京阪電気鉄道は19日、寝屋川車庫にて座席指定の特急車両「プレミアムカー」を報道関係者らに公開した。8000系に組み入れられた「プレミアムカー」は8月20日からサービス開始し、おもに特急として平日・土休日に運転。8月21日から平日朝ラッシュ時間帯に設定される全車両座席指定の「ライナー」列車にも使用される予定だ。

「プレミアムカー」(8555号車)を組み入れた特急車両8000系(8005~8055号車の8両編成)。報道関係者向けの見学会が5月19日に実施された

同社の特急車両8000系は1989(平成元)年にデビュー。鴨東線三条~出町柳間開通にともなう特急車増備用として新造され、その後の増備により京阪特急の主力車両となった。大きな側面窓と2人掛けクロスシートを特徴としており、1997~1998年にダブルデッカー車両を新造・増結。2009年度からリニューアル工事も行われた。現在の保有車両数は計80両(8両編成×10編成)。昨年9月以降、「プレミアムカー」導入に向けた改造工事のため、8000系は従来の8両編成から減車され、7両編成での運転となっていた。

「プレミアムカー」は8000系の一部車両を大幅に改造して快適性を向上させ、観光から通勤まで「確実に座れる」「上質な移動空間」を実現する車両となる。同社初の1扉車で、8両編成の6号車(京都側から6両目、大阪側から3両目)に組み入れられる。外観は8000系との調和を考慮しつつ、京阪特急の伝統を継承した赤を基調に、扉周りに金を配し、特別な車両のエントランスとしての存在感を際立たせた。「鳩マーク」に三つ星を組み合わせた「プレミアムカー」のエンブレムもあしらわれた。

「プレミアムカー」を組み入れた8000系は全車両座席指定「ライナー」列車にも使用される

今回、報道関係者向けに実施された見学会で公開された「プレミアムカー」は、8005~8055号車の編成に組み入れられた8555号車(1989年、川崎重工製)。外観・車内ともに一新され、車外の種別・行先表示器もフルカラーLEDとなった。見学会の途中、「特急」から「ライナー」へ種別表示が切り替えられる場面もあった。

車内については快適性とパーソナル空間の演出にこだわったとのこと。内装は漆黒色とやわらかな生成り色を基調に、アクセントカラーとして金色を配した。エントランスと客室をガラス仕切りで区切り、落ち着いた空間に。「プレミアムカー」(6号車)の定員は40名で、エントランスを挟んで7号車側に36席、5号車側に4席を設けた。

座席はすべてリクライニングシートを採用。7号車側の座席を横3列(2列+1列)とするなど、ゆったりとした配置となっている。シートは座面幅460mm、背もたれの高さ770mmで、「プレミアムカー」のエンブレムをあしらった大型ヘッドレストとヘッドカバーを備える。2人掛けシートには大型の中肘掛も設置された。座席のリクライニング角度は最大20度、前後の座席間隔は1,020mm。全座席の肘掛部にコンセントを設置し、大型テーブルも装備してパソコンなどの利用も可能に。足もとにフットライトも設置された。

「プレミアムカー」では専属アテンダントも乗務する

7号車側の客室は横3列(2列+1列)のリクライニングシート

大型テーブルとコンセントが設置され、パソコンも利用できる

「プレミアムカー」には専属アテンダント(ANAビジネスソリューションへ業務委託)も乗務し、利用者の出迎え・見送りや観光案内などきめ細かなサービスを提供する。微粒子イオンで空気を浄化する「ナノイー」発生装置を搭載し、外国人旅行者などが無料で利用できる「KEIHAN FREE Wi-Fi」も採用。大きな荷物を持つ利用者向けにラゲッジスペースを設けるなど、乗車するすべての利用者に「プレミアムなひととき」を提供する。

特急車両8000系は「プレミアムカー」のサービス開始まで引き続き7両編成で営業運転を行い、8月20日から「プレミアムカー」を組み入れた8両編成で運転開始するとのこと。おもに淀屋橋~出町柳間の特急として、平日・土休日の6~22時台に運転(昼間時は最大1時間あたり上下各4本)される予定だ。8月21日から平日朝ラッシュ時に2本(枚方市発淀屋橋行1本、樟葉発淀屋橋行1本)設定される全車両座席指定の「ライナー」列車にも、「プレミアムカー」を組み入れた8000系が使用される。

「プレミアムカー」への乗車は乗車券の他に「プレミアムカー券」が必要。特急停車駅または専用サイトにて購入できる。「プレミアムカー」の利用料金は乗車区間に応じて400~500円(「ライナー」列車の「プレミアムカー」料金は400円)とされている。

「プレミアムカー」を組み入れた特急車両8000系の外観・車内など