『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』の初日舞台あいさつが26日、東京・丸の内TOEIにて開催され、『仮面ライダージオウ』『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の主要キャストと映画ゲスト、両監督が集まり、壮大なスケールと奇抜なビジュアル、そしてあっと驚くアイデアに満ちたストーリー展開など、豊富な魅力を備える2作品の見どころを大いに語りあった。

  • 上段左から、田崎竜太監督(※田崎監督の崎は立つ崎が正式表記)、渡邊圭祐、大幡しえり、押田岳、小原唯和、岸田タツヤ、上堀内佳寿也監督、下段左から、斉藤秀翼、若林時英、前野朋哉、奥野壮、一ノ瀬颯、兵頭功海、綱啓永、尾碕真花

『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』は、現在ついに最終展開を迎えているテレビシリーズ『仮面ライダージオウ』の結末とは異なる、平成仮面ライダーシリーズ全体の"最終回"というコンセプトで作られた、大スケールの特撮アクション映画作品となった。

仮面ライダードライブの"歴史"を消滅から救うべく、1575年の戦国時代に飛んだ常磐ソウゴとゲイツ、ツクヨミ、ウォズは、そこで"暴君""魔王"と恐れられた織田信長と遭遇。やがて、平成仮面ライダーの力を備えたライドウォッチをすべて集めたソウゴが"魔王"になる瞬間がやってくる……。

平成仮面ライダーの集大成作品らしく、本作では平成という時代に生まれ、活躍したあらゆる仮面ライダーが姿を見せる展開あり、さらに"仮面ライダーとして選ばれなかった男"がサプライズ出演を果たす場面あり、そして、歴代平成仮面ライダーが強大な敵に向かっていかにも「平成」的としか言いようのない必殺キックを決める凄絶なアクションありと、平成仮面ライダーの娯楽要素を徹底的に極めたかのような見せ場の連続で、観客の期待に十二分に応えた映画となっている。

エンドクレジットには、今年の5月20日に89歳で逝去した元東映副社長・渡邊亮徳(わたなべ・よしのり)氏を追悼する意味で、「We miss you,Yoshinori Watanabe(1930-2019)」という一文が捧げられている。渡邊氏は東映テレビ部のトップとして1971年に第1作『仮面ライダー』を製作したほか、数々の特撮ヒーローやアニメーション作品、Vシネマなど、数々の映像娯楽を世に送り出したパイオニア的存在。この日は奇しくも、都内で「渡邊亮徳さんを偲ぶ会」が執り行われており、改めてここに「仮面ライダーの生みの親のひとり」の死を悼み、その偉大なる功績の数々を称えたい。

『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』は、今年3月から放送開始された『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の劇場版。リュウソウジャーとは、6500万年前の恐竜時代から地球を守る使命を帯びてきた"リュウソウ族"の末裔であり、伝説の「騎士竜」たちと力を合わせて、邪悪なドルイドン族に戦いを挑んでいる。

今回の映画では、時空を操ることのできる始祖マイナソーの力によって、6500万年前から古代リュウソウ族の美女・ユノが現代に現れるところから幕を開ける。ユノ(演:北原里英)と5人のリュウソウジャーは6500万年前へとふたたびタイムスリップし、そこで強大な"力"を使って人々を支配しようと考えているユノの父・ヴァルマ(演:佐野史郎)の野望を食い止めるべく、リュウソウジャーが活躍を見せる。

リュウソウジャーのルーツというべき6500万年前の恐竜時代が緻密な映像技術によって描かれ、大迫力の"ほんもの"恐竜たちの群雄割拠が観られるほか、地球めがけて宇宙から飛んでくる超巨大隕石の脅威や、鎧戦士ガイソーグと一対一の戦いを繰り広げるコウ/リュウソウレッド、そして「キシリュウジン」に乗って地球最大の危機を防ごうとするメルト、アスナ、トワ、バンバの奮闘など、テレビとは一味違う「映画」ならではのスペシャルな見せ場が満載され、雄大なロケーションで繰り広げられる特撮アクションと共に堪能することができる。

舞台あいさつはまず『仮面ライダージオウ』チームから。仮面ライダージオウ/常磐ソウゴを演じる奥野壮は「なんか、いける気がする!」とソウゴの決めゼリフで観客の声援に応えつつあいさつ。公開初日を迎えた心境を尋ねられると「素直にうれしいです。僕たちの集大成といえるような映画がみなさんに届けられることは感慨深く、僕にとって価値のある日」と、1年間にもわたるテレビシリーズがクライマックスを迎えるタイミングで、力の入った劇場版が公開されることの喜びと、出来栄えについて確かな手ごたえがあったことを力強く語った。注目ポイントとして奥野が挙げたのは「牢屋の中でのウォズとのやりとり」のシーン。ここで奥野は「田崎監督と話し合って、自分なりに考えたセリフを劇中で採用していただいているんです。ここが1年間の成長を監督に見せることができたシーン。みなさんにもそういった僕の成長を見てほしい」と、台本を自分なりに咀嚼した上で、自身の提案したセリフで撮影に臨んだシーンに注目してもらいたいことを明かした。

仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役の押田岳は「ゲイツが戦国時代に行き、織田信長から自分の着ていた"甲冑"を全部譲られるところに注目です。僕は時代劇がすごく好きなので、侍の格好をして腰の刀の抜き、お芝居ができたのがうれしかった。あそこはお気に入りシーンです」と、自身の"時代劇愛"を打ちだしながら好きなシーンを挙げた。すると信長役の前野から「(侍姿も甲冑も)めちゃめちゃ似会っていましたね。明らかに信長より強そう。ぜったい時代劇のお仕事があるだろうなと思います」と絶賛され、喜ぶと同時に「やりたいですね!」と時代劇出演への強い意欲を見せた。

ツクヨミ役の大幡しえりは「ダ~メだ、こりゃ……」と、テレビシリーズでのツクヨミの印象的なセリフでウケを取ったのち「戦国時代の世に紛れるため、当時の着物を着て市女笠(いちめがさ)を被った姿でいたのですが、このときのアクションが自分としても好きで、田崎監督からも『いまのアクションよかったよ!』と言ってもらえました」と、自身が満足いくアクションを表現できたことを笑顔で語った。

仮面ライダーウォズ/ウォズ役の渡邊圭祐は、「この映画は僕たちの1年間の集大成だと思って撮影していたのですが、映画のエンドロールで第1話からの僕たちの姿が映し出されたとき、ワケわかんないくらい感動してしまいました」と、改めて『ジオウ』の中で一緒に演技をした仲間たちと共に過ごした1年間をエンドロールバックの映像で確認し、言いようのない感動を覚えたことを打ち明けた。映画ではウォズの"ある行動"がソウゴを追いつめる結果になるため「みなさん、僕を嫌わないで」と大勢のファンを前に不安を隠せない様子を見せた。しかし、ウォズを愛するファンがたくさんの拍手を送ったこともあって、渡邊はようやく「ありがとうございます!」と言いながら安堵の表情を浮かべた。

映画ゲストの織田信長役・前野朋哉は、歴史に名を残す人物を演じた感想を問われて「映画での信長が、僕の中の織田信長です! たぶんああいう人だったんだろうなって」と、後世の史料に記された信長の"暴君"というイメージがかけらもない、女性好きで調子のいい信長を演じた感想を述べた。演じる際に考えていたこととは「信長がコレをやったらイヤだな、というのがテーマとしてありまして、遊んでいました。すみません。ふざけていたところもありましたけれど、楽しかったです!」と、ユニークな信長像を楽しんで演じていたことを明かした。

同じく映画ゲストで、信長の家臣である忍者の牛三を演じる若林時英は、映画ではゲイツに惚れこんでしまうという設定だが、実際に若林が惚れ込んだ俳優は?と聞かれて、「やっぱりゲイツ殿の岳くんですね!」と押田の名を挙げて微笑んだが、すかさず前野から「えっ、上司の俺じゃないの?」と言われ、苦笑していた。若林は「岳くんの私服が個人的に大好きで、マネしたかったんだけど出来なくて、憧れの存在です」と、プライベートな押田のファッションセンスに憧れを見せ、押田から「じゃあこんど一緒に……」とショッピングの話をしようとしたが、とうとう前野から「そういう話、楽屋でやって(笑)!」とツッコまれてしまった。

時の管理者"クォーツァー"の一員で、ソウゴたちの前に立ちはだかる仮面ライダーザモナス/ジョウゲン役・斉藤秀翼は、かつて『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)でキョウリュウブラック/イアンを演じていたが、今回はジオウやゲイツに立ちはだかる"悪"あるいは"敵"の存在。これについて斉藤は「ヒーローは相手をやっつけて爆発させますが、今回、自分が爆発して"終わる"のは初めてです!」と、ヒーロー=仮面ライダーに倒される"宿命"を持つ敵キャラを演じたことをしみじみと噛みしめていたもよう。

田崎竜太監督は、映画の見どころとして奥野が挙げた「牢屋でのソウゴとウォズの対話」シーンについて「奥野くんが自分自身の"情熱"をぶつけてきた。僕としてもあそこは好きなシーンです」と、奥野の心を込めた演技と、その上達ぶりを称えた。

舞台あいさつの前に、客席の後ろで映画を観ていたという田崎監督は「"笑い"がとれてよかったです」とニヤリ。続けて「令和の時代に行くためには、平成にお別れを告げなければいけないと思っていて、これをもって"平成仮面ライダー"は最後、というのを表現するため、ああいうことをしました。みなさん、平成を終わることができたでしょうか?」と客席に問いかけると、大勢のファンから盛大な拍手が返ってきた。

続いて『騎士竜戦隊リュウソウジャー』チーム。リュウソウレッド/コウ役の一ノ瀬颯は「俺たちの騎士道! 見せてやる!」とコウの決めゼリフを放って客席を沸かせつつあいさつ。公開初日を迎えた心境として「戦隊とライダーの偉大さを感じます。これだけたくさんの方たちに観ていただけるのは、これまで何十年もシリーズに携わってきた先輩方の信頼と実績の上に成り立っていると思います。そんな素晴らしい作品に参加できるのがうれしい」と、東映が誇る2大ヒーロー「戦隊」と「仮面ライダー」の歴史の重みを感じながらコメントした。映画でのコウの見どころシーンは「強敵ガイソーグと対峙し、顔を上げたときのコウの"表情"ですね。映画ではみんなの新しい一面が引き出せていると思っているのですが、コウのもっとも重要なシーンといえばここになります。何より、上堀内監督にとてもカッコよく撮っていただきました!」

リュウソウブルー/メルトを演じる綱啓永は「劇中でメルトが仲間たちの思いを背負って『ソウルをひとつに!』と言うシーンがお気に入りです。ふだんならコウが言いそうなセリフをあえてメルトが言うため、僕も気合いを入れて撮影に臨みました。あれを経て、メルトが一歩成長したと思います。僕としても大事なシーン。ぜひもう一度劇場で観てください!」と、頭脳派のメルトが仲間を引っ張る役割を担うシーンがあり、そこをリピート視聴してくれたらうれしいと語った。

リュウソウピンク/アスナ役・尾碕真花は「恐竜時代に行ったアスナが恐竜の赤ちゃんを抱きかかえるんですけど、あそこでバンバから『馬鹿力なんだから気をつけろ』って言われるところがお気に入りです。上堀内監督から『もっとドスをきかせて』と言われ、思い切って『ハア(怒)?』ってやっています!」と、アスナの大きな特徴である「怪力の持ち主」という設定がうまく活かされたシーンを挙げた。

リュウソウグリーン/トワを演じる小原唯和は「キシリュウジンの中で、トワが仲間に"熱い"言葉をかけるシーンがあります。あそこでは上堀内監督から『理性をなくして演じろ』と指導されたので、現場で僕が感じたまま演じさせていただきました。コウが別の場所で1人で戦っているので、僕たち4人があきらめてはいけない!という気持ちを表現しました。テレビでのトワとは一味違う個性が出せていると思います」と、絶体絶命の危機を迎えて激しい感情がむきだしになるというトワを全力で演じあげたことの満足感を述べた。

リュウソウブラック/バンバを演じる岸田タツヤは「時空を超えて恐竜時代にやってきたとき、たまたま僕の近くにユノ(演:北原里英)さんが落ちてきたものですから、お姫様だっこをすることに……」と、ゲストヒロインの北原里英を抱きとめるシーンに注目してほしいと語った。岸田が話している最中、ずっと客席から小さな男の子が「バンバ~」と呼びかけ続けていて、子ども好きな岸田がふと穏やかな顔つきになったのが印象的だった。

リュウソウゴールド/カナロ役・兵頭功海は、映画でもテレビと同様に、海のリュウソウ族の子孫を繁栄させるべく"婚活"に励むが、なかなかうまくいかないというシーンで登場。おすすめとして「僕は昔『侍戦隊シンケンジャー』(2009年)が好きだったので、シンケンイエローの森田涼花さんと共演できたことは自分にとって感慨深いものがありました」と、10年前のテレビで観ていた憧れのヒロインと"共演"が叶い、しかもこのシーンがカナロとして初めての出番だったことを明かし、ニッコリ笑顔を見せた。

上堀内佳寿也監督は、映画を二度、三度楽しむためのポイントとして「観てくださったみなさんのお気に入りのシーン、カット、役者さんの演技、表情、あと演出の部分など、そういうところを探して、見つけていただくのも楽しみ方だと思います」と、観客のみなさんがそれぞれ心にとまった部分を今一度確認し、改めて楽しんでほしいと語った。

今年は元号が「令和」に代わって最初の夏休みであり、『ジオウ・リュウソウジャー』映画にとっても、強力なライバル映画が公開されており、興行面での熱戦が予想されている。奥野は「僕たちも自信を持っておすすめできる映画を作りましたので、もう何も恐れることはないです。夏映画は『ジオウ・リュウソウジャー』で盛り上げていきたいです!」と意気込みを語った。一方、一ノ瀬は「令和元年の夏、みんなと一番の思い出を作るのは、俺たちジオウ・リュウソウジャーだ!!」とポーズを決めつつカッコよく宣言し、奥野から「考えてきたね~!」と感心の声があげられた。

両作品が公開初日を迎えた記念および大ヒット祈願として、"王様"を目指す常磐ソウゴ(ジオウ)と正義に仕える"騎士"として戦うリュウソウジャーにちなみ「ヒーロー王国(キングダム)」建国!の宣言を行いつつテープカットが行われることになった。ステージに並んだ出演者の前に張られた作品タイトルロゴ入りテープに全員がハサミを入れると、背後に「ヒーロー王国建国!!」という文字と両作品のヒーロー総結集の巨大横断幕が舞い下りて、満員の客席を興奮に沸かせた。

改めて映画への意気込み、熱意を問われた一ノ瀬は「僕たちが全てのソウルをつぎ込んで作り上げた自信作。楽しんでいただけたら幸いです! リュウソウジャーとジオウを愛してください!」と、途中で緊張のあまり言葉が飛んでしまいそうになる中、奥野に励まされつつ最後まで元気よく応援を呼びかけた。

そして奥野は「『ジオウ』の集大成となる映画がついに公開され、とてもうれしく思います。みなさん、もう一回映画観たいな~と思われたら、またぜひ劇場に足をお運びください。そして『ジオウ』『リュウソウジャー』のテレビシリーズも、よろしくお願いします! 今日はほんとうにありがとうございました!」と、2作品のますますの盛り上がりに期待してもらえるよう、熱烈にアピールをしていた。