――『エピソードZERO』で無鈴が"ペン"を走らせているデスク上に、"パイナップル"と"リンゴ(アップル)"が置いてあるという「ピコ太郎」ネタもありましたね。

あれは助監督のアイデアです。最初は、そういうネタは何回かエピソードを重ねてから、徐々に出していけばいいかなと思っていましたが、いきなりアタマから出していた(笑)。

――そのように、現場スタッフのあちこちから「こういうアイデアはどうか」と提案が来るのはいい環境だといえますね。

僕もそう思っています。スーパー戦隊のスタッフはみんな長年の経験があるメンバーばかりで、こちらから「こういうことをやりたい」と案を出したら、即座にいろいろな準備をしてくれたり、「それならこういうアイデアもあります」と提案してくれるんです。経験豊富なチームがすでにしっかりと出来上がっているのは心強いな、と感じました。

――キラメイジャーの相棒となる5台の魔進たちの声を演じる声優さんは実に豪華な面々がそろっています。山口監督の手ごたえはいかがでしょう。

みなさんの名前を聞いて、僕自身びっくりしましたね。最初の段階からキラメイジャーの役者たちと同じくらい、魔進のキャラを立たせないといけないと思っていましたが、このみなさんだったら心配ないなと。声優さんの演出で苦労したことはまったくなく、5体のキャラを実にうまく作り上げてくださり、5人のキラメイジャーと見事にセッションしてくれました。みなさんはとても多忙な方々なので、全員集まって声を収録するというのはなかなか難しいのですが、『エピソードZERO』のときは役者チームと声優チームの顔合わせができて、お互いに話し合ったり、とても有意義な時間が過ごせました。

――3月8日に放送した第1話は「充瑠がキラメイジャーになって戦うまでの物語」が描かれました。これに続く、第2話の注目ポイントはどこでしょうか。

第2話では、瀬奈を軸にしながら、充瑠がキラメイレッドとしてチームの"一体感"をまとめるべく、リーダーとして務めていくエピソードとなります。『エピソードZERO』、第1話、第2話と3つのエピソードを担当させてもらえて、『キラメイジャー』の成り立ちをじっくりと描かせてもらえたのは、自分にとってありがたかったですね。これから先も監督させていただきますので、引き続きよろしくお願いします。

――山口監督は『キラメイジャー』をどんなシリーズに育てていきたいと思われますか?

エピソードごとに、しっかりと「人間」を描くことのできるドラマ作りを心がけていきたいですね。第1話は、充瑠がキラメイレッドに変身する"覚悟"を決めるまでが描かれましたが、いくらターゲット層が低めで、話をできるだけを分かりやすくするにしても「人間」が立っていないとドラマが成立しませんからね。どんな形であれ「人間」を描くのはドラマの基本として、大切にしたいです。これから『キラメイジャー』の1年間が始まりますが、5人の若者たちがいったいどのように輝いていき、煌めいていくのか、僕も楽しみです。

(C)2020テレビ朝日・東映AG・東映