相模鉄道は23日、20000系が2019年の鉄道友の会ローレル賞を受賞したと発表した。鉄道友の会は前年に営業運転を開始した新造・改造車両を対象に、会員の投票をもとに選考委員会が優秀と認めた車両をローレル賞に選定している。

  • 相鉄・東急直通線用車両20000系。現在は相鉄線内で運行されている

20000系は2022年度下期の開業を予定している相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)の車両として新造され、2018年2月に1編成(8両編成)が営業運転を開始した。相鉄グループ全体で推進する「デザインブランドアッププロジェクト」にもとづき、「安全×安心×エレガント ~目先のトレンドに左右されない『醸成するデザイン』」をコンセプトに開発されている。構体はアルミニウムの形材を接合したダブルスキン方式。車体前面は装飾的な要素も取り入れ、貫通扉の存在を感じさせない造形に。横浜をイメージした濃紺色「YOKOHAMA NAVYBLUE」で車体を塗装した。

車体長20m級とする一方、車体幅は直通運転の要件に沿って、相模鉄道が長らく標準としてきた2,900mm超より狭小の2,770mmとしている。また、8両・10両いずれの編成も組成可能なシステムを構築したという。機器類は想定使用路線の線形等を考慮し、動力性能向上・非常時対応・運転支援装置搭載に対応。制御装置はIGBT2レベルSiCハイブリッドモジュールによるVVVFインバータ方式。主電動機は出力190kWの全閉内扇形で、編成中の電動車・付随車の比をつねに1:1に配置できる。補助電源装置は編成中に2台搭載し、容量260kVAのIGBT3レベル方式で、異常時の延長給電機能も備えた。

  • 20000系の車内(2018年1月の報道公開にて撮影)

車内は客室全体をグレートーンで統一。オールロングシートの座席配置とし、車端部にフリースペースと「ユニバーサルデザインシート」を設けた。LED照明は時間帯で変化する調光調色式を採用。すべての出入口付近に個別ドアスイッチ、出入口上部や通路の天井に車内サイネージを設置したほか、相鉄線の特徴とされ、採用が途絶えて久しかった「車内の鏡」も復活させている。

鉄道友の会はローレル賞の選定にあたり、相模鉄道の20000系について「都心直通を実現するにあたり、共通化という前提の下で限られた独自性を見出す車両が増加する中にあって、明確なコンセプトを策定した後に共通化に対応させるという意欲を鮮明に打ち出した車両」と評価した。相鉄グループはローレル賞受賞を受け、「都心との相互直通運転を契機としてさらなる認知度・好感度の向上を図るとともに、『選ばれる沿線』を実現するための取り組みを引き続き行ってまいります」と発表している。

  • 相鉄・東急直通線用車両20000系の車内・外観