BiSH、豆柴の大群ら人気グループを擁し、今最も勢いのある音楽事務所「WACK」代表の渡辺淳之介と、コロナ禍のライブハウスの現状をはじめ、音楽や映画などのカルチャーを独自取材した記事を数多く掲載しているWEBカルチャーマガジン「StoryWriter」を運営するSW代表・西澤裕郎。これまでも形式に捉われない独創的な企画を世間に届けてきた両者が、現在手を組んで実施しているクラウドファンディング・プロジェクト「BiSHモモコグミカンパニーのエッセイ本完成までを一緒に楽しみながらお届けしたい」が、多くの支援を集めて話題を呼んでいる。

  • WEBカルチャーマガジン「StoryWriter」を運営するSW代表・西澤裕郎さんと、「WACK」代表の渡辺淳之介さん(写真:マイナビニュース)

    WEBカルチャーマガジン「StoryWriter」を運営するSW代表・西澤裕郎さんと、「WACK」代表の渡辺淳之介さん

そもそもの2人の関係から、プロジェクトを実施するに至った経緯やその思い、withコロナ時代にエンターテイメントをどうビジネスとして成り立たせるのか? について、じっくり話を訊いた。

二人の関係の始まり「仕事仲間であり、遊び仲間でもあった」

――まず、お2人の関係がどこから始まっているのか教えてもらえますか。

西澤:渡辺さんが初期BiSを立ち上げたとき、僕は音楽配信サイト「OTOTOY」で働いていて、WEB編集者として出会いました。最初は別のライターさんがいて記事を書いていてくれたんですけど、BiSがメジャーデビューするタイミングで、メンバーへの取材も兼任することになり、渡辺さんがBiSの飛躍を祈ってバンジージャンプをしたり、プールの飛び込み台から飛んだりする「渡辺淳之介の空も飛べるはず」という動画企画ををやったり……。

「渡辺淳之介の空も飛べるはず」

渡辺:いや、全然再生されてないんだからやめてよ(笑)。

西澤:あははは。それに加えて、お互いに好きな音楽やカルチャーも近かったので、そういう話をたくさんするようになって。メディアと事務所という立場ではあるんですけど、それよりも仲間に近い、もっと深い関係になっていきました。

  • WEB編集者の西澤さんが初期BiSの取材を担当したのが二人の関係の始まり

渡辺:もちろん、ビジネスとしてやってはいたんですけど、どちらかというと一緒に遊んでるような感じでしたね。毎日のように飲みに行って現状報告をして、今度はこういう記事にしようとか、映像の企画をやってみようとか、そういうアイディアがそこから生まれていった感じです。仕事仲間であり、遊び仲間でもあったというか。僕の方はどちらかというと邪魔していた気がしますね(笑)。当時、西澤さんの会社の近くにあった中華料理屋に昼間に呼び出して、ビールを飲ませて泥酔させて会議を飛ばしたり。

西澤:ははははは(笑)。たぶん他の人とだったら怒られてたんですけど、渡辺さんとそういうことをやってると、なぜか許容してくれていたんですよね。

渡辺:居酒屋でめちゃくちゃ酔っぱらって、「もう行かなくていいや」って言い出したりとか(笑)。会社を立ち上げた今となっては、自分の部下がそんなことしたら怒るでしょ?

西澤:めちゃくちゃ怒りますよ!

一同:(爆笑)。

――当時、西澤さんは渡辺さんのどんなところに魅かれていたんですか?

西澤:渡辺さんの作ったBiSの現場がめちゃくちゃ面白かったんですよ。メンバー、スタッフ、「研究員」と呼ばれるファンの人たちも含めて、全員が“共犯関係”みたいな感じで、何か面白いことをやろうとしていた。そこに関わっていることが楽しかったんです。