名人戦初登場で開幕連勝を飾った豊島二冠

佐藤天彦名人に豊島将之二冠が挑戦する第77期名人戦七番勝負が4月22、23日の両日、山口県萩市「松陰神社立志殿」で行われ、豊島二冠が勝ってシリーズ成績を2-0とし、三冠に一歩近づきました。

第1局が異例の1日目千日手で始まった本シリーズ、第2局は豊島二冠の先手で第1局千日手局と同じ、現在プロ公式戦で最も指されている「角換わり」へと進み、中盤でリードした豊島二冠が徐々にリードを広げ押し切りました。

佐藤名人がタイトル戦初挑戦の2016年、第74期名人戦七番勝負で羽生善治名人(当時)を4-1で破り初タイトルを獲得したのに対し、豊島二冠は挑戦権を獲得すること4度、ことごとく時のタイトルホルダーに敗れてきました。

  • 2010年度 第60期王将戦七番勝負(王将・久保利明)

●◯●●◯● 2―4 挑戦失敗

  • 2014年度 第62期王座戦五番勝負(王座・羽生善治)

●●◯◯● 2―3 挑戦失敗

  • 2015年度、第86期棋聖戦五番勝負(棋聖・羽生善治)

●◯●● 2―3 挑戦失敗

  • 2017年度 第67期王将戦七番勝負(王将・久保利明)

◯●●●◯● 2―4 挑戦失敗

しかし昨年度2018年度、ついに開花の時を迎えたのです。

  • 2018年度 第89期棋聖戦五番勝負(棋聖・羽生善治)

◯●◯●◯ 3―2 奪取

  • 2018年度 第59期王位戦七番勝負(王位・菅井竜也)

●◯●◯●◯◯ 4―3 奪取

タイトル初戴冠となった第89期棋聖戦五番勝負第5局の終局後に行われた記者会見では、「25歳頃(※現在28歳、25歳は3回目のタイトル戦登場の辺り)からいままではつらいと感じていた」と、タイトルをなかなか獲得できなかったもどかしさを語った豊島二冠。

しかし一方で、「周りの人や応援してくださる方がいて、頑張ろうと思っている自分があった」。

自身への支えや声援を力に変え、王位、棋聖のタイトルを獲得した豊島二冠。この名人戦も2つのアドバンテージを奪い、豊島ファンが望む一気三冠がぐっと近づきました。

注目の第3局は5月7、8の両日、岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」で行われます。