妊娠適齢期の女性に定期的にやってくる生理(月経)。成人女性ならば、これまでの経験から何日周期で生理が訪れるのかを把握・予想でき、その周期をもとにプライベートや仕事の予定を立てる女性も少なくない。ただ、いざ「その日」とにらんでいた日より1週間以上も早くに来たり、逆に2カ月も生理が来なかったりして不安に感じた経験を持つ女性もいることだろう。

こういったいわゆる「生理(月経)不順」はしばしば女性に起こりうるわけだが、なぜ生理のタイミングはこんなにも前後するのだろうか。そもそも、予定より何日ずれこんだら生理不順と呼べるのだろうか。本稿では、産婦人科専門医の船曳美也子医師の解説をもとに、生理不順の原因や治療の必要性の有無、その予防法などを紹介していく。

  • 生理不順の原因や予防法など、女性特有の悩みを専門医に聞いてみた

生理不順の定義

「生理不順を理解するためには、まず生理周期を正しく知っておきましょう」と船曳医師は話す。

生理は約4週間(25~38日)を一つのサイクルと考え、その周期は「卵子が育って排卵するまでの時期」(生理後1~2週間)と「排卵してから次の生理までの時期」(生理約2週間~3週間後)に大別できる。生理周期の後半、すなわち、排卵から次の生理までの2週間は、卵巣から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)によって太りやすくなる時期と考えられている。

「生理周期とは生理が終わってからでなく、生理開始日から次の生理開始までの期間を指します。通常は25~38日周期ですが、25日だったり、38日だったりするのは生理不順です。許容できる変動の幅は6日。つまり、通常の周期が30日とすると、『前後3日、28(27)日周期から33(32)日周期までは正常』と考えます」

生理不順の原因

生理は以下の機序によって起きる。

(1)脳から一定リズムで指令が出る
(2)卵巣が反応する
(3)子宮が反応する

生理不順の最たる原因として挙げられるのは(1)にあるという。

「脳からのリズムが不調になる原因としては『生活の変化』『ストレス』『やせすぎ(BMI1が8.5以下)』『体重増加(BMIが25以上)』があります。脳の生理リズムの指令部位は、感情や食欲といった原始的欲求を支配するエリアと密接しているので、感情や食欲に変調があると生理も変調するのですね。また、他の原因として卵巣機能の変化や妊娠などによる子宮の変化も考えられます」

生理不順の予防法

生理日が読めないと、仕事やプライベートなどさまざまなシーンで影響が出てくることは必至。脳から発せられるリズムの乱れが生理不順の主要因となっているため、生理不順を防ぐにはいかに脳からのリズムを一定に保てるかが肝要となる。

船曳医師も「脳からのリズム不調が原因の生理不順に対しては、生活習慣を整えて無理をしないことが予防につながります」と力を込める。予防につながるポイントは以下の3つだ。

■睡眠……できるだけ規則正しく、十分な睡眠をとるように。

■食事……食べすぎ・食べなさすぎをなくすことが重要。自分の食事量がわからないという人は、レコーディング・ダイエットのように、その日に食べたものをすべて書き出してみるとよい。

■運動……特別な運動をしなくても、「普段エレベーターやエスカレーターで移動しているところを階段を使う」「電車通勤をやめて自転車通勤にする」「毎日朝夕にちょっと散歩をする」などの習慣をつくればOK。

「この睡眠、食事、運動も重要ですが、何かご自身の好きなことや楽しいことをするのもおすすめです。好きな入浴剤でお風呂につかるとか、面白い動画をYouTubeで見るとか、なんでもいいのです。気分をリフレッシュできることが大切ですね」

生理不順に伴う受診の必要性

もし自分が生理不順になってしまった場合、1~2周期ほど様子を見て従来のサイクルに戻るようなら問題ないとのこと。ただ、3周期以上続くようならば、婦人科を受診したほうがよいと船曳医師はアドバイスを送る。

「生理不順による出血だと思い込んでいて、実は悪性の疾患だったり、感染症だったりした場合は、加療が遅れると命に関わる可能性も出てきます。甲状腺や脳の良性の腫瘤などでもホルモンバランスが狂うことがあり、その場合は、放置では治りません。また、無月経が3カ月続く場合も受診してください。早期の治療が早期の回復につながります」

生理不順の治療法

実際に治療するとなったら、まずは問診や診察で生理不順の原因を特定する。悪性疾患や感染症が原因ではないことが確認できれば、採血でホルモン検査を実施。そのうえで、原因に対する治療を施すことになる。

「婦人科のホルモンバランス異常であれば、何周期か女性ホルモンや黄体ホルモンを内服し、人工的に生理周期をつくる治療をします。軽いものでしたら、生活習慣の改善で整う可能性は十分あります。食事は、野菜やお肉、魚、ごはんやパンとバランスよく摂ってください」