コロナ禍で金の価格が高騰しています。かねてから「有事の金」といわれるように、社会不安があると金は買われる傾向にあります。

現状のような金の高騰が続くと、金に投資したいという気持ちが湧くと思いますが、金投資を始める前に知っておいてほしいことがあります。金投資の種類から、投資方法、メリット・デメリットまでを解説します。

  • コロナ禍で人気の「金投資」って儲かるの? メリットとデメリットを解説

金投資にはどんなものがある?

金投資といっても、方法はさまざまあります。まず最初に思いつくのが、金そのものを保有することでしょう。金貨や金地金(金の延べ棒、ゴールドバーともいう)を買って、実物資産として持っていることです。

この場合、金そのものに価値がありますから、将来インフレとなってお金の価値が下がっても、金を持っていれば安心というわけです。

ただし、盗難の心配が出てくるなどデメリットもあります。以下に金投資の種類とメリット・デメリットをまとめてみました。

金貨・金地金

宝飾店や地金商、貴金属メーカーなどで購入できます。金貨1オンス(約28g)で約24万円、金地金100gで約73万円(2020年9月時点)となっており、気軽に購入できる値段とはいい難いですが、金そのものを手に入れるという点では魅力的です。

<メリット>
インフレに強い。世界のどこでも換金できる。

<デメリット>
購入にはある程度まとまった金額が必要。購入手数料(金地金)が高め。盗難のリスクがある。銀行などに預ける場合は保管手数料がかかる。

純金積み立て

金地金をいきなり購入するよりも、少額から積み立てて購入できるため手軽に始められます。地金商、貴金属メーカー、証券会社などで取り扱っています。

毎月一定額で金を購入していき、一定の量になると、金の現物として引き出すことができます。

<メリット>
月1,000円程度から始められる。定額の積立購入(ドルコスト平均法)によって購入単価を抑えることができる。積み立てている間は盗難リスクがない。

<デメリット>
他の投資商品に比べると手数料が高い。金の保管方法によっては業者の破綻リスクがある。

金関連の投資信託

金現物や金に関連する金融商品が運用の対象となっている投資信託を買うことで、運用はプロに任せて、出た利益を投資額に応じて得ることができます。証券会社や銀行を通して、毎月一定額での自動積立が可能です。

<メリット>
少額から始められる。純金積み立てに比べると手数料が安い。信託銀行で分別して管理されるため業者の破綻リスクがない。盗難リスクがない。

<デメリット>
金現物を保有できない。金ETFや株式の投資信託と比べると手数料がやや高め。

金ETF

ETF(上場投資信託)とは証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のことです。金ETFは金価格に連動するように設計されたETFで、株式の売買と同じように、取引所が開いている時間であればいつでも売買できます。

<メリット>
手数料が安い。業者の破綻リスクがない。盗難リスクがない。

<デメリット>
金現物を保有できない(現物と交換できるETFもある)。株式と同様に、自分でタイミングを見て売買する必要がある。

金は「守りの資産」として持とう

金の値動きの特徴は、「有事の金」といわれるように、戦争や紛争、金融不安がある時には、金価格は上昇する傾向があります。

また、金は米ドル建てで取引されることから、アメリカの経済動向に影響を受けます。アメリカの景気が良い時には金が売られてドルが買われる傾向があり、金とドルは逆相関関係にあります。

そのため、不況時に金価格は上がり、株価が上昇局面では下がる傾向にある金は、リスクヘッジ(相場の変動による損失を防ぐこと)として有効といえます。これは見方を変えると、金で儲けようと思うと、世の中の不況を願うような話になってしまうので、あくまでも守りの資産として、金融資産の一部を金で持つというスタイルがよいでしょう。

金の特徴としてもう一つ、インカムゲインがない点も頭に入れておく必要があります。株式や債券などは保有していれば、配当金や利子がもらえますが、金はいくら長期間持っていてもお金を生むことはありません。

それどころか、保管のコストを考えるとマイナスになることもあります。また、購入時、売却時に手数料がかかることも、手軽に売買できない要因になっています。

こうしたことから、金投資は、分散投資の一つとして取り入れるのが賢い方法です。投資の大事な心得である、リスクを分散して資産を守ることを考えた時に、株や債券、不動産とは性質の異なる投資対象として金は候補となります。金投資は全資産の10%程度を目安にするとよいでしょう。

投資商品はいろいろありますが、金は持っているだけで気持ちが上がるものです。純金積み立てなどは少額から始められるので、金投資の第一歩としていいかもしれませんね。

著者プロフィール: 石倉 博子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター/ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。"お金について無知であることはリスクとなる"という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における"お金の教養"の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA(学び場)」を無料開講中!