平成仮面ライダーシリーズの20作目を記念した連続テレビドラマ『仮面ライダージオウ』は、歴代の「レジェンド」平成仮面ライダーの"力"を受け継ぎ、50年後の未来で「最低最悪の魔王」オーマジオウになる運命を知らされた仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ(演:奥野壮)が、自らの運命に立ち向かい、人々の平和を守る「最高最善の魔王」になるべく奮闘する物語である。

これまで"過去"の時代でレジェンド仮面ライダーたちと遭遇してきたソウゴだったが、2019年1月6日に放送された第17話「ハッピーニューウォズ2019」からは、預言者ウォズ(演:渡邊圭祐)と同じ顔かたちをした「もうひとりのウォズ」が変身した「仮面ライダーウォズ」や、まだ見ぬ"未来"の仮面ライダーである「仮面ライダーシノビ」といったキャラクターが出現する「新展開」が始まり、ファンの興奮を誘っている。

新展開を楽しむためのおさらいとして、ここでは『仮面ライダージオウ』チーフプロデューサーの白倉伸一郎氏にインタビューを行い、レジェンド仮面ライダーの力を受け継いでいくソウゴ、そして仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ(演:押田岳)の活躍を描いた序盤エピソード、および映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の企画意図や、ストーリーのどのあたりに重点を置いたのか、などについて興味深いお話をうかがった。

  • 白倉伸一郎(しらくら・しんいちろう)。1965年、東京都出身。東映株式会社取締役テレビ第二営業部長兼ハイテク大使館担当。1990年に東映入社後、『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)よりプロデューサー補として作品制作に携わる。以後、『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)や『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)、『仮面ライダーアギト』(2001年)『美少女戦士セーラームーン』(2003年)など、主に特撮ヒーロー作品のプロデューサーを務めて多くの作品をヒットに導いた。撮影:宮川朋久

――現在、テレビ放送中の『仮面ライダージオウ』は、常磐ソウゴがクウガからビルドまで、平成仮面ライダーの力を宿したライドウォッチを手にしていく過程を描いてきましたが、序盤のエピソードでは歴代平成仮面ライダーのいわゆる「レジェンド」たちの出演が注目を集めました。年が明けて衝撃的な新展開を迎えた『ジオウ』ですが、これまでの序盤展開を振り返ってのご感想をお願いします。

レジェンドの方々がご出演いただけたことで、それに対する反響がやっぱり多いですね。いわゆるレジェンド回については、ジオウのピンチにかけつける先輩ライダー、みたいな「お助けヒーロー」の黄金パターンではない出し方をするよう心がけました。せっかくレジェンドがお忙しい中ご出演していただくわけですが、彼らが活躍していた過去から現在まで、1年の人もいれば3年、5年、10年とさまざま。かつて彼らが活躍していた時代から現在までの"距離"を、しっかりとお話に盛り込みたいと思ったんです。

――タイムジャッカーがアナザーライダーを生み出すと、その時代の歴史が変わってレジェンドライダーが「ライダーではなかった人生」を歩む、というのもなかなかお話作りが難しそうな設定でしたね。

たとえば、2017年公開の映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FINAL』で、『仮面ライダーオーズ/OOO』の映司とアンクの"その後"のような物語が描かれたでしょう。それはそれで非常に感動的だったのですが、『ジオウ』ではまた違ったアプローチを試みたんです。

第9、10話では、映司からアンクという相棒を切り離したとき、映司とはどんな人物なのか、というものをもう一度浮き彫りにしたいと思いました。映司がライダーにならなくて、アンクという相棒に出会わなかったら、どうなっていたのか……。こういった部分にきちんと向き合って、映司を演じる渡部秀さんともディスカッションを重ねながら、こういうことをしているんじゃないかと考えて、ドラマ作りに生かしました。

他のレジェンドにしても、仮面ライダーに「変身」して敵と「戦う」という要素をなくしたとき、現実に生きていたらどんなことをしていたのだろうかと、元の作品をひとつひとつ掘り下げて、人物像を築いていく作業を行っています。それはもう、スタッフ一同が歴代平成仮面ライダーの各作品を徹底的に見つめ直して、とてつもないこだわりの上でやっています。

――時間テーマの物語だと、過去と現在の時間のつながりについての矛盾(タイムパラドックス)などを考慮に入れる必要があるので、お話作りはいっそう大変なのではないかと思います。

とはいえ、理屈一辺倒ではないところがありますから、そこが難しいんです。設定を研ぎ澄ませていくと、第1、2話なんて、アナザービルドが出て来た瞬間に、本来の仮面ライダービルドは存在し得ないということになるのですが、画面的には、アナザービルド×仮面ライダービルド×仮面ライダージオウ ビルドアーマーが並び立つ、いわば「ビルド祭り」のような画があったほうがいいなと思って、意図的に「グレー」なゾーンを作っています。

アナザーライダーを倒すと、歴史が急に元に戻ったりするんですけれど、そこに少々オーバーラップの期間が生じます。そのため、アナザービルドとビルドが戦うビジュアルが実現するわけなんです。でもそんなことをすると、設定が分かりづらくなりかねない面もあります。ですが、分かりやすさよりも現象面での面白さ、画として面白いほうを優先しているところもあるんです。

――かなり速いペースでジオウとゲイツは歴代平成仮面ライダーのライドウォッチを集めていますが、平成仮面ライダー20作すべてのウォッチを集めきってしまった「その後」はどういう展開になっていくのでしょうか。

ライドウォッチを集めることが作品のテーマではないですからね。序盤エピソードでは、レジェンドライダーの時代へ飛んで彼らにブランクウォッチを託し、現在に戻ってふたたびレジェンドからライドウォッチを受け取るというフォーマットを繰り返し見せています。やがて、基本フォーマットが視聴者の方々に定着したころ、『ジオウ』の新しいステップを始めていこうという考えだったんです。そのために、まずは序盤で"お約束"をじっくりと観ていただきました。