社会人になって、給料をもらい始めたころ「想定していたよりも振り込まれた給料が少なかった」と感じたことのある人は多いでしょう。

口座には、給料から社会保険料や税金などが天引きされて振り込まれるため、額面の給料より少ない金額が振り込まれます。

それでは、月給が20万の場合、社会保険料や雇用保険料・税金などを差し引いた手取り金額はどれくらいなのでしょうか。月給20万円で可能なライフスタイルとともにご紹介します。

  • 月給20万の手取り額と税負担は? 生活費のイメージや貯金可能額を紹介

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正社員の月給20万の手取り額は約16万円

月給20万円の場合、手取り金額は約16万円になります。

控除額の内訳は以下の通り。

■月給20万円の手取りの例(独身の場合)

項目 月給 控除金額
給与 200,000円
所得税(源泉徴収税額) 3,770円
厚生年金保険 18,300円
健康保険料 9,870円
雇用保険料 600円
住民税 7,287円
手取り額 160,173円

会社員や公務員などの正社員には、給与から社会保険料や税金が控除された金額が支払われます。給与から控除される項目は健康保険料・厚生年金・所得税・住民税で、月給20万円の場合は約4万円が控除され、手取りは約16万円となります。

住民税は前年度の収入をベースに計算されるので、社会人1年目で前年の収入がないか、もしくは住民税非課税の範囲だった場合、初年度の住民税はありません。そのため月給20万円の場合、手取りは17万円前後になります。

控除額の詳細と計算方法

次に、以下の控除額の計算方法について紹介します。

  • 社会保険料(厚生年金保険、健康保険、雇用保険の合計金額)
  • 所得税(源泉徴収税額)
  • 住民税

社会保険料の計算方法

給与から強制的に引かれる社会保険料は、「厚生年金保険料」「健康保険料」「雇用保険料」の3つで、40歳を超えるとさらに「介護保険料」が追加されます。なお、会社員の場合、社会保険料は会社も負担しているため、全額を個人で支払っているわけではありません。

社会保険料の計算方法は次の通りです。

■社会保険料の計算方法(令和2年の場合)

社会保険の種類 保険料率 自己負担分
厚生年金保険 9.15% 9,150円
健康保険 加入している健康保険によって異なる、協会健保(東京都)の場合、4.935% 4,935円
雇用保険 0.3% 600円
合計 19,620円

所得税の計算方法

所得税はその年の所得に課税される税金です。毎月「源泉徴収」として給与から天引きされ、年末に年末調整によって精算します。所得税は月給から社会保険料を控除した額に、「給与所得の源泉徴収税額表」で給与額区分ごとに決められた額が源泉されます(※1)。

月給20万円で社会保険料19,620円を支払った人の所得税(源泉徴収税)は、独身(扶養家族なし)の場合、4,050円となります。

(※1)参照 : 国税庁「給与所得の源泉徴収税額表

住民税の計算方法

地方税のひとつである住民税は都道府県民税と市町村民税を合算したもので、前年度の所得をもとに1月1日の住所地(基本的に住民票のある住所)で課税されます。住民税は「所得割」と「均等割」という2種類の課税方法があり、地域により金額が異なります。計算方法は複雑ですが、およそ課税所得の10%程度が住民税となります。

月給20万のライフスタイルは?

月給20万・手取り約16万円で一人暮らしをする際には、どのような生活水準になるのでしょうか? 月給20万円の家賃の決め方や可能なライフスタイルについてみていきましょう。

家賃は手取りの30% 以内が目安

無理なく一人暮らしをするには、家賃は手取り額の30%以内におさえることが理想的です。月給20万円・手取り16万円の30%は48,000円ですが、首都圏の場合は現実的ではありません。駅からの距離やオートロックなどセキュリティ面などを考慮すると、東京23区であれば少なくとも6万円以上となってしまうでしょう。

首都圏に勤務先がある場合、家賃補助や借り上げ社宅などの制度がある場合もありますが、勤務先にそのような制度がない場合は23区でも比較的安価な区を選ぶ、都心に出やすい郊外・他県で住まいを探すなどの工夫が必要になります。

首都圏以外の地域では、50,000円前後の家賃を目安にしましょう。

生活費の目安モデルは?

月給20万、手取り16万ではどのような生活ができるでしょうか。生活費の例をご紹介します。

家賃 60,000円(共益費込) 足立区、東京メトロ千代田線北綾瀬駅徒歩10分、オフィスまで約50分、ロフトつき新築アパート
水道代 2,000円
ガス・電気代 5,500円
スマホ・通信費 10,000円 スマホは格安スマホを利用、1,980円のサブスク型の動画サービスを契約
食費 30,000円 予算は1,000円/日
朝・晩は基本自炊する
日用品・雑貨費 2,500円 石鹸・シャンプー・洗剤など
趣味など交遊費 20,000円 飲み代や趣味の映画観賞・動画編集機器費用など
通勤以外の交通費 2,500円 週に1回、片道300円ほどの電車に乗る
小遣い(用途自由) 10,000円
ジム代 7,500円 平日の夜のみのコース
貯金 10,000円
合計 160,000円

この例は都内を想定しているため家賃が60,000円となっていますが、家賃を50,000円に抑えることができる地域であれば、さらに10,000円の余裕が生まれます。食費は1日1,000円、1週間で7,000円の予算です。全て外食の場合は少なく感じますが、自炊と外食・お弁当などをうまく組み合わせることで健康的な食生活を送ることができるでしょう。

節約のコツは、「節約できない出費」「節約できる出費」に分類して調整すること。家賃や光熱費、食費などは「節約できない出費」として先にお金を分け、趣味などの交遊費や小遣い、ジム代など楽しむための出費は「節約できる出費」として、月によっては出費を見直すといいでしょう。

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月給20万で貯金はできる?

月給20万円、手取り16万円で貯金は可能です。現実的には上記の支出例のように1万円、節約することで2万円も可能です。理想の貯蓄額は手取りの15~20%と言われています。手取り16万円の場合は2.4万~3.2万円なので、不可能ではありません。

貯金をするコツは、「天引きにする」「口座を別にする」ことです。 会社に財形貯蓄制度がある場合は給料から貯蓄分を天引きし、自分のかわりに会社で貯金してもらいましょう。

財形貯蓄制度を利用しない場合でも「貯金用の口座を別に作成」することでお金が貯まりやすくなります。給料日に貯金用の口座に自分で振り込んだり、給与振込銀行の定期預金・積立型投資信託などの自動引き落としサービスを利用したりすることで、強制的に貯金や投資に回すことができます。

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手取りを把握した快適ライフを!

正社員で月給20万円の場合手取りは16万円前後で、一人暮らしも問題なく可能ですが、将来的に家族を持ったり少し余裕を持った生活を送ることは難しいかもしれません。

大切なことは手取り金額と「何にどれくらい使えるのか」をしっかり把握しておくこと。手取り額から按分した生活予算配分で、月給20万円の快適ライフを送りましょう。