デジタルとアナログの違いについて、説明できますか?
「デジタル」時計、「アナログ」テレビなど、普段から聞きなれている言葉ですが、いざその違いについて聞かれると、端的に答えられないという方もいることでしょう。
本記事では、デジタルとアナログという言葉の意味、およびそれぞれの違いを解説します。
デジタルとは?
デジタル(digital)とは「連続的な量を段階的に切って数字で表す」ことを指します。目盛りや指標などを使って一定の数値を表した場合「デジタル」ということができます。
デジタルの語源はラテン語の「digitus(指)」と言われています。「指折り数える」という動作から派生して、段階的に区切られた数値のことを「デジタル」と呼ぶようになりました。
身の回りのデジタル
では、身の回りにはどういったものがあるでしょうか。例としてもっともわかりやすいのは、デジタル時計でしょう。デジタル時計は1秒や1分ごとに数字が切り替わり、現在の時刻をわかりやすく示します。
他にもデジタルはPCなどのデータとしても使用されます。今見ているスマートフォンやPCもデジタル製品のひとつです。音源で言えば、CDもデジタルデータです。
現代では私たちが意識していないところにまでデジタルの領域は広がっており、一つひとつ言及するのが難しいほどです。
デジタルは「正確」で「切れ目のある」もの
デジタルは「連続している量を一定の指定で区切って表す」ものとも言えます。ドット絵やデジタル時計を想像するとわかりやすいかもしれません。PCで写真を見るとまるで目の前にあるかのように美しく表示されますが、ズームをするとざらざらと点のように見えることがありますが、これがデジタルの特徴です。
現在コンピュータの主流はデジタルコンピュータであり、デジタルではコンピュータのデータなどを数値として区切ることで正確に表すことができます。コンピュータからコンピュータへ正確にデータを移行することも可能です。
デジタルは「正確」で「切れ目のある」ものと覚えておくとよいでしょう。
アナログとは?
アナログ(analog)とは「データを連続的に変化していく量で表す」ことを指します。長さや量、物質を表すときに使います。区切られることなくゆるやかに止まることなく変化していくものは「アナログ」です。
アナログの語源は英語の「analogy(類似・相似)」ですが、analogyはラテン語で「比例」を意味する言葉が元になっていると言われています。
身の回りのアナログ
では、身の回りにあるアナログにはどのようなものがあるでしょうか。
もっともわかりやすいのがアナログ時計です。アナログ時計は短針と長針、秒針で時を刻んでいますが、秒針は常に連続的に動き続けています。数値と数値の間をゆるやかに上昇して温度を示す水銀式体温計もアナログのわかりやすい例として挙げられるでしょう。
デジタル音源の代表がCDなら、アナログ音源の代表はレコードです。レコードは演奏されたものをそのまま記録しています。レコードはポリ塩化ビニルで作られていますが、経年劣化により音質がだんだんと変化していきます。聞き込むことにより針のプツプツとした音が入ってしまうなどの劣化もあり、録音されたままの音質を保つのが難しい媒体です。しかし、当時の演奏をそのまま再現できる録音媒体であるため、今も多くのファンに指示されています。
アナログは「曖昧」で「切れ目がない」もの
アナログはゆるやかに変化をしていくものなので、1と1の間にある「0.0000001」以下の数値も表すことができます。水銀式温度計の示す温度に切れ目がないように、アナログは切れることがありません。
しかし水銀式体温計が36.5度と36.6度の間で止まってしまった場合、その体温が何度かは数値を読む人によって解釈がわかれるかもしれません。そのためアナログはデジタルに比べて曖昧だと言えます。
アナログは「曖昧」で「切れ目のない」ものと覚えておくとよいでしょう。
デジタルとアナログの違いとは
デジタルは離散的(断続的)、アナログは連続的であるという違いがあります。例えば、デジタル時計の場合は流れ続けている時を「時・分・秒」で区切り、断続的な数値で表します。一方、アナログ時計は針の連続的な回転で時間を示すため、秒と秒の間の小さな瞬間も示すことができます。
デジタルはコピーできる、アナログはコピーできない
また、デジタルはあるものを一定の数値、指標で表すことができます。そのため同一の数値を持ったものならそのままコピーすることができます。デジタルとPCの相性が良いと言われているのも、デジタルデータであればPCにそのままコピーすることが容易にできるからです。
一方のアナログをコピーする場合はデジタルのようにうまくできません。アナログ時計の秒と秒の間を読むことができないように、アナログは曖昧なものなので、決められた数値で再現する(デジタル化する)ことができないのです。
アナログをデジタルに変換するときは
では、過去のアナログ形式で録音された演奏音源などをデジタルに変換したい場合は、どのようにすればいいのでしょうか。
一般的にアナログは流線型、デジタルは四角の集合体として表現されます。アナログをデジタルに変換する場合は、四角の集合体をアナログの形に添わせていく作業となります。どれだけ四角を細かくしても、完全にアナログのかたちに合わせることはできません。細かな漏れが出てきてしまいます。
アナログをデジタルに変換すること自体は可能ですが、アナログの曖昧な部分をデジタルですべて再現するのは難しいのです。
デジタルとアナログのメリット・デメリット
最後にデジタルとアナログのメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
デジタルのメリット
デジタルのメリットは正確で再現性がある点にあります。
曖昧に思えるものでも一定の数値によって表されるため、時間や温度など私たちが共有するときにも役立ちます。PCとスマホで同じデータを共有したり、残したりすることもできるので、現代ではなくてはならない存在だと言えるでしょう。
デジタルのデメリット
デジタルのデメリットは曖昧なものをそのまま残すことができない点にあります。
例えば、演奏や声、絵などもデータ化するとそのもの自体に含んでいた微細なニュアンスを再現することは難しいです。ただし、その差異は私たちが認識できないほど小さなものに過ぎません。
アナログのメリット
アナログのメリットは曖昧なものをそのまま表現し、感覚的に理解できる点にあります。
目や耳を通して感覚的に理解することが多い私たちにとって、アナログはもっとも自然に表現できる媒体だと言えるでしょう。
アナログのデメリット
アナログのデメリットは、データをそのまま残すことができないという点にあります。
アナログのものを後世に残そうと思った場合、レコードなどの媒体ではその材質の特徴により劣化を避けることができません。デジタルデータにする場合も本来のものではなくなってしまうのがアナログの難しいところです。
再現・復元することができないのはアナログの大きなデメリットと言えるでしょう。
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以上、デジタルとアナログの違いを紹介しました。
デジタルは流動的なものを一定の数値で区切る正確性のあるもので、アナログは流動的なものをそのまま連続的に表現することにできる曖昧さを持ったシステムです。一方のデータをそのまま残し共有しやすいものはデジタルですが、アナログには感覚的に理解することができるという良さがあります。
身の回りにあるものを「デジタル」「アナログ」と分けて認識してみると、新たな世界が見えてくることでしょう。