梅雨前線に伴う一連の大雨(令和2年7月豪雨)の影響により、九州内の多くの路線で橋りょう流出や線路冠水、土砂流入などの施設被害が発生している。JR九州とくま川鉄道、肥薩おれんじ鉄道を中心に、九州内のおもな路線の被害状況をまとめた。

  • 肥薩線は八代~吉松間で当分の間、列車の運転を見合わせる(写真は2017年撮影)

JR九州は現在、豪雨による被害が大きかった肥薩線八代~吉松間、久大本線日田~向之原間、日南線南郷~志布志間、鹿児島本線長洲~植木間・川内~鹿児島中央間において、当分の間、運転を見合わせると発表している。

国土交通省が発表している被害状況によれば、肥薩線は鎌瀬~瀬戸石間の球磨川第1橋りょう、那良口~渡間の第二球磨川橋りょうが流失し、複数の駅で線路冠水の被害が発生したとのこと。球磨川第1橋りょう、第二球磨川橋りょうの被害状況に関して、JR九州も現地確認を行った際の現場写真を公開している。

  • 被災した球磨川第1橋りょう(JR九州提供)

  • 被災した球磨川第1橋りょう(JR九州提供)

  • 被災した第二球磨川橋りょう(JR九州提供)

  • 被災した第二球磨川橋りょう(JR九州提供)

  • 被災した第二球磨川橋りょう(JR九州提供)

久大本線では、豊後中村~野矢間の第二野上川橋りょうが流失。日南線は谷之口~志布志間で土砂流入等が発生し、鹿児島本線も玉名~肥後伊倉間で土砂流入、隈之城~木場茶屋間で築堤崩壊、木場茶屋~串木野間で土砂流入、上伊集院~広木間で切取崩壊などの被害が国土交通省により報告されている。

人吉温泉~湯前間を結ぶくま川鉄道も、人吉温泉駅(JR肥薩線人吉駅に隣接)の駅構内で線路冠水と土砂流入の被害が発生したほか、川村~肥後西村間の球磨川第四橋りょうが流失。線路への土砂流入や道床流失などの被害も発生しており、当分の間、全区間で列車を運行できない状況となった。「一日も早い復旧を目指して、現在、全力を挙げて取り組んでいるところです」と同社は説明する。

  • くま川鉄道は人吉温泉駅での線路冠水などの被害が発生。列車を運行できない状況に(2017年撮影)

八代~川内間を結ぶ肥薩おれんじ鉄道も、佐敷駅構内の線路冠水、肥後高田~米ノ津間の土砂流入などの被害が報告されている。同社によれば、20カ所で被害が確認され、復旧の見通しが立っていないとのこと。八代~水俣間は当面運休(7月12日まで八代~出水間運休)となる見込み。なお、鹿児島本線と肥薩おれんじ鉄道の一部区間が不通となっていることから、JR貨物は鳥栖貨物ターミナル~鹿児島貨物ターミナル間で貨物列車の運転を中止し、トラックによる代行輸送を実施している。

その他、九州内では平成筑豊鉄道田川線の崎山~源じいの森間でも落石が確認され、斜面崩壊のおそれがあることから、犀川~油須原間で運転見合わせに。7月12日からバスによる代行輸送を開始する予定となっている。