――キラメイジャー各人の名前は荒川さんが考案されたとうかがいましたが、それぞれのネーミングには「法則」があるのでしょうか。

それほど厳密なものじゃないけど、まず苗字は「熱」「速」「射」「切」「治」と、キャラクターの特性を示す文字が入った地名・駅名から。その上で、充瑠はイギリスの物理学者でエネルギーの"単位"にもなっている「ジュール」から、為朝は弓矢の名手だった武将「源為朝」から、瀬奈はF1ドライバー「アイルトン・セナ」から、時雨は北欧神話で聖剣グラムを使う大英雄「シグルズ」から、小夜は"白衣の天使"ナイチンゲールの和名「小夜啼鳥」から採ってます。

――古坂大魔王さん演じるキラメイジャーの支援組織「CARAT(カラット)」のスーパーバイザー・博多南無鈴(はかたみなみ・むりょう)にも彼らと同じ法則がありそうですね。

五人をバックアップする「博士」キャラなので「博」を苗字に入れて、経済的にも支援しているので、ノーベル賞で有名な「ノーベル」からネーミングしました。無(ノー)鈴(ベル)ね(笑)。結果的に、なんかお坊さんみたいな名前になっちゃいましたね(笑)。

――また本作では、5人の戦士を選び出した5つの宝石=キラメイストーン=魔進が言葉をしゃべる設定から、鈴村健一さん、岩田光央さんといった人気声優の方々がキャスティングされています。荒川さんからすると、1つのお話の中に"10人"ものキャラクターのやりとりを書かなければならず、たいへんになるのではないでしょうか。

あれだけ有名な声優のみなさんがよく揃ったよねえ。今回、キャラクター同士の会話だけでかなりの分量になるから、シナリオの入稿作業にも15年くらいぶりに立ち会って「この部分を切って」とか「ここはふくらまそう」とか、ギリギリまで直していますね。それだけ、セリフのやりとりを活き活きとしたものにしたかったんです。

――キラメイジャーが戦う"敵"となるヨドン軍は、どんな悪事をはたらくキャラクターなのでしょうか。

キラメイジャーが"キラキラと輝く"戦隊なのに対し、ヨドン軍は美しいものを嫌い、人々から輝きを奪って"汚す"のが目的です。今年は『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)の黒十字軍的な「仮面」を被った怪人=邪面師が出てきます。「〇〇邪面」というネーミングもそれっぽいかもね。ことさら原点回帰というわけではなく、スタッフ間でいろいろとディスカッションしていった結果、決まったものですけど。

――キラメイジャーの全員名乗りのポーズに見られるように、今回は男子フィギュアスケートやバレエの"華麗さ"をヒーローアクションに盛り込んでいるのが目新しいところではないかと思います。

キラメイジャーですから"キラキラ"感をどのようにしてビジュアルに集約するか、イマドキのスタイリッシュさを意識的に狙っているかもしれませんね。

――スーパー戦隊シリーズでは、昔から『バトルフィーバーJ』(1979年)が踊りのリズムを戦いに活かしていたり、『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)では新体操の華麗な動きを戦闘に採り入れたり、力強いヒーローアクションに"華やかさ"を加えようとする向きがあったと思います。今回のキラメイジャーは一種の「王道」への回帰といえないでしょうか。

特にそういうことを考えずとも、「スーパー戦隊」として必然的に "守らなければならない"ところはあると思いますし、その上で一周回って"新しく感じられる要素"もありますし、それらをどう取捨選択するかでおのずと新戦隊としての個性が出てくるんじゃないですかね。あまり斬新なことをやりすぎると、メインの視聴者である子どもたちが離れてしまいかねないので、どこまでやるかのさじ加減が難しいですけど。