2019年3月から2020年3月までテレビ朝日系にて放映されたスーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』では、武装した恐竜=「騎士竜」たちと力を合わせて、戦闘民族ドルイドンの魔の手から人々を救うため戦う6人の「騎士」の姿が描かれた。通常ならば最終回を迎えた後、「ファイナルライブツアー」としてリュウソウジャーのキャストと主題歌シンガーたちは全国の子どもたちのもとへ向かうはずだったのだが、今年(2020年)は新型コロナウイルス感染拡大防止にともなう政府の緊急事態宣言を受けて、全公演が中止となってしまった。

  • 岸田タツヤ(きしだ・たつや)。1992年生まれ、東京都出身。2009年に俳優デビューし、2010年『大人になった夏』2011年『僕たちは世界を変えることができない』2012年『リアル鬼ごっこ3』『悪の教典』2013年『図書館戦争』などの映画作品や、2014年『相棒Season12』第17話、2018年『今日から俺は!!』といったテレビドラマ、舞台、CMなど幅広い分野で活躍する。『仮面ライダーウィザード』(2013年)の第38、39話にもゲスト出演した。『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019年)のリュウソウブラック/バンバ役で初めてヒーローを演じ、子どもたちから大好評を受ける。撮影:大門徹

しかし「ファイナルライブツアー」の開催を楽しみにしていた全国の『リュウソウジャー』ファンの思いに応えるべく、このたび、ドラマCD『「騎士竜戦隊リュウソウジャー ファイナルライブツアー」おはなしCDスペシャルセット』(5,000円/税込)として発売されることになった。

今回は、『リュウソウジャー』の知られざる"その後"の物語がCDで明らかにされるのを記念して、リュウソウジャーの中でも屈指の攻撃力を備える"威風の騎士"リュウソウアブラック/バンバ役・岸田タツヤのインタビューをお届けする。

当初は弟のリュウソウグリーン/トワ(演:小原唯和)と行動を共にする以外に"守るべき仲間"を持たない主義だったが、リュウソウレッド/コウ(演:一ノ瀬颯)たちの明るさや優しさに触れたことにより、次第にコウたちを共に戦う仲間として認め"絆"を深めていったバンバ。この魅力的なキャラクターは、1年を通じて仲間との距離感の変化に気をつけながら演じ上げてきた岸田の努力と熱意あってこそ生まれたものだったといえる。岸田からは、1年間にわたって演じ上げてきたバンバの人物像や、仲間たちの人間的成長、ヒーローを演じたことにより得られた"喜び"など、テレビシリーズ全体を振り返った総決算的な話を聞くことができた。

――リュウソウジャーは天真爛漫でポジティブなコウを中心に、個性豊かなメンバーがうまくまとまっている印象ですね。バンバもみんなと一定の距離感を保ちながら、それでも大切な「仲間」だと認識しているようです。岸田さんは以前、バンバがコウたちと出会い、対立を経てだんだんと仲間意識を芽生えさせていくといった感情の"流れ"を強く意識されていたと話していましたね。

そうですね。仲間と完全に打ち解けるわけではないですが、相手のことを思いやる気持ちがあるというバンバの"距離感"を常に頭の中に入れ、「この時期エピソードでは、バンバとみんながどれくらい分かりあっているか」を意識しながら演じていました。

――全話を振り返って、岸田さんが強く印象に残っている回があれば教えてください。

第32話「憎悪の雨が止む時」ですね。ナダ(演:長田成哉)からコウにガイソーグの鎧が飛ばされるのをみんなで食い止めようとしているとき、倒れているナダにバンバが「ナダ! また逃げるのかお前!」と激高するシーンがあったでしょう。バンバがコウを助けたいと思う気持ち、そしてナダに立ち上がってもらいたいという気持ち、ずっと仲間同士の絆を深め合っていたからこそ、あそこまでバンバが激しい感情を表すことができたと思いますし、やってきてよかったと思えました。

――『リュウソウジャー』放送中は、SNSなどでファンの方たちのいろいろなご意見や感想があったと思います。そんな中で、特に心に残った言葉にはどんなものがありますか?

毎回、放送の後にいただくのは、だいたいバンバについてのご感想なんですけれど、たまに俳優・岸田タツヤとして「このときの芝居がよかった」「他の作品を観たけれど、こんなところがよかった」という声をいただいたのもうれしかったですね。『リュウソウジャー』を終えた後は、みんなそれぞれ1人でいろいろな世界へ"戦い"に行かなくてはなりませんから、僕を「1人の役者」として認めていただいているようなご意見をいただけて、とてもありがたく思っています。

――これまでいくつかのイベントで、子どもたちと実際に触れあったりしたことがあったと思います。熱心な子どもたちの姿をご覧になってどんな思いを抱かれますか。

僕の場合、子どもたちが寄ってくるんじゃなくくて、お母さんのほうから「息子がファンなんです」といって来られることが多いんです(笑)。一度、知りあいの方から「うちの子がぜんぜん言うこときかないから、バンバから叱ってやってください」みたいなことも言われましたね。でも撮影を離れたところでは衣装じゃないし髪型も違いますし、そのようなメッセージはぜんぶお断りしているのですが、そうやって家族そろってバンバを応援してくれている、とわかったときはうれしかったですよ。感激したのは、子どもたちがちゃんと「リュウソウブラック/バンバは強いんだ」というイメージを持ってくれていることです。僕たちの演技が子どもたちにしっかり伝わっているって、本当に心にぐっと来ました。