5.Jumpin' Rollin' Coaster[2013/08/14発売:7thアルバム『Blooming Line』収録]

新谷 王道ではない、ちょっと変化球気味のバンビポップを狙って作ってもらった曲です。もちろんR・O・N君が考えるバンビポップは残しつつ、ちょっと変な曲をやりたいと思って作りました。これも歌うのが大変な曲で(笑)。歌詞がすごく多い曲ではあるのですが、レコーディングはすぐに終わってしまったので、もう少し歌いたいと思った記憶があります。私、あまりハモとかは得意じゃないので、本編があっさり終わってしまうとすごく寂しくなって、もうちょっと歌いたいって思うんですよ。これは、寂しいという気持ちだけではなく、「本当に大丈夫?」という不安もあったりするんですけど(笑)。それが本当に我慢できなくなったときは、最後にもう一回だけつるっと歌っていいですかってお願いすることもあります。本編よりも掛け声とかのほうが長いんですよ、R・O・N先生の曲は(笑)。だから、もうそっちへ行ってしまうのって……思ったのを覚えています。

6.Bloomig Line[2013/08/14発売:7thアルバム『Blooming Line』収録]

新谷 最初にデモを聴いたとき、すごいショックを受けた曲です。今、この曲を絶対に歌わなきゃいけないって思いました。曲の感じだけでなく、歌詞の内容も衝撃的で、デモの歌詞から、あまり世界観は変えないでくださいとお願いした記憶があります。今、この曲を歌わないと、絶対に前に進めないだろうなって思いました。

――作詞・作曲・編曲のSHIKIさんはこの曲が初めてですか?

新谷 この曲が初めてで、実はお会いしたこともないまま作ってもらいました。当時の自分の心境などを踏まえてお願いしたのですが、こうやってラインナップを並べてみると、とても不思議なところに位置する曲だなって思います。でも、すごく大事な曲で、この曲がなければこれ以降の新谷良子はなかったと思うくらい。バンビポップにとても新しい風が吹いたのではないかと思っています。Aメロからの流れで、あのサビが来たら泣けますよね?実はこの当時、今よりも藻掻いていた気がします。本当に溺れているような感じでした。『Blooming Line』のジャケットのデザインが、水面だったり、水をイメージしていたりするのも、そういうところから来ています。上手くいかないことばかり、全然自分に自信が持てず、先も見えない不安の中、いろいろと余計なことを考えて藻掻いていた時期だったからこそ、何度もいいますが、今、絶対に歌わないといけない曲だと思いました。

7.エトワール[2013/08/14発売:7thアルバム『Blooming Line』収録]

新谷 橋本(由香利)さんとこだま(さおり)さんの女子タッグによる柔らかい曲もたまにはやりたいと思って書いたもらった曲です。バンビポップは、意外と強めのイメージがあったりするので、たまには柔らかいのもやりたいという思いがあり、アルバムなので、いろいろな曲がやれるということもあって書いてもらったのですが、そうしたら本当に柔らかい曲ができて(笑)。可愛いとかキレイとか美しいではなく、本当に柔らかい。基本的に、可愛い歌詞の場合、あまり可愛く歌いすぎないようにしてバランスを取ることが多いのですが、「エトワール」に関しては、私も柔らかくなりたいと思って歌いました。

8.Over[2013/08/14発売:7thアルバム『Blooming Line』収録]

新谷 ライブのとき、泣ける曲だなって思いながら歌っていて、イヤモニから聴こえるまこっちゃんのギターもやけに泣かせに来ているなって思っていたんですけど、さすがにライブ中に泣くわけにはいかないはないですか。でも、ライブの後、あらためて映像で観たとき、照明の演出もまた泣けるように作られていて、それを観て泣きました(笑)。ステージ上だと、スポットが当たっている、当たっていないくらいしかわからないんですよ。いろいろと照明が変わっているのはわかるのですが、全体は見えないので、ライブ中はまったく気づかなかったのですが、後から映像で観ると、こんなに泣かせにかかっていたんだと思って……。それもあって、すごく感動する曲というイメージがあるのですが、それと同じくらい、とても強い意思のある曲で、その意思に負けない自分でいないと歌いこなせない曲だと思います。

――曲自体はそこまで強い感じではないですよね

新谷 そうなんですよ。たぶん歌詞がその強さを引き出していて、それに負けてしまうと、ただ表面的に言っているだけにしか聞こえなくなってしまうのではないかと思います。嘘でしょとか、強がっているでしょとか。そういう風に感じられたくないので、勝手に一人で戦いをしていた気がします。別にそんなことを気にしなくても、声さえ出れば歌は歌えるんですよ。でも、せっかく新谷良子として歌っている以上、嘘はつきたくないというのがあったので、よりそういうことを考えてしまったんだと思います。

――「バード・コード・ヤード」から「Over」までの6曲はアルバム『Blooming Line』の収録曲ですが、あらためてアルバムを振り返ってみていかがですか?

新谷 わりと迷いが出た一枚だと思います。「Jumpin' Rollin' Coaster」などは、ある意味、とても強がって歌っているんですよ。言葉選びとか楽曲の方向性とかいろいろある中で、「それでも私は楽しいし」みたいな強がりのようなものが入っていたりするのですが、その一方で、「Blooming Line」では本音を出してみたり。そういった振れ幅を考えると、この時期の私にあったモヤモヤ感が上手く出ているアルバムになっているのではないかと思います。

――ちなみにそのモヤモヤ感が吹っ切れるのはどのあたりですか?

新谷 「STARting -from rebirth-」です。「Bloomig Line」を歌ったことで、前に進むパワーが出てきたのですが、そこからさらに上の段階にバンビポップも私も進みたい、進まなければいけない、そんな決意が「STARting -from rebirth-」に繋がっています。そう考えると私にとって歌はすごい存在ですね。何かお薬みたい(笑)。