特撮テレビシリーズ『ウルトラマンガイア』(1998年)の放送20周年を記念したトークイベント『超時空のフェスティバル』が8月23日、池袋サンシャインシティ「ウルトラマンフェスティバル」内で開催された。ステージには主演を務めた吉岡毅志をはじめ、主要キャストとスタッフがそろい、20年を経てもなお色あせない作品の魅力と、製作時の思い出を語りあった。

  • 上段左より、小中千昭氏、村石宏實監督、高野八誠、吉岡毅志、渡辺裕之、平泉成、マリア・テレサ・ガウ、下段左から、ウルトラマンアグル(V2)、ウルトラマンガイア(スプリームヴァージョン)

『ウルトラマンガイア』は、『ウルトラマンティガ』(1996年)、『ウルトラマンダイナ』(1997年)に続く平成ウルトラマンシリーズの第3弾で、人類を滅ぼそうとする「根源的破滅招来体」の脅威に立ち向かうウルトラマンガイア/高山我夢と、XIG隊員たちの活躍を描くストーリー。地球と人類を守るウルトラマンガイアと対立するポジションで、地球を守るためには人類は不要と考えるウルトラマンアグル/藤宮博也というライバルキャラクターが登場することがファンの注目を集めた。怪獣たちとの過酷な戦いを経て2人のウルトラマンは互いにわかりあうことができ、共に力を合わせて破滅招来体と戦うようになっていく。

イベント冒頭では、特捜チーム「XIG(シグ)」の制服を着た「高山我夢」が、20年という時を超えて観客の前に姿を現した。そこへ巨大異形獣サタンビゾーが出現し、危機を告げるため「藤宮博也」もかけつけた。我夢はエスプレンダーでウルトラマンガイア(V2)に変身し、藤宮もアグレイターでウルトラマンアグルに変身。2人のウルトラマンは20年前と変わらぬコンビネーションでサタンビゾーの脅威から大勢のファンたちを守り抜いた。

ウルトラマンガイア/高山我夢を演じる吉岡毅志、ウルトラマンアグル/藤宮博也を演じる高野八誠、「コマンダー」と呼ばれるXIG司令官・石室章雄を演じる渡辺裕之、G.U.A.R.D.参謀を務める千葉辰巳役の平泉成、XIGのオペレーターを務めるジョジー・リーランド役のマリア・テレサ・ガウ、そして第1話や最終話をはじめ主要なエピソードの演出を務めた監督の村石宏實氏、本作の脚本およびシリーズ構成を手がけた文芸の要・小中千昭氏。以上の7名がステージに現れ、大勢の『ガイア』ファンは歓喜に包まれた。

吉岡は、つめかけた大勢のファンの姿をながめつつ、「20年前の子どもたちがこんなに大きくなって、当時大人だった人もお若くて(笑)」と感慨深げにあいさつし、当時19歳という若さを武器に、体当たりで挑んだ撮影当時を振り返った。もっとも好きなエピソードは?というMCの問いに対しては、「ウルトラマンに初めて会って、僕はキミの力がほしい!と自分の意志で光をつかんだ第1話が好きです。まさに人生を変えた1話」と、自身の原点ともいえる第1話「光をつかめ!」を挙げ、さわやかな笑顔を見せた。

高野は『ガイア』の撮影当時を振り返って、「共演者の方々がみな、子ども向けというより"大人の芝居"で接してくださったので、そんな中で自分も演技ができたことが思い出深い。自分の中で宝物になりました」と、ベテラン俳優たちとの共演によって若き日の自分がいかに影響を受け、成長できたかを目を輝かせながら語った。そして「20年経ってもみんなでこうして集まることができるのは幸せ。また30年、40年後も集まることができればいいし、そういうポテンシャルを持った作品」と未来での再会を望んだ。

マリアは「みんなに驚かれるんですけれど、ガイアの放送当時は15歳でした。生意気だったかもしれませんけれど、素敵なキャストの方々にいろいろなことを教えていただきました。自分にとってガイアとアグルとは? そりゃあもう、恋をしていました(笑)。ガイアはすばらしいお兄さん、ちょっとニヒルなアグルも素敵。でも、どちらとも何もなかったですね~」と、現在もテレビ情報番組「5時に夢中!」で人気の陽気なキャラクターで、20年前を懐かしそうに回想した。

渡辺は「小さなときから憧れていたウルトラマンに出演できたことが何よりの喜び。僕はウルトラマン、ゴジラ、ガメラ、仮面ライダー、電人ザボーガー、いろんな特撮作品にぜんぶ出ているんです。まさにグランドスラム。あとはガンダムに出たい(笑)」と、石室コマンダー役に強い愛着を持っていることを改めてアピールした。撮影時の思い出としては、「いわゆる子どもにわかりやすい芝居ではなく、難しい専門用語も、英語のセリフも、子どものことを気にせず本気のアクトをやろうと決めていた」と、作品世界のリアルを重んじて石室という役を演じたと話した。また、自分自身の中で「石室だけが我夢がウルトラマンガイアだと知っているのはなぜか。それは、石室もかつてはウルトラマンだったから」という設定を秘めており、我夢に対する態度にそういった部分を匂わせていると語って、客席をどよめかせた。

円谷プロ作品には『ファイヤーマン』(1973年)のレギュラー(SAF千葉隊員)をはじめ多数出演経験があり、最近では『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)第4話の熊城監督役が記憶に新しい平泉は、「少し前、孫を連れて川崎フロンターレの練習を観に行ったら、中村憲剛選手が我夢にそっくりだなあって思った」と話して、今なお記憶の中に『ガイア』と吉岡の存在が強く残っていることを打ち明けた。また、『R/B』での名セリフ「ピッチャー交代、オレ!」と、自分を指さすポーズを再現して観客を沸かせる一幕もあった。

『ガイア』全体のストーリーを組み立て、SFファンをもうならせる各種設定を考案したほか、キャラクターそれぞれを血の通った存在として描きあげたシナリオライター・小中氏は、「子ども向け番組という考えをなくし、ちょっと子どもには難しいと思われるようなセリフ回し、科学用語なども容赦なく入れている」と『ガイア』のドラマを作る上で特に意識していた部分を説明した。

村石監督は『ガイア』のテーマについて「一言でいうと"地球への愛"ですね」と語り、「人間をはじめ、多くの生物を生み出した地球そのものをみんながもっと愛してほしい」というメッセージを作品の演出に込めたことを明かした。

続いて、ファンが選んだ「あなたの好きなエピソード」の発表が始まった。2018年7月18日から8月8日にかけて総数1,646票が集められ、『ガイア』テレビシリーズ全51話の中から人気ベスト5が選ばれた。気になる結果は、5位/第29話「遠い町・ウクバール」、4位/第44話「宇宙怪獣大進撃」、3位/第27話「新たなる戦い~ヴァージョンアップ・ファイト~」、2位/第41話「アグル復活」、1位/第51話「地球はウルトラマンの星」となった。途中、高野が第41話の名セリフ「アグル! 俺はもう一度、戦いたい!」をアクション付きで再現し、ファンの大拍手を浴びていた。

その後、ファンによる人気投票1位に輝いた第51話が、キャスト・スタッフのコメンタリー付きの「応援上映」スタイルで上映された。失われた「光」を取り戻すため、XIGとアルケミースターズ、そして地球に棲む怪獣たちが総力を結集。我夢と藤宮にふたたび「光」が注がれて、ガイアとアグルが復活。圧倒的な破壊力を備える破滅天使ゾグに戦いを挑む……という、最終回にふさわしい壮大なスケールの物語に、コメンタリーを入れなければならないはずの登壇者はほぼ無言で見入ってしまい、発声OKのにもかかわらず、観客もドラマの中に入り込んで無言の状態が続くという、珍しい応援上映となった。

そして、『ウルトラマンガイア』関連の最新情報が発表された。まずは放送20周年を記念して『ウルトラマンガイア』テレビシリーズが「YouTube/ウルトラチャンネル」で配信されることが決定。9月5日から第1話が1週間限定で開始され、以後も毎週1話ずつ配信されるのだが、現在のところ最終回まで全話配信されるかどうかは未定だという。ぜひともYouTubeをチェックして、全話配信されるようにファンの力で盛り上げていきたいところだ。

次に発表されたのは『ウルトラマンガイア』の新たな世界を描く、書き下ろしの新作「小説」。そしてスタッフ・キャストのインタビューを多数収録した書籍の刊行も予定されているという。

また、2018年11月30日、12月1日、12月3日の3日間、幕張メッセで開催される「東京コミコン2018」の円谷プロブースにおいて、『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』のファンに喜んでもらえるような新企画が登場することが明らかにされた。まだ具体的な内容は明かされていないが、きっとティガ、ダイナ、ガイアのファンを興奮させるものが飛び出してくるのではないかと、期待が持たれる。詳細は今後の公式発表をこまめにチェックしていただきたい。

最後は、第51話ラストで我夢が天空を仰いで「おーーーい!」と叫ぶ名シーンを全員で再現。ステージと客席が一体となり、20年という時を超えた『ウルトラマンガイア』の素晴らしさを再確認することのできたイベントを見事にしめくくった。

(C)円谷プロ