結婚後に子どもを望む夫婦は多いが、「早く産みたい」と願っても必ずしもすぐに子宝に恵まれるわけではない。内閣府の「平成30年版 少子化社会対策白書」によると、2016年の母親の第1子出産時の平均年齢は30.7歳。この数字は1985年と比べ、4.0歳も上昇しているという。

また、厚生労働省人口動態統計によると、35歳以上での出産の割合は2000年には11.9%だったが、2011年には24.7%にまで上昇している。これらのデータからは「晩婚化に伴う女性の高齢出産が増えている」という現状がうかがえる。

出産時における年齢が高くなるほど、「自分はちゃんと妊娠できるだろうか」と不安になる女性も増えてくるはずだ。最近では、不妊の原因は男性にもあることが徐々に知られるようになってきてはいるが、妊娠は夫婦での協力が必要となってくるだけに、「自分が妊娠しやすい体質かどうか」が気になる女性も少なくないだろう。

そこで今回、産婦人科専門医の船曳美也子医師に妊娠しやすい体と妊娠しにくい体についてうかがった。

  • 妊娠しやすい体とは?

    妊娠しやすい体とは?

妊娠しやすい体

妊娠しやすい・しにくい体質を理解する前に、改めて妊娠に至るまでの一連の流れを確認しておこう。

妊娠は女性の卵子と男性の精子が結合し、受精卵ができることから始まる。

(1)卵巣から排卵する

(2)排卵された卵子を卵管が受け取り、卵管で卵子は精子と結合する

(3)結合した精子が卵子の中に入り、受精する

(4)受精した卵は育ちながら卵管を移動し、子宮に到達する

(5)子宮の内膜がふかふかになった場所にうまく受精卵がもぐりこむと着床となる

「この一連の過程が順調にいっている体が『妊娠しやすい体』と言えます。つまり、排卵する卵巣、動きのよい卵管、着床しやすい子宮を持っている女性が妊娠しやすい体ということになります」

妊娠しにくい体

一方で妊娠しにくい体とは、卵巣、卵管、子宮が一定の条件を備えていない場合だと船曳医師は話す。

「例えば、『排卵しにくい卵巣』『癒着して動きの悪い卵管』『内膜が薄くて着床しにくい子宮』などは妊娠に向いているとは言い難いです。そのほとんどは成長過程の環境が原因と考えられており、生まれつきこういった悪条件になっているケースはまれです。生まれつきの原因は、卵巣や卵管が1つしかなかったり、子宮が極端に小さかったりということがあげられます」

成長過程において「妊娠しにくい体」を招く要因には、以下のようなものがある。

■短期間の極端なダイエットにより排卵しにくい卵巣になる
■クラミジアや淋菌といった性行為感染症で卵管が癒着する
■月経痛のひどい子宮内膜症で卵管が癒着する
■頻回な人工妊娠中絶や手術後の感染などで子宮の内膜が癒着する

妊娠のしやすさを調べる方法

妊娠しやすくなるために重要な役割を果たしている卵巣、卵管、子宮がきちんと機能しているかを知るための目安を船曳医師に解説してもらった。

卵巣

「月経が順調にあることは、排卵する卵巣の目安となります。1カ月に1回あれば大丈夫で、3日前後のずれは心配ありません。基礎体温を毎日測ることでも、排卵しているかどうかがわかります」

卵管

「動きのよい卵管かどうかを調べる方法はありません。卵管が通過しているかどうかは造影剤検査でわかりますが、動いているかどうかはわかりません。動きが悪くなる原因となるようなクラミジア感染症になっていないか、子宮内膜症になっていないかは、婦人科で調べることができます」

子宮

「着床しやすいかどうかを調べる方法は、月経量です。『月経量が極端に少ない』『3日以内で終わり、ナプキンにつく量が少ない』『子宮の中の手術をしたことがある』という場合は、婦人科で調べたほうがいいでしょう」

妊娠しやすい体になるために気をつけること

先天的に妊娠に不向きな体質であるケースはまれであり、ライフスタイルや生活習慣が妊娠に関連しているのであれば、自身の行動変容によって「妊娠しやすい体」へと近づけることが可能となる。そのために注意すべきポイントを以下にまとめたので参考にしてほしい。

(1)体重

「BMI(体重kg÷身長m÷身長m)を計算してみてください。数値が18.5を下回ってしまうと、卵巣は排卵しにくくなります。また、BMIが30を超えても、排卵しにくくなります。どちらの場合も、定期的に月経が来ている方は大丈夫ですが、月経不順の場合は体重を調整しましょう」

(2)喫煙

たばこは卵子の数を減らしてしまうので、将来妊娠しにくくなるリスクがある。喫煙の習慣がある女性は、減煙・禁煙に励むようにしよう。

(3)食事

妊娠を直接的に促すような食材はないが、抗酸化力を上げる緑の葉野菜を食べた方がいいという。他にも腸や子宮の細菌叢(そう)を整えるため、豆やごぼうなどの食物繊維や納豆、みそといった発酵食品、さらには妊娠初期にも必要な葉酸を含むアスパラガス、ほうれん草、納豆を積極的に摂ったほうがいいとのこと。

「女性の社会進出が進み、働いている女性も増えているかと思います。営業と営業の合間や、仕事終わりの夜食などでコンビニエンスストアを活用される方もいることでしょう。そのような際に何を買うか迷ったら味噌汁や納豆、五目豆、グリーンスムージー、ヨーグルトといったものを選べばよいと思います」

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 船曳美也子(フナビキ・ミヤコ)

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、生殖医療専門医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚、43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2014年、健康な女性の凍結卵子による妊娠に成功。出産に至ったのは国内初とされる。著書に、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書「女性の人生ゲームで勝つ方法」(2013年、主婦の友社)、女性の身体について正しい知識を知ってもらえるよう執筆した「あなたも知らない女のカラダ―希望を叶える性の話」(2017年、講談社)がある。En女医会にも所属している。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。