。
(3)「お世話になっております」との併用に注意する
「平素よりお世話になっております」といった挨拶文も、ビジネスメールにおける決まり文句としてよく使われます。ただ、この「お世話になっております」と「ご無沙汰しております」を同じ文面で使用するのはNGです。
継続的に連絡を取り合っている前提である「お世話になっております」と期間が空いていた場合において使用する「ご無沙汰しております」という言葉の間には、相反する意味合いが含まれており、矛盾が生じてしまうからです。
(4)「ご無沙汰しています」は敬語としては弱い
前述のように、「ご無沙汰しております」は謙譲語なので、目上の人に使用しても問題ありません。しかし「ご無沙汰しています」や「ご無沙汰です」となると、丁寧語ではあるものの、敬語としては弱くなります。そのため、目上の人に使うとやや失礼な印象になるので注意しましょう。
「ご無沙汰しております」と類語「お久しぶりです」の違い
長い間連絡をしていない相手に使う表現として「お久しぶりです」がありますが、「ご無沙汰しております」とどのような違いがあるのでしょうか。
「ご無沙汰しております」には長い間連絡できなかったことに対するお詫びの気持ちが含まれますが、「お久しぶりです」にはお詫びのニュアンスが含まれていません。「お久しぶりです」は、あくまでも「長い時間がたっていること」を表現する言葉です。
目上の人には「ご無沙汰しております」の方がマナーとしてベター
また、「お久しぶりです」は「ご無沙汰しております」よりもカジュアルな表現になるため、目上の人には「ご無沙汰しております」を使った方がいいでしょう。
「ご無沙汰しております」と併用できる表現
「ご無沙汰しております」と併用できる表現を知っておくと、より丁寧な挨拶ができるようになります。
お変わりありませんか
「お変わりありませんか」には、長い間連絡できなかった相手の安否を確認する意味合いが含まれています。健康面だけではなく、仕事や生活面などの状況を気遣いたいときにも使える表現です。
「ご無沙汰しております」と併用すれば、相手を気遣う気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
「ご無沙汰しておりますが、お身体はお変わりありませんか?」
「ご無沙汰しております。お変わりなく過ごしていらっしゃいますか?」
お元気ですか
「お元気ですか」は、長い間連絡をとっていない相手の健康を気遣う表現です。なお、健康面だけではなく物事の状況も気遣いたいときには「お加減いかがですか」を使います。
「ご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしでしたか?」
「大変ご無沙汰しております、◯◯社の××です。お元気でしたか?」
相手から「ご無沙汰しております。お元気ですか?」と聞かれた場合は、「こちらこそ、ご無沙汰しております。元気に過ごしています」と返しましょう。
申し訳ございません
「申し訳ございません」は、相手に対する謝罪の気持ちを強く表したいときに併用します。
「ご無沙汰しております。しばらく連絡できず申し訳ございませんでした」
「長い間ご無沙汰してしまい申し訳ございません」
「ご無沙汰しております」の英語表現
「ご無沙汰しております」を英語で表現したいときには「It’s been a while」や「It’s been a long time」を使います。
・It's been a while I last contacted you, but how are you?
(最後に連絡を差しあげてからご無沙汰しておりますが、お元気でしょうか?)
・It's been a long time. How are you?
(ご無沙汰しておりますが、お元気ですか?)
「ご無沙汰しております」を使って丁寧な挨拶をしよう
「ご無沙汰しております」は、ある程度の期間、関わりのなかった相手に対する挨拶として使われる言葉です。
「お久しぶりです」とは異なり、連絡できなかったことに対する「お詫びの気持ち」が含まれるので、丁寧な表現で相手に敬意を示したいときなどにも使えます。返事例や併用できる表現も覚えておけば、ビジネスシーンでの活用幅も広がるでしょう。