スーパー戦隊シリーズ第44作で、キラキラと光り輝くヒーローたちが大活躍する新番組『魔進戦隊キラメイジャー』が、2020年3月8日より放送開始となる。映画『騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』と同時上映の『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』では、美しい宝石の国クリスタリアからマブシーナ姫とキラメイストーンが地球にやってきて、4人の"キラキラ"と輝く若者たちがキラメイジャーに選ばれるまでを描いたが、テレビではその後、絵を描くのが好きな高校生・熱田充瑠がキラメイレッドに変身し、ついに5人揃ったキラメイジャーがヨドン軍に挑む……というストーリーが語られている。

  • 荒川稔久(あらかわ・なるひさ)。脚本家。1964年生まれ、愛知県出身。東映特撮作品には『仮面ライダーBLACK』(1987年)より参加し、『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)や『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)などを経て『仮面ライダークウガ』(2000年)にて初めてメインライターを務める。『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)『非公認戦隊アキバレンジャー』(2012年)やVシネマ『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(2017年)をはじめ、数々の特撮・アニメ作品で健筆をふるう。撮影:大塚素久(SYASYA)

ここでは『キラメイジャー』のメインライターとして作品世界の骨子を築き上げた上、アニメ・特撮作品で多くの傑作・快作を生み出している脚本家・荒川稔久氏に登場いただき、キラメイジャー誕生の経緯やキャラクターのネーミング秘話を語ってもらった。

――荒川さんが「スーパー戦隊シリーズ」でメインライターを務められるのは、久々なんですね。

『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)以来9年ぶりになりますかね。それ以降8作品中4作品やってますし、裏で非公認戦隊も2シーズンやってますし(笑)、『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』なんかも書いてるので、常に「スーパー戦隊シリーズ」とは近いところにいた感じです。

――チーフプロデューサー・塚田英明さんの作品で荒川さんがメインを務められるのは『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)以来となりますね。番組企画に荒川さんが入られた時点では、どんな「戦隊」にしようという構想がありましたか?

最初に僕がやりたかったアイデアは、メンバー全員がゴージャスな雰囲気で、ある種の余裕を持ちつつ、半分"道楽"でヒーローをやっているような戦隊でした。たとえるならばイギリスの『サンダーバード』の現代版。大富豪でお金があるから、メカも作り放題、っていう(笑)。塚田くんのアイデアを交えてみんなで揉んでいくうちに「キラキラ」というキーワードが出てきて、実際の作品の方向性が固まってきた感じですね。

――出演者のオーディションには荒川さんも立ち会われていると思いますが、決定したキャストのみなさんはイメージどおりの方たちでしたか。

オーディションには最終選考とその前の段階から参加させてもらって、自分からもこの人がいいな、なんていろいろ意見を言いました。決まった役者さんたちはまさに"キラキラ"したイメージにピッタリで、希望どおりのキャスティングでしたよ。

――キャラクター設定の中で、キラメイイエロー/射水為朝の「eスポーツの名手」というのは珍しく、目を引きました。

みんなでブレインストーミングしながら"今っぽい"職業は何だろうと意見を出し合って、eスポーツが出てきたんです。最初、eスポーツと聞いて「ゲームやるのがスポーツなの?」と思いましたけど(笑)、今やその認識は古いんですよね。

――これから1年間にわたってキラメイジャーとヨドン軍との戦いが繰り広げられるわけですが、荒川さんの頭の中には最終回までの大まかなストーリー展開がすでにできあがっていたりしますか?

いえ、先のことはぜんぜん考えていません。プロデューサーが変わると、ストーリーの作り方なども変わってくるのですが、塚田くんは「こうしたい」という自分なりの方向性を強く持っていて、さらにそれを理路整然と投げかけてくれるので、僕がそれに乗っかっていく感じですね。塚田くんと僕とでは、発想の仕方がぜんぜん違いますし、趣味もかなり違います。僕が全10巻を愛読したマンガを「3巻で読むのやめました」なんて言ってたし(笑)。でもだからこそ、彼の中にない要素を僕が入れるなんてこともできますし、上手くかみ合えばとてもいいコラボになるんじゃないかと、いつも思っています。