男性声優12名がキャラクターに扮してラップをする、ラップソングプロジェクト『ヒプノシスマイク』。一線で活躍するラッパーやトラックメーカーもクリエイターとして参加する、本格派な作品づくりが注目を集めている。マイナビニュースでは全4枚のCDリリースを記念し、各ディビジョンのリーダーを演じるキャストへのインタビューを敢行。第2回に登場するのは、シンジュク・ディビジョン「麻天狼」のリーダー、神宮寺寂雷(じんぐうじじゃくらい)を演じる速水奨だ。

速水奨(はやみしょう)。8月2日生まれ。兵庫県出身。株式会社Rush Style代表。主な出演作は「名探偵コナン・県警の黒い闇」諸伏高明役、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」イズナリオ・ファリド役、「BLEACH」藍染惣右介役など。

ラップが相手への攻撃手段となっている『ヒプノシスマイク』の世界。そんな中、神宮寺寂雷は相手を回復させるための手段としてラップをする天才医師。そんな神宮寺の魅力や、初挑戦となったラップについて速水に語ってもらった。

第1回の木村昴インタビューはこちら
第3回の浅沼晋太郎インタビューはこちら
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▼優しさや労わりを言葉に乗せてラップする

――速水さんは、これまでラップに触れてきたことは?

まったく馴染みがなかったですね。『ヒプノシスマイク』への出演が決まってから、ラップを聴いたり、深夜のラップバトル番組を観たりして自分の体に入れているところです。シブヤ・ディビジョンの有栖川帝統(アリスガワダイス)を演じているのは、うちの事務所の新人、野津山(幸宏)なんですけど、野津山のほうがうまいので教えてもらおうと思っています(笑)。

――今回がラップに初挑戦ということですね。レコーディングではどんなディレクションがありました?

最初に仮歌の方が歌っている楽曲を聴いたのですが、ラップのイントネーションは、僕ら声優が普段身につけているアクセントとはまったく違うんだと知りました。頭高(あたまだか)の言葉が、尻高(おだか)になったり、伸ばす音が違ったりする。そういったテクニックを使って、いかに格好よく見せるかが重要だということで、そこをレクチャーしていただきました。

――仮歌のラップに近づけていったということですね。

まずはそこですね。寂雷のラップはポエトリーリーディングなので、その道で有名なGADOROさんが仮歌を担当されていました。GADOROさんってことばの組み立て方が素晴らしいんです。「これを再現できたらすごいものになるな」と、考えながら寂雷というキャラクターを表現していきました。

――寂雷はほかのキャラクターと違って、唯一ラップを攻撃に使わず、回復手段として使います。そんな寂雷を表現するにあたって、一番意識したことは?

「癒しを与える人間」ということを大切にしましたね。彼は自分のことを「わたくし」と言うんですよ。その「わたくし」ということばの大切さを意識し、次に語尾をちゃんと相手に届けることを心がけました。寂雷の場合は、ことばがすべて回復の効果を持っているので、「自分が持っている優しさや労わりがことばの中に入っていくといいな」と思ってラップをしました。

――医者というキャラクターならではですね。

それから寂雷の曲は、最初と最後にセリフが入っているんですよ。普段、演技をするセリフとは違い、音楽といかに融合しながらことばを乗っけていくかを意識しましたね。

――速水さんが感じる「寂雷の魅力」は?

シンジュクという特殊なディビジョンの中で、彼はとにかく「病める人や傷ついた人を救いたい」という熱心な気持ちを持った男です。普通は人の命を背負うなんて難しいでしょうけど、寂雷はとにかく患者さんを優先する。医者としては当たり前なのかもしれませんが。人間っていろいろな迷いや邪魔な感情があると思うんですよ。でも、寂雷にはそうした気持ちがなく、自らの100パーセントを患者さんに注いでる。その男らしさや、シンプルな強さを表現していきたいと思います。

▼自分自身の変化が楽しみ

――まったくラップの経験がないという状況のなか、『ヒプノシスマイク』の話を受けたときはかなり驚かれたんじゃ?

まず最初に、『ヒプノシスマイク』のプロデューサーと作家が、企画の説明をするためにうちの事務所に来たんですよ。僕はラップなんてまったくできないから、「大丈夫ですか? ほんとうになんとかなりますか?」と。僕の人生には、いままでラップのラの字もないですからね。

――まずそこが不安になりますよね。

そうしたら、「いや、なんとかなるように頑張りましょう」とだけ言われました(笑)。「それならできるかぎりのことはやります」と。僕自身がここからどう変わっていくのかが楽しみですね。

――これまでラップに触れてこなかった理由とは? あえて聴いてこなかったんでしょうか。

そうですね。日本にヒップホップという文化が入ってきて、もう40年近いらしいんですよ。なので、入ってきた当初から僕はどこかしらで聞いているはずなんで。でも、僕の中で日本語で韻を踏むということに馴染みがなくて、恥ずかしかったんです。「日本語の韻ってカッコ悪いんじゃない? ダジャレじゃないの?」と思っていたんです。

――あの速水さんが!?

そう、自分はダジャレを言うくせに(笑)。だから、ちょっと遠くから見ていたんです。「俺はそっちにはいかないぞ」って。でもいまは「韻(ライム)ってかっこいいんだな」と。

――『ヒプノシスマイク』で、ラップの魅力に気づいたということですね。

そうなんです。ラップはことばの強さが増幅されていくのが魅力だなと思いました。イケブクロ・ディビジョンのCDもですけど、12人全員で歌っている曲「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」は、ほんとうににかっこいいじゃないですか。この曲って、一人が6回歌っているんです。

――6回分レコーディングをしたということですか?

はい。12人×6だから声が72層になっていて、音の圧力とか、ことばが紡いでいく強さを感じますよね。それと、聴いていて中毒性を感じませんか?

――わかります! 毎日聴いています。

うちの事務所のスタッフも毎日聴いていると言っていました。聴かずにはいられないような、なにかがあるみたいです。『ヒプノシスマイク』の今後の広がりを予兆させるような一曲ですよね。

――広がりといえば、速水さんはラップを勉強するためにフリースタイルバトルの番組を見ていると言っていましたけど、そこで何か新しい発見はありましたか?

ラップはワルの音楽ジャンルだと思っていたんですけど、バトルを見ていくうちに、彼らはかわいいんだなと思うようになりました。対戦する人それぞれから、何も飾らない形でことばが出てくる。ラップの中に自分のストレートな感情を乗せているから、みんなすごくキュートで素朴なんですよ。そこに気付いてからは、ラップの楽しさがわかってきましたね。あとは、バトルの勝敗ですね。「あ、これ負けなんだ」っていうのがわかるようになってきました。

――そんなラップの楽しさに目覚めた速水さんは、今後『ヒプノシスマイク』でどんなことをやっていきたいですか?

僕は長い間、声優という仕事をしていますけど、その長年の勘が「この作品はいまよりもっと大きくなるんじゃないか」と言っています。まずは楽曲で、キャラクターの歌う姿をみなさんに認知してもらいました。今後は、キャラクターが血と肉をまとって立体的に表現されていくと思います。

――映像化、ということでしょうか。

これだけキャラクターがいて、それぞれがキャラ立ちをしているので、当然いろいろ広がっていくでしょうね。スタッフの方も目論んでいると思うんですけど、すべてのメディア展開ができますよね。その手始めが、CDに収録されたオーディオドラマ。ここから、スマホアプリだったり、アニメーションだったりと展開していきたいですね。最終的には劇場版までいって、舞台あいさつをしたいですね(笑)。

▼『ヒプノシスマイク』CDシリーズ商品情報


・第1弾
イケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」
CDタイトル:「Buster Bros!!! Generation」
発売日:10月25日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. 俺が一郎 / 山田一郎(CV.木村昴)
M2. センセンフコク / 山田 二郎(CV.石谷春貴)
M3. New star / 山田 三郎(CV.天﨑滉平)
M4. イケブクロ・ディビジョン Buster Bross!!! Drama Track①
M5. イケブクロ・ディビジョン Buster Bross!!! Drama Track②
M6. 俺が一郎(off vocal ver.)
M7. センセンフコク(off vocal ver.)
M8. New star(off vocal ver.)
封入特典:Buster Bros!!!ロゴステッカー

・第2弾
ヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」
CDタイトル:「BAYSIDE M.T.C」
発売日:11月15日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. G anthem of Y-CITY / 碧棺 左馬刻(CV.浅沼晋太郎)
M2. ベイサイド・スモーキングブルース / 入間銃兎(CV.駒田航)
M3. What’s My Name? / 毒島メイソン理鶯(CV.神尾晋一郎)
M4.ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW Drama Track①
M5.ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW Drama Track②
M6. G anthem of Y-CITY(off vocal ver.)
M7. ベイサイド・スモーキングブルース(off vocal ver.)
M8. What’s My Name? (off vocal ver.)
封入特典:MAD TRIGGER CREWロゴステッカー

・第3弾
シンジュク・ディビジョン「麻天狼(マテンロウ)」
CDタイトル:「麻天狼-音韻臨床-」
発売日:12月6日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. 迷宮壁 / 神宮寺寂雷 (CV.速水奨)
M2. シャンパン ゴールド / 伊弉冉 一二三 (CV.木島隆一)
M3. チグリジア / 観音坂独歩 (CV.伊東健人)
M4. シンジュク・ディビジョン 麻天狼 Drama Track①
M5. シンジュク・ディビジョン 麻天狼 Drama Track②
M6. 迷宮壁(off vocal ver.)
M7. シャンパン ゴールド(off vocal ver.)
M8. チグリジア(off vocal ver.)
封入特典:麻天狼ロゴステッカー

・第4弾
シブヤ・ディビジョン「Fling Posse」
CDタイトル:「Fling Posse-F.P.S.M-」
発売日:12月27日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. drops / 飴村乱数(CV.白井 悠介)
M2. シナリオライアー / 夢野幻太郎(CV.斉藤壮馬)
M3. 3$EVEN / 有栖川帝統(CV.野津山幸宏)
M4. シブヤ・ディビジョン Fling Posse Drama Track1
M5. シブヤ・ディビジョン Fling Posse Drama Track2
M6. drops(off vocal ver.)
M7. シナリオライアー(off vocal ver.)
M8. 3$EVEN(off vocal ver.)
封入特典:Fling Posseロゴステッカー