職人が40年で8割減…元ティファニー社長が「日本の伝統文化」を未来へつなぐために立ち上げた挑戦とは?
鷲見玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ALFALINK presents BRAND NEW LINK」(毎週土曜 7:00~7:25)。ひとつの成功に満足することなく、新たな分野へと越境し挑戦を続ける人。既存の枠にとらわれず、業界に新しい潮流を持ち込み、ゲームチェンジを起こしてきた企業。そうした方々をゲストに迎え、挑戦にまつわるエピソードや発想の原点、そしてこれから目指すヴィジョンについて伺っていきます。

7月25日(土)の放送は、元ティファニー・ジャパン代表取締役社長で、現在はワールド・モニュメント財団 日本代表部 理事長を務める、ディメイ美代子さんをゲストに迎え、ティファニーで培ったリーダーシップ、日本の伝統文化を未来へつなぐ取り組みについて話を伺いました。


(左から)ワールド・モニュメント財団 日本代表部 理事長 ディメイ美代子さん、パーソナリティの鷲見玲奈



◆婚約指輪が導いた世界へのキャリア

ディメイ美代子さんは、元ティファニー・ジャパン代表取締役社長として30年にわたりティファニーでキャリアを築き、アメリカ本社ではバイスプレジデント(副社長)として世界29ヵ国・300店舗以上を統括しました。現在はワールド・モニュメント財団 日本代表部の理事長として、日本の文化や伝統工芸を未来へつなぐ活動に取り組んでいます。

ディメイさんがティファニーで働くきっかけになったのは、自身の婚約指輪でした。当時、「給料3ヵ月分の婚約指輪」という言葉が広く知られるなか、高価な買い物だからこそ「価値を見極められる知識を持ちたい」と考え、世界有数の宝石鑑定機関・GIA(Gemological Institute of America)でダイヤモンドを学び始めます。その経験を知った知人から、新聞の求人広告に載っていたティファニーを勧められたことが転機となりました。

ティファニーでは30年間で10の部署を経験し、16人の上司のもとで仕事をしてきました。ディメイさんは、「一人ひとりの上司からさまざまなことを学び、部署が変わるたびに新しい経験を積んできた」と振り返り、こうした経験の積み重ねが現在のリーダーシップにつながっているといいます。

また、アメリカのグローバル企業で働くなかで、日本とのコミュニケーションの違いも実感したといいます。多様な国籍の人々が働く環境では、自分の考えに責任を持って明確に伝える姿勢が欠かせないといいます。なかでも印象的だったのが、「1時間あれば誰でも話せるけれど、それを3分でどれだけ伝えられるか」という考え方で、短時間で要点を伝える重要性を学んだそうです。

2021年、コロナ禍の真っただ中でティファニー・ジャパンの社長に就任。ディメイさんは「売り方もコミュニケーションの仕方も、すべて変えないといけないタイミングでした」と話し、社員とともに「お客さまとどう向き合い、働くべきか」を考えながら、新たな体制づくりを進めました。

さらに、日本市場におけるブランドイメージの刷新にも取り組みました。ティファニーといえば、日本ではブライダルジュエリーの印象が強い一方、本来の魅力は「ハイジュエリー」にあるといいます。1837年の創業以来、「キング・オブ・ダイヤモンド」と称される歴史や、希少な宝石を用いたハイジュエリーの価値をより多くの人に知ってもらうため、社内外でコミュニケーションを重ねながら、その魅力を発信し続けました。


(左から)パーソナリティの鷲見玲奈、ワールド・モニュメント財団 日本代表部 理事長 ディメイ美代子さん



◆企業と挑む伝統文化の継承

ディメイさんは、ティファニー・ジャパンの社長を務めていた時代に、ワールド・モニュメント財団と連携し、石川県・金沢で伝統的な「縁付金箔」の職人育成プログラムを立ち上げました。その背景には、ティファニー・ジャパン創立50周年という節目と、初の女性社長として「日本のために今までとは違う取り組みをしたい」という思いがあったといいます。

日本の文化財保護につながる企画を検討するなかで、金沢の縁付金箔職人育成に着目。「ティファニーは金を扱うジュエラーですから、金箔の育成プログラムはとても面白いと思いました」と振り返ります。

プログラムでは、担い手不足が課題となる縁付金箔の職人育成を支援。ワールド・モニュメント財団や金沢金箔伝統技術保存会、市などと連携して研修制度を整えました。ティファニーの参画をきっかけに新たな関心が集まり、それまで家族や親族を中心に受け継がれてきた世界に「やってみたい」と手を挙げる女性も現れ、現在も職人として活躍しています。

ディメイさんは、こうした活動は企業だけではなく個人にとっても重要だと語ります。過去40年間で職人は8〜9割減少し、この先10〜20年で寺院や仏閣が半減するともいわれるなど、日本の伝統文化を取り巻く環境は厳しさを増しています。

そうした状況を踏まえ、ディメイさんは「文化って日本の大切な一部、私たちのDNAじゃないですか」と語ります。日本の文化は暮らしや企業活動の土台であり、その「DNA」を未来へ受け継ぐことは、日本人だけでなく企業にとっても大切な役割だと、その思いを語りました。

<番組概要>
番組名:ALFALINK presents BRAND NEW LINK
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25(TOKYO FM / FM大阪)
パーソナリティ:鷲見玲奈
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/brand_new_link/
番組公式Instagram:@alfalink.tfm