声優・歌手・ピアニストとして活躍する牧野由依。2019年8月にアーティスト活動15周年目に突入する彼女が、2枚組セレクトアルバム『UP!!!!』を発売した。今回のアルバムはこれまで彼女が紡いできた数々の楽曲の中から、レーベルを越えて収録曲をセレクトしている。

  • 牧野由依

    牧野由依(まきのゆい)。1986年1月19日生まれ。三重県出身。アミューズ所属。主な出演『アイドルマスター シンデレラガールズ』佐久間まゆ役、『プリパラ』黒須あろま役、『モンスターハンターストーリーズ RIDE ON』アユリア役、『恋と嘘』真田莉々奈役など

アルバムのDisc-1に収録されるのは、ライブコンサートでファン達と育て上げてきた楽曲。彼女のライブをサポートするミュージシャンたちと共に再現した新録音源 7 曲を含む全11曲をピックアップしている。また、Disc-2は、ピアニストとしてもレコーディングに参加した音源で構成される。今回、マイナビニュースではアルバムを発売する彼女にインタビューを敢行。アルバムに馳せる想いのほか、「これまで」と「これから」の活動についてお話をうかがった。

■ライブコンサートの中で育ってきた曲を形として残したい

――今回のアルバムのことに加えて、2019年で15周年目に突入する牧野さんの「これまで」と「これから」についてもおうかがいできればと思います。

今が14周年目、2020年の8月に15周年を迎える牧野由依です(笑)。よろしくお願いします!

――早速ですが、これまで10年以上活動してきたなかで、変わったなと感じる部分はありますか?

うーん……これまでの活動は安定してからの14年ではなく、不安定だった10代の頃も含めての14年だったので、いろいろと変わりました。考え方はもちろん、学生じゃなくなるなど、環境も大きく変化しています。何なら顔も変わっているんじゃないかなぁ(笑)。ほとんどのことが変わっていると思います。

――では、反対に変わっていないと感じる部分は?

私、用心深いというか、気にしいというか……とにかくビビりなんです。一方で変なポイントだけ楽観的な面もある。そういうビビりなのに楽観的なところもあるというバランスは昔から変わっていない気がしますね。

――年始に海藻を投げていらっしゃるので、あまり周りの目を気にされない、オープンになんでもされるタイプなのかと……。

よくご存じで(笑)。海藻ブンブンしていたのとか、あとは着ぐるみを新年に着て海岸で写真を撮っているのとかは、私のおばあちゃんが元気を無くしていた時期がありまして、ちょうど新年を迎えたタイミングでこの姿を見て笑ってくれたらいいなという想いから始めたんです。

それをたまたまTwitterでアップしたら多くの方からリツイートをしていただけたので、「みんなも楽しんでくれるんだったらそれがいちばん、笑っていただけるなら!」ということから、年始の恒例にしました。何でもそうなのですが、プライオリティを決めてやるんですよ。

――三重の伝統行事、ではないんですよね。

他の人はやらないです(笑)。確かに不思議な風習はありますけどね。豆まきは2月3日じゃなくて、大晦日にやるんですよ。あとは初詣にお賽銭は半紙にお金をくるむとか。少し前までは道にお金を落としていましたよ。

――地方によって色々な風習がありますよね。

そうですね(笑)。

■4周年だから「!!!!」

――海藻ブンブンを含めて「これまで」のことをうかがっていますが、ご自身のなかでターニングポイントになったと思うのはいつ頃ですか?

2008年3月に大学を卒業したのですが、その時『マキノユイ。』というアルバムを出したんです。このアルバムには今までの自分に一度区切りをつけるという意味合いを込めて「。」を付けたんですよ。大学卒業ということで環境も変わり、同級生の友達と同じように社会人になって、私はお芸事で食べていく……それはどういうことなんだろうとすごく考えた時期でもあったんです。

――今までの活動を振り返るという意味でもターニングポイントになった?

そうですね。

――今回のアルバムにはそんな区切りをつける前の楽曲も収録されています。アルバムはいつ頃から制作の話があがっていたのでしょうか。

2018年の10月だったかな。同じ年の6月にライブコンサートがあったんです。このライブコンサートはその前の年に私が喉を壊してしまったこともあり、復活するという意味合いを込めたものでした。ライブを終えたとき、私はライブコンサートによってファンのみなさま、そしてライブ制作陣と一緒に楽曲を育ててきた、その育ててきた楽曲を形として残したい、と強く想う様になったんです。

――その想いを抱いたときにはもうセレクトアルバムで2枚組という構想だった?

実は元々、「2枚組のベスト盤とかいかがですか」というお話をいただいていたんですよ。ただ、ライブコンサートのなかで育ててきた楽曲を形として残すという意味において、これまで発表されてきた楽曲をそのままアルバムに収録するのはちょっと違うかなと思って。今回はライブで育ち、アップデートしたものを収録することに意味があるんじゃないかなと思ったんです。

だから、Disc-1にはライブコンサートで好評だったアレンジバージョンを手掛けてくださっているMEGさんにお願いした、合計で7曲のアップデートバージョンの楽曲を収録しています。

――アルバムで新録されている曲には[UPDATE]と記載されていました。今回のアルバムの「UP」もそこからきている?

タイトルには[UPDATE]も含めて、色々な[UP]の意味が込められています。私、最初は「コンサート」という形で曲を披露してきたのですが、綺麗に聞いていただく事がステージの在り方なのかなって思ったときに、「それだけじゃないよな」と。一緒に楽しんでもらう空間を作るのも大事だと感じるようになってからは「ライブコンサート」と言うようになりました。

その楽しんでもらう空間を作るために、どうやって自分が[showup]すればいいのか色々と考えて曲のアレンジも変えています。そうやって曲も私自身も[grow up]してきました。それを皆さんに聞いていただくからには、[power up]させた音源が必要だろうと思って、アルバムを制作していきました。

――だから新録の曲もたくさん収録されているんですね。

はい。それから、今までの軌跡をたどって形に残すことによって、新たな[step up]ができたらいいなとも思ったんです。お話しているように、アルバムを制作していく段階ですべてに対して[UP]という言葉が付いてきたんですよね。だからアルバムのタイトルも素直に『UP!!!!』にしました。

――「!」が4つ付いているのにはどんな理由が?

絶対に聞いていただけると思っていました(笑)。これは14周年だからです。

――だから4つ!

そうなんですよ。作っていくなかで、いま現在を表すものがないということに気が付いて。だから「4」という数字をどうしても取り入れたくて、こっそり4つ付けました。来年何かをだすときは5つ付けているかもしれません(笑)。