2018年1月から始まった「つみたてNISA」。名前の通り積立投資を行い、一般のNISAよりも長期にわたる資産形成に向き、少額からコツコツと分散投資するのに適した制度です。NISAと同じく運用益が非課税になるため、投資で少しでもお金を増やしたい人は注目したい仕組みでしょう。では、その頻度や積立日によって得られるリターンに差は生じるのでしょうか。今回は、つみたてNISAの概要や積立頻度、積立日による違いについて解説していきます。

  • 「つみたてNISA」しくみを解説 - 頻度や積立日で違いはあるの?

    「つみたてNISA」しくみを解説 - 頻度や積立日で違いはあるの?

つみたてNISAはどのような商品で運用する?

つみたてNISAは、資産形成に大切な「長期」「積立」「分散」の要素を満たした税制優遇制度です。通常、投資信託等の運用益には原則として20.315%の税率がかかりますが、つみたてNISAを利用すると、年40万円の非課税投資枠がもらえ、その運用益が非課税になるのです(非課税期間は最長20年間、非課税投資枠は最大800万円)。

つみたてNISAの特徴としては、一般のNISAが一括または積立で買えるのに対し、購入は積立方式のみとなる点です。また、つみたてNISAで購入できる金融商品は、長期の積立や分散投資に適した一部の株式投資信託(公募株式投資信託、上場株式投資信託(ETF))に限られており、金融庁に認められた商品はわずか160本ほどとなっています(2019年8月現在)。つみたてNISAの対象商品は、公募株式投資信託の場合、以下の条件を全てクリアする必要があります。

・購入時手数料はゼロ(ノーロード)
・運用管理費用(信託報酬)は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合、0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対し、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知
・信託契約期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除いてデリバティブ取引による運用を行っていないこと

このように、つみたてNISAの対象商品は、手数料やリスクが低く、投資初心者でも利用しやすいものに限定されているのです。

つみたてNISAのメリットとは

つみたてNISAは、一般のNISAのように一括購入はできませんが、つみたてNISAだからこそ得られるメリットもあります。まず、NISAと比べて年間の非課税枠が小さく、そして、非課税期間が長いという点です。従来のNISAの非課税枠は年120万円と金額が大きく、非課税期間も5年と短いため、「せっかくもらえる非課税枠の恩恵を受けられない」という利用者の声がありました。そこで、つみたてNISAでは、非課税枠が年40万円となり、非課税期間は20年と長く設定されました。その結果、非課税枠が使い切れないという課題は大幅に解消され、長期的な視野に立った資産運用が可能となったのです。長期投資なら、複利効果を高めることも望めます。

さらに、積立方式で購入することで、「ドルコスト平均法」の効果も期待できます。ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を一定額ずつ分けて買うことで、平均取得単価を抑える方法のことです。この方法なら、価格が高い時には少しだけ、価格が安い時には多く買うことができますし、投資判断に頭を悩ませることなく機械的に積み立てられるのです。

こうしたメリットを踏まえて考えてみると、つみたてNISAを利用し資産形成を行う価値は充分にあると言えるのではないでしょうか。

積立頻度や積立日はどのように設定するのがいいのか

このようなメリットのあるつみたてNISAですが、悩むのは積立を行う「頻度」です。つみたてNISAの積立頻度は月1回が一般的ですが、証券会社によっては、「毎週」や「毎日」など買付のタイミングを選択できるところもあります。「細かく設定した方がよりリスクが分散できていいのではないか」と考える人もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。

結論から言うと、積立頻度は「毎月」「毎週」「毎日」のいずれに設定しても、大きな差はありません。ファンドで積立頻度を変えて投信を購入し、リターンを見比べたある調査によると、投資対象を株式と債券、REIT(不動産投資信託)とし、地域は国内と海外に区分した場合の代表的な指数連動型のインデックスファンドおよび、複数の資産でインデックス運用を行うバランス型を5年間積立投資した時のリターンは、「毎月」「毎週」「毎日」でほとんど変わりませんでした(QUICK資産運用研究所調べ)。つまり、積立頻度は運用パフォーマンスにほぼ影響しないため、どの頻度に設定しようか迷う必要はないということです。ちなみに、つみたてNISAの対象商品はノーロードに限られるため、積立回数が増えても手数料が増す心配はありません。

では、積立頻度を毎月にした場合、積立日はいつにすると効果的な運用ができるのでしょうか。世界の株式市場は、月末~翌月はじめにかけて上昇する傾向があり、これは「TOM(Turn of the Month=月の変わり目)効果」と呼ばれています。特に、日本の市場では「25~31日」に株価が上がりやすいようです。ということは、給料日が25日なら積立日をそれに合わせるのが良いでしょう。毎月一度の購入なら、管理も楽ですね。

積立頻度より商品選びが大切

つみたてNISAで長期投資をする場合、積立頻度はさほど重要ではないのです。それよりも重視したいのは、「どのような商品を選ぶか」でしょう。特に、信託報酬は投信を保有する限り払い続ける手数料ですので、安いに越したことはありません。つみたてNISAのメリットを最大限生かした運用を行い、将来の資産形成に役立ててみましょう。