JALは4月20日、"オープンイノベーション"の活動拠点として、本社から徒歩5分の寺田倉庫内(東京都品川区)に「JAL Innovation Lab」を開設した。このラボがJALが「ローリングプラン2018」で掲げた"イノベーションを生み出す基盤"の現場となり、100社を超える外部パートナーとの協働、そして、JALスタッフ約3万3,000人一人ひとりの気付きや知恵を生かし、テクノロジーと融合させた新たなサービスの実現を目指す。

  • カスタマージャーニーも踏まえた新しいラボのカタチが「JAL Innovation Lab」

    カスタマージャーニーも踏まえた新しいラボのカタチが「JAL Innovation Lab」

自らの力で地に足の着いたイノベーションを

ラボは、2017年6月に立ち上がったデジタルイノベーション推進部がコアメンバーとなる。デジタルイノベーション推進部は斎藤勝部長ひとりから始まり、現在メンバーは13人に増え、今も月単位でメンバーを拡充している。このデジタルイノベーション推進部と各部門の兼務者を含め、年内の早い段階で50人規模を目指す。

  • デジタルイノベーション推進部のメンバー

    デジタルイノベーション推進部のメンバー

さらに、メンバーにはJAL全グループを対象としたラボ会員が加わり、ラボは3層構造で展開している。社内の人間をどれだけ巻き込んでいけるかが部の大きなミッションであり、一人ひとりが自らの力で地に足の着いたイノベーションを起こしていく。

  • ラボを通じて人材とテクノロジーが融合し、新しい付加価値やビジネスを生み出していく

    ラボを通じて人材とテクノロジーが融合し、新しい付加価値やビジネスを生み出していく

約500平米のラボ内には、アイデアを発想するエリアやプロトタイプの制作エリア、そして、プロトタイプを並べて検証する空港や機内を模したエリアがあり、それぞれのシーンや目的にあわせた8つのエリアが設けられている。この8つのエリアにおいて、出発前・予約購入・空港・機内・到着後までの一貫したサービスにおけるイノベーションのみならず、貨物・整備・間接部門(生産性の最大化や空間・時間の価値創造)というオペレーションプロセスも含めた、あらゆる領域でのイノベーションを視野に入れている。

  • 4月の開設以降、ラボを訪れた外部パートナーのスタッフ。ラボは外部パートナーとの協業の場にもなる。「100社を超える外部パートナー」の"100社"は、より多くのパートナーと一緒に取り組むという構想を表したもの

    4月の開設以降、ラボを訪れた外部パートナーのスタッフ。ラボは外部パートナーとの協業の場にもなる。「100社を超える外部パートナー」の"100社"は、より多くのパートナーと一緒に取り組むという構想を表したもの

実際、このラボ自体もスピード感をもって施工された。どのようなラボにするか様々なラボを参考にして構想したものの、国内事業会社のラボはコワーキングスペースが多く、カスタマージャーニーを模して作って試せる環境を併せ持ったラボは例がないことが判明した。そのため、どのような環境がいいのかゼロからラボの構成を考える必要があったという。

  • 最初はただの倉庫だったが、施工会社の協力の元、急ピッチで開設された

    最初はただの倉庫だったが、施工会社の協力の元、急ピッチで開設された

さらに、場所が定まったのが2017年12月であり、2018年1月に工事を開始し、4月20日に開設となった。「どうしてもゴールデンウィーク前に開設したいと施工会社に伝えた際、『うそでしょ』と思われていましたが、僕らが本気でやっていることが分かってもらえ、スピード感もって進めてもらいました」と斎藤部長は話す。ラボ自体はオープンイノベーションの活動拠点として展開していくが、取り組みの機運を高めるためにも、地域住人に紹介するような取り組みも今後はできればと構想している。