混同されがちな「的を射る」と「的を得る」という2つの言葉。この2つの言葉の違いがわからないという人も多いです。本記事では、「的を射る」と「的を得る」の意味や使い方、言い換え表現などをくわしく解説します。

  • 「的を得る」と「的を射る」

    「的を射る」と「的を得る」について正しい理解を深めましょう

「的を得る」と「的を射る」の違い

「的を得る」も「的を射る」もどちらも耳にしたことがあるのではないでしょうか。会話においてはどちらの意味も通じますが、ビジネスシーンや正式な場においては「的を射る」を使うのが正しいとされています。

ここでは、「的を得る」「的を射る」の意味などを説明します。

「的を得る」の意味

広辞苑に「的を得る」の意味は掲載されていません。一般的に話し言葉で使用され、「ぴったりと要点を捉える」という意味で使われています。

「的を射る」の意味

広辞苑では、「物事の肝心な点を確実にとらえること」と説明されています。言い回しとしては、「的を射た発言」「的を射た意見」のような、「的を射た○○」がよく使われます。

「的を得る」は「的を射る」の間違い?

結論から述べると、正しいとされているのは「的を射る」のほうです。「的を得る」というのは「的を射る」から派生して出来上がった言葉だといわれています。

平成24年に文化庁が行った『国語に関する世論調査』では、10代から60代以上のすべての年代で「的を射る」を使う人のほうが「的を得る」を使う人より多かったという結果が出ています。しかし、「的を得る」を使う人もかなり多く、特に30代では「的を射る」が48.8%、「的を得る」が46.0%という、ほぼ同率の結果が出ました。

この結果から、辞書的に正しいとされているのは「的を射る」のほうですが、日常的にはどちらも違和感なく使われているということがわかります。日常会話ではどちらを使っても問題はありませんが、ビジネスシーンや正式な場では「的を射る」を使ったほうが無難でしょう。

「的を射る」の使い方

「的を射る」の使い方を説明していきます。「的を射る」の、的は「目標、要点」。射るは「肝心なポイントを的確に捉えること」という意味です。そのため、「目標や要点を的確に捉える」という意味で使うのが正しい使い方です。

例えば、会議での誰かの発言に同意するときや、質問や指摘が本質を捉えていることを述べるとき、提案や企画に意見を述べるときなどに「的を射る」を使います。

<例文>

  • 上司の話はいつも的を射ているなあ。
  • 彼女の的を射た発言で、その場にいた全員が納得した。
  • 質疑応答にて、的を射た質問をすることは大切だ。
  • 的を射た内容なので、相手もきっと感心してくれるだろう。
  • だいたいの内容は的を射ているが、もう少し企画書の精度を高めるように。
  • 的を射るの使い方

    「的を射る」は要点を的確に捉えるという意味です

「的を射る」の類語、言い換え

「的を射る」にはいくつかの類語と言い換え表現が存在します。

正鵠を射る

「正鵠を射る(せいこくをいる)」とは、物事の急所を正確につくことをいいます。「正鵠」とは中国で生まれた言葉で、もともとは「的の中心」という意味があります。そこから転じて「物事の急所や要点」という意味で使われるようになりました。

<例文>

  • できるだけ端的に、正鵠を射た発言をするように心がけている。
  • 彼女はいつも正鵠を射た発言をするので、社内で信頼されている。

核心をつく

「核心をつく(かくしんをつく)」とは、「物事の最も重要な問題点を鋭く指摘する」という意味のことわざです。人の気にしている点や、痛いところをついた、というときにこの言葉が使われることが多いです。

人の痛いところをつく、というとあまりいい印象を受けないかもしれませんが、正論や物事の本質を見抜くという点では、核心をつくのは優れた能力だともいえます。実際、物事の本質を捉えられる人は、議論や会話をまとめたり盛り上げたりしてくれるので、芸能の世界でも物事の核心をつく発言をするタレントは大活躍しています。

<例文>

  • 同期に核心をつく発言をされて、傷ついた。
  • あまり核心をつきすぎると、他人から嫌われてしまうだろう。
  • 彼はいつも核心をついた発言をするので、周りからは距離を置かれている。

看破する

「看破する(かんぱする)」とは、「見破ること、物事の真相や裏側を見抜くこと」という意味です。

<例文>

  • 副業をしていることを上司に看破された。
  • 彼氏の浮気を看破した彼女。
  • 母にテストの点数を隠していたことを看破された。
  • 試合で戦う相手の戦略を看破して、見事勝利を収めた。
  • 「的を射る」の類語、言い換え

    「的を射る」の類語や言い換え表現は?

「的を射る」を英語で表すと?

「的を射る」は英語でどう表現するのでしょうか。ここからは英語での表現方法を紹介します。

hit the nail on the head

的を射るを英語で表すと「hit the nail on the head」となり、直訳すると「頭の上で釘を打つ」です。一体どういう意味? となりますよね。これは、英語の慣用句なので「hit the nail」と「on the head」にわけて考えることで説明ができます。この2つは、下記のような意味があります。

「hit the nail」: 釘を打つ

「on the head」: 釘の頭・釘の平らなところ

そのため、「釘の平たい部分にしっかり金槌を当てれば、釘がよく打てる。」→「的を射た発言で深く心に刺さる」=「うまく言い当てる・核心をつく」と解釈したと考えられます。

<例文>

  • I think David hit the nail on the head when he said that kids won't want to buy this product. (デイビッドの、子どもたちはこの製品を買いたくないだろうという発言は的を射ていた。)

さらに、「hit the nail on the head」の言い換え表現としては、下記のようなものがあります。

・That's right! (そのとおり!)

・Exactly! (わかる!/そのとおり!)

英語の慣用句も直訳からの解釈を考えてみると、新しい発見があって面白いですね。

  • 「的を射る」を英語で表すと?

    「的を射る」の英訳には慣用句が当てはまります

的を射るについて正しく理解しましょう

混同しやすい「的を射る」と「的を得る」はどちらが正しいのかを説明しました。どちらも「物事の肝心な点を確実に抑える」という意味で通じますが、正式な場やビジネスシーンにおいて使用されるのは「的を射る」のほうです。

さらに類語や英語表現なども一緒に覚えることで、言葉に対する知識も広がります。「的を射る」を正しく理解して使いこなせるようになりましょう。