■「30歳過ぎてるけど、いいのかな(笑)」と照れていた仲

――1話では漣と、仲さん演じる千堂優愛の出会いのシーンも印象的でした。

  • 仲里依紗/千堂優愛:警視庁刑事部長・千堂大善(椎名)の娘。嫉妬心と独占欲が強く、欲しいものは是が非でも手に入れたい性格。漣に魅力を感じ、徐々に固執していく

武藤氏:仲さんは「こう来たか!」という役作りをされていますね。すごいです。

田村監督:すごいですよ。お嬢様なのにどこかひねくれていて、他人をあまり信じていないキャラクターを自然に出してくれています。こういうのは、出してくださいと言っても出ないものなんですよ。今後、仲さんがキーポイントになっていくので、もっともっとすごいところが見れます。1話のキュンとするような玉木さんとのシーンは、「30歳過ぎてるけど、いいのかな(笑)」と、すごく照れながらやってましたけどね。

一方、漣には背中で語ってもらいました。漣は語る背中でキャラクターなんです。背中に意味が多いので、玉木さんとも話しながら背中のカットを作っているので、見ている方にも伝わればうれしいなと。

武藤氏:書くのはタダなので、台本に書かせてもらってます。「おぞましい背中」とか。

田村監督:難しいんですよ、「おぞましい背中」を表現するの(笑)。ほかには「悪魔のような背中」と書かれていたこともあります。

■岡田が盛り付けたかわいらしい富樫は、作品の救い

――岡田さん演じる富樫遊馬と、爽の関係にも進展はありますか。

  • 岡田健史/富樫遊馬:キャリア組でありながら自ら志願して捜査一課刑事に。上司の爽に恋心を抱く一方、熱意と有能ぶりを漣に認められ、組織内の権力闘争に巻き込まれていく

田村監督:どんどん出て来ます。あふれ出ます。キャリア組だし若いキャラクターなのでもっとクールになるのかなと思いきや、岡田くんも刑事役は3回目だということで、すごく考えて、悩みながら富樫を作ってくれた。爽のことを真っ直ぐ見ている富樫の明るいキャラクターは作品の救いでもある。岡田くんが盛り付けてくれたかわいらしい富樫が我々の太陽になってくれています。それが……どう歪んで来るか楽しみにしていてください。

■光石、吉田、椎名のシーンは「役者としてのぶつかり合いも見える」

――実際の仕上がりが、作り手の想像を超えた場面はありますか。

  • 左から吉田鋼太郎/権藤秀夫:「薩摩派」の警視庁警備部長、光石研/吉永晴樹:「東大派」の警視庁警務部長、椎名桔平/千堂大善:「外様派」の警視庁刑事部長。スリートップとして権力闘争の中心に鎮座。三者三様の攻め方で虎視眈々と警視総監の座を狙う

武藤氏:光石さん、吉田さん、椎名さんという部長3人のシーンは見応えがあるだろうなと思っていたんですけど、想像のさらに上をいきました。3人のぶつかり合いの背景に、役者としてのぶつかり合いも見えるようで、これで1時間やってほしいなって思うくらい、いつまでも見ていたいシーンになっています。3人のパワーが二乗、三乗と掛け算になっていくのが非常にいい。

田村監督:ベテランの3人は、書かれていないキャラクターを、自分たちで考えて深めてくれています。「コメディではなく、人間ドラマです」とだけ言えば3人は理解してくれるので、あとはたっぷりやってもらってますね。台本が面白いので、お三方はイキイキしながら楽しんでやってくれています。「派閥争い」は物語の大きなテーマの1つで、今後も伸ばせるシーン。ここに漣がどう絡んでくるのか、そして3人のキャラクターもどんどん出て来るので楽しみにしていてください。