地域にもよるが、日本では冬に備えてクルマのタイヤを「スタッドレスタイヤ」に履き替えるのが一般的だ。ただ、履いていない4本のタイヤを保管しておくのは場所を取るし、そもそもタイヤ交換が面倒だと感じている方も多いのではないだろうか。そこで、選択肢に入れたいのが「オールシーズンタイヤ」だ。今回、お盆に合わせて東京から岡山に帰省することになったので、愛車のメルセデス・ベンツ「S124」にオールシーズンタイヤを装着し、乗り心地と燃費を試してみた。

  • オールシーズンタイヤを履いたメルセデス・ベンツ「S124」

    東京~岡山間でオールシーズンタイヤの乗り心地と燃費を試した(写真:マイナビニュース)

メルセデス・ベンツ「S124」で岡山へ

ちょっと古いベンツにオールシーズンタイヤを装着し、ロングドライブに挑戦。これが今年の夏休みの宿題だ。

筆者が所有するのは、「ヤングクラシック世代」といわれる「S124」型のメルセデス・ベンツ。型式としては「E220 ステーションワゴン」というクルマだ。1995年製の最終モデルではあるが、製造からはすでに24年の歳月が経過している。現在の走行距離は約14万5,000キロ。ちなみに、124型が世にデビューした1985年には、Eクラスではなく「ミディアムクラス」と呼ばれていた。

  • オールシーズンタイヤを履いたメルセデス・ベンツ「S124」

    愛車「S124」をロングドライブに連れ出した

124型はメルセデス・ベンツが「最善か無か」という崇高な哲学のもとに製造を開始し、約11年の製造期間で221万台以上を生産した人気車種だ。凹凸がなく滑らかなフラッシュサーフェスボディは、当時としては異例のCd値(空気抵抗)0.29を達成。ワンアームワイパーや中期型から装着されたサッコプレート(車体下部をカバーする樹脂製プレート)なども、このクルマの特徴だ。ステーションワゴン「S124」のリアは広大なラゲッジスペースとなっていて、格納されているシートを引き出せば最大7人の乗車定員が確保できる。

シルバーメタリックの我がS124が搭載するのは、2,199ccの直列4気筒DOHCエンジンだ。最高出力150ps、最大トルク21.4kgを発生し、4速ATを介して後輪を駆動する。ボディサイズは全長4,760mm、全幅1,740mm、全高1,490mmで、ホイールベースは2,800mm。車両重量は1,540キロだが、車検証には前軸770キロ、後軸770キロと記されている。つまり、前後荷重が50:50の理想的な配分なのである。

現在のモデルでいえば、長さは現行のメルセデス・ベンツ「Cクラス」並みだが、車幅が1,740mmというのは現行Cクラス比で70mmも狭い。それが、当時のクルマらしさを表している。

  • オールシーズンタイヤを履いたメルセデス・ベンツ「S124」

    最近のクルマに比べ幅の狭い「S124」

装着しているのは、グッドイヤー製の「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」というオールシーズンタイヤ。サイズは純正の195/65R15だ。トヨタ自動車のPHV「プリウス」の15インチモデルなどと全く同じサイズなので、手に入りやすいサイズだといっていいだろう。取り付けてすぐに冬の富士山周辺の雪道を走り込み、関東近辺の雪程度であれば十分に対応できる性能を持っていることを確信した。タイヤのサイドには、冬用タイヤの証となる「SNOW」マークが刻まれているので、降雪時の規制にも問題なく対応してくれる。

  • オールシーズンタイヤを履いたメルセデス・ベンツ「S124」
  • オールシーズンタイヤを履いたメルセデス・ベンツ「S124」
  • 雪道における「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」の性能は検証済みだ

その一方で、夏タイヤとしての性能も十分でなければ、オールシーズンタイヤと名乗ることはできない。その性能を試すのに、今年のお盆は絶好の機会となった。現在の住まいである東京と故郷の岡山を往復し、高速道路、市街地、オフロードでの乗り心地と実際の燃費を確かめることができたのだ。