本記事では、不動産投資のひとつであるREITについて説明します。不動産投資というと多額のお金を動かせるプロ向けの投資という印象があるかもしれません。しかし、少額投資家でも不動産投資ができる投資方法がREITです。
ここではREITとは何か、基本的な仕組みやメリットとデメリットを説明します。ぜひ、今後の資産形成の参考にしてください。
REITとは?
REITとはReal Estate Investment Trustの頭文字を取った略語で、不動産投資信託を意味します。投資信託とは、投資した人のお金をひとつにまとめて専門家に運用を任せる金融商品のことを言います。その投資信託の中で、不動産を対象にしたものをREITと呼びます。
REITの仕組み
REITが通常の不動産投資とどのように違うのか、比較をしながらREITの仕組みを説明します。
不動産投資の仕組み
不動産を購入し、そこから家賃収入を得るという考え方が不動産直接投資です。
例えば、駅近の利便性の高い新築ワンルームマンションの1室を2,000万円で購入し、賃貸に出します。
購入資金の2,000万円は銀行の不動産投資ローンを利用します。購入後は家賃8万円で賃貸に出します。入居者から得られる月々の8万円で、不動産投資ローンを返済していきます。返済が完了すれば、家賃収入である8万円はすべて自分の収入になります。
不動産投資ローンを返済し終えるまでには一般的に30年から35年かかると言われていますが、自己資金が少なくても確実な資産が手に入り、将来的に安定した家賃収入が入るというメリットがあります。
一方で、住居者が現れない場合は、自分でローンの返済を行わなければなりません。不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高く、支払利息や返済額を自分で穴埋めする場合の持ち出しにどれだけ耐えられるかどうかがポイントになります。
REITの基本的な考え方
マンションを1部屋ずつ購入すると、どうしても割高になります。そこで購入希望する人を集めてお金を出し合い、建物全体を購入すれば、もっと効率的な投資ができます。集めて信託にした資金で、個人では購入できない規模の物件(オフィスビル丸ごと、マンション丸ごと)を購入し、出資した金額に応じて配当を受けるというのがREITの基本な考え方です。
例えば100億円を集めて部屋が100室あるマンションを購入したとします。1部屋の家賃を10万円とすると、毎月1,000万円の家賃収入が入ってきます。ここから諸費用を除いて、仮に300万円が利益として残ったとします。この残った300万円を、出資額に応じて投資家に分配します。これが、投資家が利益を得る仕組みです。
J-REITとは
REITはこうした投資信託を集めて、この仕組み自体を「ひとつの会社」(不動産投資法人)と考えて、株式上場したものです。
不動産投資法人(REIT)は投資家に対して投資をしてもらえるよう投資証券を販売します。そこから集まったお金を投資信託委託会社に委託し、委託会社がマンションやビルを購入します。購入した物件から得られた賃料から、諸経費や手数料を引いた利益を投資家に対して分配金として支払います。
REITの仕組みはアメリカで生まれました。日本の国内法に従ったREITがJ-REITです。このJ-REITを単にREITと呼ぶ場合もあります。
J-REITが購入するのは以下の6つの施設です。
- オフィスビル
- 賃貸住宅
- 商業施設
- 物流施設
- ホテル・リゾート
- ヘルスケア(病院・介護施設)
この中の1つを選んで投資する特化型の投資のほかに、2つの施設を組み合わせて投資する複合型、3つ以上に投資する総合型があります。現在最も多いのが、この総合型です。