警察ドラマだが、王道の犯人VS警察ではなく、警視総監を目指して巻き起こる組織内のパワーゲームに焦点を当てた人間ドラマ『桜の塔』(テレビ朝日 毎週木曜21時~)。15日に第1話が放送されると、先の読めない展開や、玉木のダークな主人公ぶり、キャストの豪華さが話題に。

今回は、『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ 19年)で東京ドラマアウォードグランプリなど数々の賞を総なめにした脚本家・武藤将吾氏と、テレビ朝日総合編成局ドラマ制作部所属の監督・田村直己氏に、玉木宏、広末涼子、岡田健史、仲里依紗、光石研、吉田鋼太郎、椎名桔平、関智一といった豪華キャストへの印象や、インターネット上での反響、あす22日に放送される2話の見どころを聞いた。

■常に考えて皆を引っ張ってくれる座長・玉木

――まずは、主役・玉木さんの印象をお聞かせください。

  • 玉木宏

    玉木宏/上條漣:幼少期のある出来事がきっかけで警視総監を目指すようになった警視庁捜査共助課の理事官。出世のためには汚い仕事もためらうことなく遂行する、ダーティーな役どころ(写真はテレビ朝日提供、以下同様)

武藤氏:今回、初めて作品でご一緒することになったんですけど、フランクに接してくれる方です。役作りに関しては、まず玉木さんが持っている考えをぶつけて頂いて、そこに僕の「こういう上條漣を演じてほしい」という思いを伝えました。そしたら「分かりました」って飲み込んですべて受け入れてくれて、1話を見たらしっかり反映されている。2人の考えの融合というよりは、僕の思いを咀嚼して理解して、表現してくれた。憑依型の役者さんだと自分に寄せる方が多いんですけど、そうではなくて、役に対して自分からアプローチしていくスタイルが印象的でした。

田村監督:現場での佇まいを見ても、座長をたくさんやって来ているので主役然としたオーラがあるし、役がどうすればよく見えるかっていうのを常に考えて、皆を引っ張ってくれる。現場的には助かるし、主役を務めるために生まれて来た玉木宏って感じかなと。憑依するというよりは考えながらやるタイプですね。広末さんはどちらかと言うと憑依型だと思うので、そこの差が面白くて、すごくいい塩梅になっています。

■広末は「そこまでやるのかっていうくらいやっちゃう人」

――お2人がそろって“憑依型”と評された、広末さんの印象をお聞かせください。

  • 広末涼子/水樹爽:警視庁捜査一課主任。漣の幼なじみで、良き理解者。明るく面倒見のいい姉御肌タイプで、正義感が強く、情に厚いうえに、曲がったことが大嫌い

武藤氏:『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ 19年)という作品でご一緒して、そのときも警視庁捜査一課の正義感あふれる刑事という役だったので悩ませてしまうかなと心配したんですけど、喜怒哀楽をしっかり見せる爽というキャラクターをきちんと理解してくれた。2作品で違う広末さんを見せてくれて、すごいなと思いました。

田村監督:2話のラストは、ドラマ史上なかなかないシーンになっています。漣と爽は全く違う2人なんですけど、「幼馴染みとして一緒に過ごして来たんだな」という背景がちゃんと見えるのは、玉木さんと広末さんの相性の良さもある。広末さんは、普段は明るくて皆を和ませてくれるんですけど、やり始めるとすごく集中して演技に入り込んで、そこまでやるのかっていうくらいやっちゃう人。いい意味で、本当に憑依型です。2話のラストを見てもらえればこの言葉の意味が分かると思うので、見てください(笑)。