新商品2種を発売! ファットバーガーが再定義するチキン商品の立ち位置

『FATBURGER』(ファットバーガー)はLA生まれのハンバーガーチェーンである。「Since 1952」とあるが、実際には1947年ごろから営業しており、1940年創業の『McDonald's』と同時期から70年以上も続く、歴史ある店だ。ハンバーガーにオシャレやヘルシーを求めるようになった21世紀生まれの店とは違い、ファットバーガーにはまさしく"comfort food"な良さがある。一見すると何ら特別なところのない、ふつうのバーガーなのだが、町の食堂の「生姜焼き定食」が異常においしいような、そんな種類のおいしさがあるのだ。

筆者もそんなオールドスクールなバーガーに惹かれて、東京・渋谷の国内1号店に通い詰めていたのだが、ある日、チキンサンドのおいしさに気づいて以来、そればかり食べるようになった。

  • ファットバーガーのチキンサンドイッチスパイシー

    「チキンサンドイッチ スパイシー」680円(税別)。グリルしたチキンにオリジナルのケイジャンスパイスをまぶしてサンド。野菜はトマトとシュレッドレタス。その上にマヨネーズ

特製のマリネ液に半日浸け込んだ鶏モモ肉(推定120~130g)を使用。これにオリジナルの粉をまぶして揚げると「クリスピー」、そのまま鉄板で焼くと「グリル」、そこへケイジャンスパイスをかけたものが「スパイシー」と3種類の食べ方がある。いずれのチキンも「タンドリーチキン」のようなスナック感あふれる味がマリネによってよく滲みて、肉汁豊かでジューシー。レタス、トマト、マヨネーズとともにバンズに挟んだ「サンドイッチ」としてのクオリティも極めて高くて、絶妙な塩梅でまとまっている。

そんなファットバーガーが2020年の年明けに新たなチキン商品を投入した。「クラシック・チキンバーガー」と「柚子胡椒マヨ・チキンサンド」の2品で、価格は税別380円。既存の「チキンサンドイッチ」より300円安い。米国のチキン戦争の渦中の2店、『Popeyes Louisiana Kitchen』(ポパイズ・ルイジアナ・キッチン)と『Chick-Fil-A』(チックフィレイ)のチキンサンドがそれぞれ3.99ドルと4.39ドルなので、それらに近づけた価格の商品だ。

  • ファットバーガーのクラシック・チキンバーガー

    1月6日発売の「クラシック・チキンバーガー」380円(税別)。チキンサンドイッチと同サイズのバンズとフライドチキンに、シュレッドレタスとサウザンアイランドソース

「チキンサンドイッチ」からトマトを抜き、レタスの量を減らして、マヨネーズの代わりにサウザンアイランドソース、または柚子胡椒マヨが入るという、同サンドの簡易版といった内容ながら、使っているチキンとバンズは全く同じサイズのもので、価格も込みで、十分に満足のいく商品になっている。むしろ、この380円のサンドに満足してしまったら、その上の680円のサンドを食べなくなるのではないかと心配なくらいだ。

これまで「ハンバーガーより安く食べられる、それ以外の選択肢のひとつ」程度の認識だったチキンのメニューが、独立したカテゴリーとして十分注目に値するものであることを示してみせた。ファットバーガーのチキンサンドは、それほどの力を持つ、大きなインパクトを秘めた一品だ。

  • ファットバーガーの日本1号店

    ファットバーガーの日本1号店は2018年4月、渋谷駅前のスクランブル交差点を見下ろす「MAGNET by SHIBUYA109」7階にオープンした