ゲヒルン、三菱自動車工業、スカパー JSATの3社は、「特務機関NERV制式電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」を共同制作した。三菱自動車の「アウトランダーPHEV」をベースとする災害対策車両で、給電能力のほか、通信衛星経由でインターネットに接続できるところが特徴だ。

  • 「アウトランダーPHEV」をベースとする災害対策車両

    ゲヒルンら3社が製作した「特務機関NERV制式電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」

防災情報発信サービスの継続を支援

「NERV」(ネルフ)といえば人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する組織のことだが、なぜ今回のクルマの名称に「NERV制式」という文言が入っているのだろうか。それは、ゲヒルンという会社が特務機関「NERV」の名前を使って防災情報発信サービスを展開しているからだ。同社はアプリなどで防災情報を提供しているが、災害時、オペレーション拠点が停電してしまったり、通信システムがシャットダウンしたりしてしまえば、必要な情報を配信できなくなってしまう。そこでゲヒルンは、災害時における「BCP」(事業継続計画)として、災害対策車両を制作した。

ベースとなっているのは、三菱自動車のアウトランダーPHEVだ。このクルマは「プラグインハイブリッド」という種類で、エンジン、ガソリンタンク、モーター、バッテリーの全てを搭載している。アウトランダーPHEVは基本的にガソリンを燃やしてエンジンで発電し、その電力でモーターを回して走行する。ただし、高速走行時に「パラレル走行モード」に移行すると、エンジンを駆動に使い、それをモーターでアシストする走り方に切り替わる。バッテリーには外部から給電することが可能だ。

  • 「アウトランダーPHEV」をベースとする災害対策車両

    三菱自動車の「アウトランダーPHEV」がベース

アウトランダーPHEVは「動く蓄電池」として使用することも可能だ。外部給電のための100VのAC電源コンセント2口を備えているので、合計1,500Wの電力を取り出すことができる。つまり、このクルマにプラグを差し込めば、さまざまな家電が使えるのだ。バッテリーが空になっても、ガソリンさえ入っていれば発電できるので、災害時にも頼りになる。また、SUVなので最低地上高が高いため、多少は荒れた道路も走破できる点は、災害対策車としての強味になる。このクルマにスカパー JSATの衛星通信サービスおよび米カイメタの平面アンテナを組み合わせ、インターネット接続サービスの提供能力を持たせたのが、今回の災害対策車両だ。

ゲヒルンらが製作した車両は2台。「初号機」は東京エリア、「弐号機」は札幌エリアで2020年2月1日から運用を開始する。基本的にはBCPのための車両だが、災害対策本部や避難所に同車両を派遣することも考えているという。ゲヒルンの石森大貴代表取締役は、車両を運用する上でのコストや維持費などを考慮しつつ、可能であれば車両の台数を増やしていきたいとの考えを示している。