<深夜で始まった単発番組と言えば、かつては視聴率で結果を出して次の放送につなげ、回数を重ねてレギュラー化し、最終的にはゴールデンタイムを目指すというのが王道の成功スタイルだった。だが、TVerや動画配信サービスなど、テレビ以外にも様々なデバイスで時間を問わず番組を楽しめる現在において、今後の展望はどのように考えているのだろうか。>

橋本:始めるときに宮森くんと「一緒に22時とかで特番がやれたらいいよね」という話をしたんです。やっぱり、“お笑い班”がなかった分、まだそんなに“個”は強くないと思っているので、4番組が戦ってどの番組が上の時間帯に行けるかという意識ではなくて、みんなが助け合って一緒にお笑い班を盛り上げていこという志で始まったわけでもあるから、『真夜中のお笑いたち』の人たちがみんな集まって、こん身の一投で22時に勝負するということでもいいかもしれない。

――以前だったら、「どの番組がゴールデンに上がるか」みたいな意識だったと思います。

橋本:たしかに、そういう出世コースみたいなものがあったかもしれないですけど、そこももっと多様化していくべきなんじゃないかと思いますね。スマホで見る人もいれば課金して見る人もいたり多様化している中で、テレビのゴールが1つであるというのは、ちょっと時代と合ってない気がしているので。ライブで継続してもいいし、YouTubeというやり方があるかもしれないし。そもそも、春休みの真夜中でゲリラ的に全く違う色の4つの番組が散発的に流れるというのも、今の時代を象徴してると思うんですよね。そういうふうに、いろんなやり方をテレビも探っていけばいいのではないかと。

  • 『笑う心臓』の出演者たち (C)NTV

■芸人とコントをつくる場を確保したい

宮森:今回、橋本さんと本田くんと同じパッケージの中でやらせてもらっていることにめちゃくちゃ刺激を受けてますし、『有吉の壁』と『ガヤ』以外の番組でもコントを死ぬほどやりたい若手のスタッフがいっぱいいるので、こういう機会を続けていくことで、芸人さんと向き合ってコントを作っていくような場を確保したいなという思いはありますね。僕、一時期人事部も経験しているので、そういう育成的な目線も持ちつつ(笑)

本田:僕は『ごっつええ感じ』とか『笑う犬』を見てお笑いが好きになって、『M-1』を見てテレビ業界を目指したということもあったので、入社してなかなかお笑い番組を担当する機会はなかったんですけど、今回『真夜中のお笑いたち』で、『黄色いサンパチ』『ハネノバス』『笑う心臓』と3つのお笑い番組をやらせてもらえたのは、めちゃくちゃ光栄です。モチベーションも上がり、やりがいのある仕事の1つなので、今回だけでなくぜひ続けていければと思っています。

橋本:4番組中3番組も担当するなんて、本当に会社が期待してるんじゃないかと思いますよ(笑)。四千頭身とか宮下草薙は、僕なんて歳も遠いので、本田くんの世代で次の世代の芸人さんたちと向き合ってお笑い番組を作っていって、僕ら全体で「あの人たちは日テレのお笑い班だな」と徐々に認識されていくようになればいいですね。

<今回の4番組は、いずれもHuluでのオリジナルコンテンツに力を入れている。『黄色いサンパチ』では未公開トークが15分×3組で約45分、『ハネノバス』も放送に入り切らなった映像が15分×3本、そして『コントミチ「笑う心臓」「ヤバいハートマーク』は出演メンバー全員による“反省会”が配信される。TVerでの無料配信も行っており、視聴率の数字だけではなく、こうした配信での再生回数やSNSでの盛り上がりなどが評価されることで、第2弾やさらなる展開につながっていきそうだ。>

  • 『ヤバいハートマーク』の出演者たち

●橋本和明
1978年生まれ、大分県出身。東京大学大学院修了後、03年に日本テレビ放送網入社。『不可思議探偵団』『ニノさん』『マツコとマツコ』『卒業バカメンタリー』『Sexy Zoneのたった3日間で人生は変わるのか!?』などで企画・演出、『24時間テレビ41』では総合演出。現在は『有吉の壁』『有吉ゼミ』『マツコ会議』『寝ないの?小山内三兄弟』『でっけぇ風呂場で待ってます』などを担当する。

●宮森宏樹
1980年生まれ、大阪府出身。京都大学卒業後、04年に日本テレビ放送網入社。『世界の果てまでイッテQ!』『人生が変わる1分間の深イイ話』『スター☆ドラフト会議』などでディレクターを担当、人事部を経て、現在は『ウチのガヤがすみません!』『踊る!さんま御殿!!』『女芸人No.1決定戦 THE W』などで演出を担当する。

●本田拓也
1990年生まれ、徳島県出身。明治大学卒業後、13年に日テレアックスオン入社。19年から日本テレビ放送網に出向。『ヒルナンデス!』などでディレクターを担当し、『ライバルからの招待状』『Mr.ボディーガード』で企画・演出、現在は『有吉の壁』『有吉ゼミ』などを担当する。