ANAは、5月から機内で使えるANAオリジナルの車いすを国内線・国際線に導入したほか、秋にはスムーズな搭乗を目指し搭乗ゲート幅を拡大させるなど、ユニバーサルなサービスの提供を加速させる。

  • 搭乗手続きカウンターにローカウンターを設置

「ユニバーサルなサービス」は通常、社会全体で誰もが等しく受益できるサービスを意味するが、ANAでは「文化・言語・国籍・年齢や性別・障がいなどを問わず、多くの方がストレスなく利用できる施設・商品・情報・サービス」と定義している。その「ユニバーサルなサービス」の強化をANAは中期経営戦略の柱のひとつに掲げており、文化・言語・国籍・年齢や性別・障がいなどを問わず全ての人に、より安心・快適に飛行機を利用してもらえる環境を創る取り組みを加速し、世界トップレベルの「ユニバーサルなサービス」を提供するエアラインとなることを目指している。

  • 旅行前から空港、機内、到着後も、全ての人が安心・快適に利用できる環境を整える

旅行前に利用できるサービスに関しては、ANAウェブサイトの利便性(アクセシビリティ)向上、航空券予約システムの改修を2020年3月までに実施する。高齢や身体が不自由な人にもよりスムーズに利用してもらえるよう、世界標準のアクセシビリティ規格(WCAG2.0)に準拠し、文字の拡大や背景色の変更、画面情報の音声読み上げなどに対応したウェブサイト構築を目指す。また、ANAマイレージクラブ会員で身体が不自由な人に対しては、サポートできるように情報を一元的に集約する仕組みを構築し、ストレスなく安心して飛行機を利用してもらえる環境をつくる。

空港(出発・到着)に利用できるサービスに関しては現在、「樹脂製車いすmorph(モルフ)」「フルリクライニング車いす」「歩行車(ハンディウォーク)」などを、全国を対象にして導入している。2018年秋からは、車いすを利用者や座ったままでの手続きを希望する人に配慮した高さのカウンターを、全国を対象にして設置を進める(一部展開済み)。

  • 樹脂製車いす「morph(モルフ)」

  • フルリクライニング車いす

  • 歩行車(ハンディウォーク)

ラウンジ内サービスに関しては2019年春より、車いす利用者の使いやすさに配慮した受付カウンターを全国に設置する(一部展開済み)。また、扉幅や通路幅を確保するとともに、車いす優先エリア、シャワールーム、点字による施設案内を設置する(一部展開済み)。

  • 受付エリアにローカウンターを設置

搭乗時に利用できるサービスに関しては、2018年秋より全国を対象にして、車いすやベビーカー、歩行車利用者が、これまで以上にスムーズに搭乗できるよう、搭乗ゲートの幅を拡大する(一部展開済み)。

  • 搭乗ゲート幅を拡大

機内で利用できるサービスに関しては5月より順次、狭い機内でも移動や回転がしやすく、より座り心地のいい、ANAオリジナルの車いすを国内線・国際線共に展開している。また、中・大型機に設置していた車いす用化粧室を、単通路小型ジェット機材(A320neo/A321型機)にも標準装備を進める。

なお2017年度には、「樹脂製車いすmorph(モルフ)」「コミュニケーション支援ボード」「プロペラ機用搭乗橋アダプター」などにおいて、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰で内閣総理大臣表彰を受賞している。

  • 機内用新型車いす

  • 車いすで利用可能な化粧室の設置(小型ジェット機)

そのほか、修学旅行等でANA便を利用する特別支援学校に提供している「搭乗支援プログラム」や、成田国際空港株式会社と共同で実施した発達障がいのある子ども向けの「体験搭乗プログラム」等、社外向けセミナーを体系化し、幅広いニーズに応えられるように準備を進める。

  • 発達障がいのある子ども向けの体験搭乗プログラム

  • 出張授業による搭乗支援プログラム

また、サポートが必要な人の気持ちに寄り添うサービスを企画・実践できるよう、社内教育を充実ささせる。具体的には、「ユニバーサルサービスeラーニング」の実施(全社員対象)、「ユニバーサルサービス体験型教育」の間接部門スタッフへの展開、「心のバリアフリーセミナー(障がいのある方や有識者を講師として招へい)」の継続実施を展開する。