マネースクールのファイナンシャルアカデミーは1月12・13日、東京ビッグサイト(東京都江東区)にて「お金の教養フェスティバル2019」を開催した。同イベントでは、総勢10名の著名人が「キャッシュレス時代に考えたいお金のこと」をテーマに講演を実施。2日間で約2,000人が来場するという盛況ぶりを見せた。

  • 会場のビッグサイトには2日間で約2,000人もの来場者が訪れた

    会場のビッグサイトには2日間で約2,000人もの来場者が訪れた

本稿では、1日目に登壇したタレントのボビー・オロゴン氏による講演の模様をお伝えする。通算15回目、初の2日間開催となった同イベントでトップバッターを飾ったボビー氏。今回は、「ボビー流! 世界標準のお金論」と題し、不動産投資家でありプロデューサー・作家としても活動する菅沼尚宏氏との対談が繰り広げられた。

ナイジェリアに初めてコンクリートを持ち込んだ父

テレビ番組『さんまのSUPERからくりTV』がきっかけで脚光を浴び、2004年大晦日には格闘家デビューも果たしたボビー氏。タレントとして現在もさまざまな番組に出演している一方で、投資家や実業家としても知られている。

  • ボビー・オロゴン 1973年、ナイジェリア連邦共和国イバダン生まれ。タレントとしてさまざまなTV番組などに出演し、子供から大人まで幅広く支持を受けるほか、投資家・実業家としても活動している(写真:マイナビニュース)

    ボビー・オロゴン 1973年、ナイジェリア連邦共和国イバダン生まれ。タレントとしてさまざまなTV番組などに出演し、子供から大人まで幅広く支持を受けるほか、投資家・実業家としても活動している

2007年には「近田ボビー」として日本に帰化し、日本人の妻との間に生まれた二男三女の父という顔も持つボビー氏は、故郷ナイジェリアから来日してすでに15年以上の月日が経っているとのこと。

  • 菅沼尚宏(すがぬま たかひろ)  株式会社タカプランニングジャパン代表、ファイナンシャルアカデミー認定講師。1980年代、大学在学中に劇団を旗揚げし、作家・演出家として活動。卒業後はメディア関係の会社に就職し、サラリーマンディレクター兼クリエイターとして、番組・コンサートなどさまざまなエンターテイメントを作り上げる。2008年、リーマンショックと実母の死をきっかけに投資の勉強をスタート。2010年に投資用物件を購入。その後、不動産投資スクールで学び、投資スピードを加速させる

    菅沼尚宏(すがぬま たかひろ)  タカプランニングジャパン代表、ファイナンシャルアカデミー認定講師。1980年代、大学在学中に劇団を旗揚げし、作家・演出家として活動。卒業後はメディア関係の会社に就職し、サラリーマンディレクター兼クリエイターとして、番組・コンサートなどさまざまなエンターテイメントを作り上げる。2008年、リーマンショックと実母の死をきっかけに投資の勉強をスタート。2010年に投資用物件を購入。その後、不動産投資スクールで学び、投資スピードを加速させる

対談相手の菅沼氏から来日当初の自身の仕事について聞かれたボビー氏は、苦笑交じりに当時を述懐した。

「レストランや工場で働いたり、ビラやティッシュ配りをしたり、普通にアルバイトが多かったけど、何でもしましたよ。特に記憶に残っているのは、英会話教材とパソコンの営業。全然日本語をわからない外国人が電話で日本人に営業するんだよ? どう思う(笑)? 当時、営業で何をどういう風に話すのか、先輩が全部アルファベットで書いてくれたわけ。『お忙しいところ申し訳ございません。私は△△の〇〇と申します。ナイストゥーミーチュー。英語やパソコンに興味ありますか?』みたいな(笑)。それでリストを渡されて、とにかく死ぬほど電話するんですよ」

そもそもボビー氏がビジネスの世界に足を踏み入れたのは、ナイジェリアで実業家として活躍していた父の影響が大きかったのだそう。

貿易会社を経営しながら7人の奥さんと34人の子どもを養う父の背中を見て育ったボビー氏は、物心がついた頃から“世界をつくるには商売しかない”と考えていたという。

「うちのお父さんは世界中で貿易していたんだけど、インスピレーションで生きている人で、初めてナイジェリアにコンクリートを入れた人なの。昔、ナイジェリアは土のレンガで家を作っていたわけだけど、土の家は雨で濡れちゃったりして10年経つと溶けたりするからっていう理由で。お父さんはいまだにコンクリートの事業も現役で続けているんだけど、それひとつだけじゃなくて、常に(いくつも事業を)掛け持ちしているよ」

そんなお父さんの掛け持ちスタイルはボビー氏にも脈々と受け継がれているようで、ボビー氏自身も株やFX、不動産など、現在10種類ほどの投資に手を出しているそうだ。

もっとも、ボビー氏本人としてはタレントが本業で、実業家や投資家としての活動はあくまでも“趣味”という位置付けのようである。しかし、常に新しいビジネスのアイディアや投資のヒントを探し続けるのが重要とのことで、番組収録の合間やロケバスの中でもタブレットやスマホを肌身離さず持ち歩き、常にその画面を覗く姿がテレビ関係者らによく目撃されているという。

「投資って奥が深すぎてキリないんですよ。今日24時間やったら明日はやらなくてもいいというようなものではなくて、毎日コツコツ少しずつやって、やっと大きな勝負ができる。だいたい無茶して大きく勝負に出たものはうまくいかないけど、ここがチャンスというのはちゃんと見るわけ。ファイターだって全部ストレートだけ打っていたら疲れるじゃん。ジャブも必要でしょ? そうやって、どこにストレートを打つのかを見極めるのが投資なんじゃないかなと思う。でも格闘技よりももっと難しいよ」

  • 格闘技になぞらえて投資を説明する場面も

    格闘技になぞらえて投資を語る場面も

投資は気楽な気持ち半分でやったほうがいい

サラリーマン時代に不動産投資を始めて独立した経歴を持つ菅沼氏からは、「日本は投資をしていることを表立って人に言いにくい空気感がある」という指摘もあったが、ボビー氏は「自慢話に聞こえる人もいるのかな。もちろん合う/合わないはあるけど、いろんな人とアイディアをシェアしないと壁にぶつかりやすいよ」と、ボビー氏らしいとも言えるポジティブな投資観やお金の考え方についての持論を展開。

対談中も気さくに来場者へ問いかけながら、より具体的なアドバイスを送る一幕もあった。

「僕たちは(投資するときに)お金がなくなったらどうしようって考えるけど、なくなるお金っていうのは、もともとなくなる運命だと思うわけ。お金が減ったり増えたりしても、それでいちいちプレッシャーを感じる必要もない。あとは、常に利回りが何パーセントかということを考える。例えば、1万円かけて1,000円儲かったら『たった1,000円』と思う人もいるかもしれないけど、1億円かけた人は1,000万円のプラスになっているわけだから。その1,000万円と同じ価値を感じなきゃ」

  • 来場者へ語りかけるボビー氏

    来場者へ語りかけるボビー氏

常に利回りで考える癖をつけて、小さな金額でも確実に勝ち癖をつけていくことを大切にするように説くボビー氏。一方で、投資は10戦10勝する必要はなく、5勝2敗程度の割合でいいと話し、その2敗は勉強代だと割り切ることも重要だと続けた。

「全部勝とうとすると余計な力が入るし、真面目に考えないほうがいいとも思うわけ。投資をやる人って真面目な人が多いんだよ。気楽な気持ち半分でやったほうがいい。考えるよりもとりあえずやる。難しく考える必要はない。難しく考えていたらキリもないし、とりあえずアイディアをどんどん出すほうが重要じゃないかな。投資っていうのは、未来について考えて、未来の安心を買うためのものなんだから。無理する必要もないし、長期的に考えてのんびりやればいいんじゃないかな。人間って焦ってすぐに利益を欲しがるけど、そうやって趣味の一環としてやったほうが、肩の力が抜けてむしろ大当たりしやすいと思ってる」

真面目に考えすぎず、まずは第一歩を踏み出し、小さいことから毎日コツコツと投資を重ねていく大切さを繰り返し語ったボビー氏。投資家として確固たる実績を有している同氏の言葉に、参加者たちも熱心に耳を傾けていた。