日本テレビは、春休みの深夜帯に総勢20人以上の芸人たちが登場する4つのお笑い番組群『真夜中のお笑いたち』を立ち上げた。3月25日には、チョコレートプラネットの長田庄平&パンサーの向井慧、ハナコの岡部大&宮下聡(ひょっこりはん)、錦鯉の長谷川雅紀&トム・ブラウンの布川ひろきが思い出の地でオリジナル漫才を披露する『黄色いサンパチ』が放送され、SNSでは「めちゃくちゃ良かった!」「新鮮だった」「エモいなー」といった反響が寄せられた。

今後も、31日(24:59~25:29)にはマヂカルラブリー×空気階段×ニッポンの社長×シソンヌのコント番組『コントミチ「笑う心臓」』、同日(25:35~26:05)には宮下草薙・草薙と四千頭身・後藤がプライベート旅行を繰り広げる『ハネノバス』、そして4月1日(24:59~25:29)にはチョコレートプラネット×ニューヨーク×フワちゃん×相席スタート×河邑ミクによるコント番組『コントミチ「ヤバいハートマーク」』が控えている。

視聴率のターゲット明確化や、『有吉の壁』のゴールデンタイムでの成功などを受け、各局で“お笑い番組”が増産されているが、そんな中で日テレが仕掛ける今回の取り組みに、現場の制作者たちはどのような思いで臨んでいるのか。『笑う心臓』の橋本和明氏、『ヤバいハートマーク』の宮森宏樹氏、そして、『笑う心臓』に加え『黄色いサンパチ』『ハネノバス』も担当する本田拓也氏に、話を聞いた――。

  • 『真夜中のお笑いたち』 (C)NTV

    『真夜中のお笑いたち』 (C)NTV

■テレビコントは「ものすごい財産」

<今回の取り組みは、番組のタイムテーブルを作る編成サイドで、新しいお笑いのIP(知的財産)を作ろうと動き出したのが発端。一方で制作サイドから、コントなどのお笑い番組の企画がいくつか上がってきていたことから、それらを『真夜中のお笑いたち』としてパッケージ化して放送することになった。編成・制作の両者の思惑が一致した格好だ。>

橋本:フジテレビのようなスタッフの“お笑い班”みたいなものが、日テレは色が薄いじゃないですか。コント番組があっても系統化されてないし、数も少ないし、長寿番組もあまりないので、日テレにも“お笑い班”があっていいんじゃないかということで、僕や宮森や本田というお笑い好きな人が集まって、まずは深夜で細々とやってみようという試みなんです。

――制作者からすると、やはり今回は念願の形なのでしょうか?

宮森:僕が今回やらせていただいているコント番組は、なかなかできる機会がないんですよ。入社4年目くらいで、そのときも橋本さんと一緒にやった『笑いの万博』(08年)という伝説の深夜番組がありまして(笑)、本格的にコント番組をやるのはそれ以来ですね。コントってやっぱり独特の文化で、フジテレビだと昔からDNAが受け継がれている感じがありますけど、日テレはなかなかその文化が定着してこなかったので、本当に念願です。橋本さんとまたこういう形で一緒にやるというのも、何かの縁だと思いますね。

橋本:『笑いの万博』ねぇ! 僕も5年目のときで、1日だけ学校を借り切って学園ドラマ風のコントをチョコプラたちと撮ったんですよ。その後、『ヒルナンデス!』のレギュラーになって一緒になったときに、もう覚えてないだろうなと思ってたら、チョコプラが「あのとき『笑いの万博』に呼んでもらってありがとうございました!」って言ってくれて、ちょっと感動しましたね。十何年経っても、あのときテレビで一緒にコントをやったということを、お互いに覚えているんですよ。だから、テレビでのコントをやるというのは、ものすごい財産だなって思いました。

――当時はどんなコントを撮ったのですか?

橋本:「トイレの元彌さん」って、トイレを開けたら和泉元彌さんの妖怪が出てくるっていうのをやってて、お互いやってることそんなに変わんないなって思いました(笑)。宮森は、ガリガリガリクソンと一緒にやったんだっけ?

宮森:あとは、ブレイク前のピースですね(笑)。『おかあさんといっしょ』のパロディみたいな大人向けの子供番組というコントだったんですけど、めちゃくちゃ楽しかったのを覚えています。今回も、当時の僕と同じくらいの2~3年目くらいのディレクターが入っていて、目をキラキラさせてやっているのを見ると、何かいいなあと思いますね。

橋本:若手ディレクターが結構入ってるんですよ。これは本当にいいことですよね。

宮森:みんなお笑い好きでコント番組にものすごく感化されてテレビ業界に入ってきたと思うんですけど、本格的にコントをやる機会は本当になかったので、そういう意味ではものすごくラッキーですし、恵まれているなと思いますね。