先日、大きな発注ミスをしてしまい、部長から「顛末書を提出しなさい」と言われてしまった。顛末書って、始末書のことかな? というわけで、今回は「顛末」という言葉の意味や使い方から、顛末書の書き方について解説します。

  • 顛末書の書き方や始末書の違いとは?

顛末の意味と例文

顛末は「てんまつ」と読みます。顛は「いただき」「物の先端」「はじめ」を表す漢字であることから、顛末は「物事の最初(顛)から最後(末)までの事情」という意味で使用されています。

(例文)

  • クレームとなった顛末を説明してくれないか。
  • 私も事の顛末を聞かされたのは、つい今朝のことでして。
  • 一刻も早く事故の顛末を調べて、社長に報告しなければ。

顛末の類語

顛末の類語としては、「いきさつ」「経緯」「一部始終」などが挙げられます。たいていの人は「経緯」を「けいい」と読むと思いますが、実は「いきさつ」とも読むことができるのです。また顛末の意味に「いきさつ、一部始終の事」と記載されているものもあることから、「いきさつ」「経緯」「一部始終」は、顛末とほぼ同義といえます。

また、一部始終の「一部」とは、全体の中の一部ではなく、新聞や本で使用される部数、つまり書物一冊のことです。一冊の本の始まりから終わりまで、あるいは一冊の物語の全ストーリーを指すときにも用いられます。

  • 辞任に至ったいきさつを聞いたが、どうも納得できない。
  • 当時の経緯を知る人から、詳しい話を聞きたいですね。
  • 彼は、事故の一部始終を目撃したようです。
  • 新刊の一部始終を読んだが、大変面白かった。

顛末と結末の違い

顛末に似た言葉に「結末」がありますが、両者は全く別の意味を持つ言葉です。顛末は、ことの始まりから終わりまでの一部始終を指すのに対し、結末は、物事の結果(終わりの部分)のみを指しており、最初の状況や途中の経緯は含みません。

例えば、上司から労災事故の「顛末」を報告するよう求められたら、「どこで、誰が、なぜ、どのようにして、どうなった」のかを事細かに報告しなければなりませんが、「結末」を報告するよう言われたのであれば、簡潔に「誰がどうなった」という報告で良いでしょう。

顛末書とは

皆さんは、「顛末書」というものを書いたことがあるでしょうか。顛末書とは、何らかのミスやトラブル、問題が発生した際に勤務先に提出する報告書の一つで、その始まりから終わりまでの一部始終を詳細に説明するものです。

顛末書の提出を求められる事例としては、交通事故や作業中の事故、発注ミスや物品の紛失、システム不具合に個人情報漏洩など、その他様々な不祥事が挙げられます。

また、子会社の社員が親会社に対して提出するなど、社外に提出するケースもありますが、基本的には社内向けの書類になります。

社外に対しては、「詫び状」あるいは「謝罪文」といった名称の文書を提出するのが一般的です。

顛末書の書き方と注意点

顛末書を書く際のポイントとしては、反省やお詫びの言葉、言い訳といった主観的な内容よりも、概要・経過、原因、被害の程度、措置、今後の対策など、起きたことを客観的な視点で報告することに重きを置き、事実のみを淡々と書きます。

そのため、必ずしも当事者本人が作成するものとは限らず、むしろ客観的な立場から事実を見ることのできる人が望ましいとされています。

また、ことの始まりから終わりまでを報告する必要があることから、事故の対応に追われている最中で提出するものではなく、事態が収束してから提出するものになります。

(顛末書の構成)

1.作成日・宛名・作成者の所属と氏名・タイトル
2.導入文
3.発生日時
4.発生場所
5.当事者の所属および氏名
6.事故や不祥事の概要
7.原因
8.事故の程度、被害の程度
9.現状の対応
10.今後の対応
11.その他、作成者の意見・コメントあるいは本人の反省と謝罪の言葉

ポイントとしては、事故の概要、経過、原因、被害の程度などを箇条書きで述べた後、現状の対応と今後の防止策に触れ、最後に、作成者自身のコメントや意見を述べてまとめます。

特に、作成者が当事者本人である場合には、反省の意とお詫びの言葉は必須です。

顛末書と始末書の違い

顛末書の書き方についてお話ししましたが、「始末書と似ているな」と感じた人もいるのではないでしょうか。

確かに、不祥事を起こした際に「始末書」の提出を求められるケースもありますが、先述のとおり、顛末書は、客観的な視点でもってことの一部始終を報告することに重きを置いたものであるのに対し、始末書は、謝罪の意と反省を示すことに重点を置いた、いわゆる反省文になります。


顛末書や反省文を上手に書くことよりも、まずは、それを提出しなければならないような事態は避けたいものですね。ちょっとした気の緩みから、大きな事故や不祥事に発展してしまうことのないよう、十分気を付けましょう。