今回のテーマは、ビジネスシーンでよく耳にする「フィードバック」です。フィードバックの意味とともに、なぜフィードバックを行うのか、どんなフィードバックが効果的なのかについてもお話ししたいと思います。

  • フィードバックを適切にできていますか?

フィードバックの意味

フィードバックは、「物を供給する」という意味の英語【feed】と、「後ろへ」「戻って」という意味の英語【back】から成るカタカナ用語です。元々は、工学分野の制御・通信関連で用いられる用語で、日本語では「帰還」ともいいます。

具体的には、エアコンで室温を26度に設定すると、センサーが反応して、自動的に26度になるようコンピュータが動きを制御してくれます。また、ロボットや機械に座標や位置、手順などの情報を与え、その結果、ズレが生じていればその情報を入力側に送り返し、ロボットの動きを修正・調整します。

このように、一つの電気系統において、出力された一部あるいは全ての結果を入力側に送り返し、任意の出力となるよう調整(制御)する仕組みのことを、工学の世界では「フィードバック」と呼ぶのです。

ビジネスシーンにおけるフィードバックとは

工学におけるフィードバックの意味が転じて、ビジネスシーンでは、「途中経過における評価や結果等(出力)を実行側(入力)へ戻し伝えること」を指します。ただし、ビジネスシーンでは、単に評価や結果を受けるだけでなく、それを基に「調整(改善)すること」を目的としてフィードバックを行います。

もう少し簡単に言うと、「評価や結果をもとに改善する」という意味です。一般的に、上司と部下の間、消費者と企業の間などで行われます。

上司と部下間のフィードバック

上司と部下の間で行われるフィードバックでは、主に、部下の日頃の働きぶりに対して上司が評価し、その結果が昇給などに反映されます。定期的に面談を設けている職場もあるでしょう。「上司は部下をどう評価しているのかを示し、部下はそれを受けて仕事に取り組み成長していく」というのが理想的なフィードバックです。

部下に対するフィードバックで最も重要なことは、「褒めて伸ばす」ことです。「ポジティブ・フィードバック」という言葉をご存知でしょうか。これは、評価対象者の問題点よりも、良いところ・称賛すべき点に目を向け、本人が仕事に対して前向きに取り組むことができるような評価をするもので、人材育成における手法の一つです。

しかしながら、「褒めてばかりもいられない」「指摘することも必要だ」と考える人も少なくないでしょう。では、どうしたらいいのか。

例えば、「君はこの部分が足りない」と指摘するよりも、「今はここが足りていないけれど、こうするともっと上手になる」とアドバイスをしたり、「そういうところがダメなんだ!」と批判したりするよりも、「その点は正直まだまだだが、この点は素晴らしい」と良い評価を加えるなどすると、部下も前向きな気持ちで聞くことができるのではないでしょうか。

要は「言い方ひとつ」です。単に未熟な部分を指摘するよりも、成果や成長を認め、部下のモチベーションアップとやる気を引き出すようなフィードバックを心がけましょう。

消費者と企業間のフィードバック

商品やサービスを利用した消費者からの評価や感想などを、店舗から企業側へ、営業部門から製造部門などに伝えることもフィードバックになります。

消費者の声を集める方法はさまざまで、カスタマーサービスなどの窓口を設けたり、アンケートを実施したりすることもあれば、営業部門が直接顧客から集めた声を製造部門に伝えることも。こうして得た消費者の声を参考に、修正や改善を加え、より良い商品開発とサービスの向上へと活かしていくことがフィードバックの目的です。

例えば、カスタマーサービスに「缶詰の中に虫が混入していた」というクレームが入ったとします。これを受けて企業は、「なぜ虫が混入したのか」「どうしたら異物混入を防ぐことができるのか」など、原因と改善について議論を重ね、二度と同じミスを繰り返すことのないよう対策を打ちます。

また、新製品を開発するにあたり、試作段階で消費者を集めて意見を集めた結果、例えば、吸引力に優れた掃除機を開発したものの、「思っていたよりも音が大きい」という意見が多かったとします。この結果を製造部門や開発部門にフィードバックし、吸引力はそのままに音の小さい掃除機になるよう改良を重ねていきます。

こういったフィードバックにより、消費者のニーズに応えた商品を生み出すことができるのです。

さまざまな分野におけるフィードバック

フィードバックは、工学や一般的なビジネスシーン以外でも活用されています。

教育学や心理学では、一定の行動後、その結果の反応を参考にして修正し、より適切なものに変化させていく仕組みを指します。誰もが経験のあるフィードバックといえば、学校の通信簿です。教師は、生徒のやる気と可能性を引き出すことを目的に、生徒の取り組みに対し助言や評価を行います。

一方生徒は、先生からの助言や評価を受け、それを基に更なる成長・上達を目指します。

スポーツの世界でもフィードバックは重要な役割を担っています。バレーボールやテニスのようにセット数で勝敗を競うようなスポーツの場合、1セット目の戦い方や結果から相手の弱点を分析し、セット間に戦略の見直しやフォームの修正などを行います。

指導者と選手間におけるフィードバックが上手く機能すれば、たとえ1セット目は大差で負けていた相手であっても、その差を徐々に縮め、最終的に勝つことも可能なのです。

また、他者からのフィードバックではなく、自分自身でフィードバックを行っているケースもあります。例えば、ボーリングやストラックアウトです。今の投げ方だと右側のピンしか倒れなかった(結果)から、次は少し左から投げてみよう(改善)とか、さっきは3番の的に当たったから、少し右を狙えば4番に当たるだろうとか。

このように、自分がしたことの結果を自分の脳や体に送り返し、より良い結果となるよう修正することもまた、フィードバックと言えるでしょう。

フィードバックを用いた例文

  • 現場からのフィードバックをデザインに反映してもらえますか。
  • アンケートの結果を製造部門にフィードバックしましょう。
  • ある程度進んだら、一度フィードバックしてください。
  • ハーフタイムにフィードバックできるよう、データをまとめておいてください。
  • 二者面談を行いますので、各自的確なフィードバックをお願いします。
  • 子ども達がネガティブになるようなフィードバックは不要です。

フィードバックの言い換え

フィードバックの同義語としては、工学分野では「帰還」が該当すると思いますが、ビジネスシーンにおけるフィードバックと同じ意味を持つ言葉はありません。

あえて挙げるとすれば、上司や顧客の「反応」「反響」「リアクション」「評価」などが近い表現になるでしょう。また、ビジネスシーンで用いられるフィードバックは、単に反応や評価を受けるだけでなく、それを基に調整・改善することを前提として行われることから、カタカナ用語を安易に使用できないようなシチュエーションでは、「反応をみた上で調整する」「評価を受けて改善する」などと丁寧に表現すると良いでしょう。

英語のフィードバックの使い方

フィードバックの英語表記は、名詞であれば【feedback】、動詞であれば【feed back】と二つの単語で表現するのが一般的です。

名詞としての【feedback】の意味は、主に「帰還」「意見」「反応」です。動詞としての【feed back】の意味は、「(情報や思想などを)~に戻す」「(返事や反応が)戻ってくる」「出力の一部を入力として前段階に戻す」などですが、英語圏ではあまり動詞として使用することはないのだそうです。

フィードバックを用いた英語例文

名詞【feedback】を用いた例文

・I would like some feedback.
みなさんの意見を聞かせてください。

・Do you have any feedback?
ご意見はありませんか?

・Did you have any feedback from customer about the new menu?
新しいメニューについてお客様から何か意見はありましたか?

・My boss gave me good feedback after the presentation.
プレゼンテーションの後で、上司は良いフィードバックをくれました。

動詞【feed back】を用いた例文

・Advice from the production line is feed back to the development department for analysis.
生産ラインからのアドバイスが、分析のため開発部門に戻されます。

・Please feed back the consumer response to the manufacturer.
消費者の反応をメーカーに伝えてください。


どんなに自分がいいと思う商品を作っても、思うように売れない。どんなに自信を持って仕事をしていても、なかなか成果が出ない……。

そんな時こそ、フィードバックをしてみるといいかもしれませんね。自分のフィルターだけでは見えなかったものが、他人のフィルターを通すことで、きっと見えてくるものがあるはずです。フィードバックによって得た情報に目を向け、耳を傾け、しっかりと仕事に生かしていきましょう。